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第89話:Activity of a shadow

劣勢の孫権軍。主を護る為に2人の影が武を振るう。

ライル率いる部隊が宣城を攻撃している頃、宣城郊外の私達は敵勢力と交戦中だった。


「怯むな‼呉の武を奴等に見せつけよ‼正義は我らにあり‼」

『応っ‼』

「蓮華様に続けぇ‼我等の命を孫呉に捧げよぉ‼」

『応さっ‼』

「戦線の維持を‼間もなくで味方の増援が来ます‼」

『応っ‼』


私が指揮する本隊と思春が指揮する親衛隊に明命が指揮する周泰隊が奮戦する。


「左翼に槍兵隊を向かわせて下さい〜‼負傷者はすぐに後送して下さい〜‼」

「はっ‼すぐに‼」


後方では穏が戦況を分析して配下の兵に部隊を動かす。しかし敵は私の予想を上回る力を有し、次々と兵達を倒していく。


“呉の力は果てしなく強い。だから歯向かう一団や賊程度には負けたりはしない”。

私はずっとそう思っていた。だが現実はどうだ?


敵は数はもちろん練度や装備、士気も上回っている。現に2,000いた兵の半分以上が既に戦死して、残った兵達も徐々に数を減らしている。


「孫権様‼これ以上の戦線維持はもはや不可能です‼ここは一度さがって態勢の再構築を‼」

「まだ行ける‼各員は奮戦して戦え‼」

「しかし・・・・・・がはっ⁉」


親衛隊員の兵が撤退を進言しようとした矢先、彼の背中に数本の矢が突き刺さる。私は近づいていた敵に対して斬りつける。


「蓮華様⁉明命‼蓮華様を連れて退却しろ‼私が殿になる‼」

「御意‼・・・蓮華様‼ここは退却します‼」

「なぜだ⁉ここで退却すれば呉の名誉と姉様の名に傷が・・・「孫権‼覚悟‼」なっ⁉」


明命に連れられて退却させられようとした矢先、槍を構えた敵兵が私に仕掛けて来た。

“間に合わない⁉”

思わず目を瞑ってしまった直後、明命が魂切で返り討ちにする。しかし敵は更に出現してくる。


「孫権がいたぞ‼討ち取って長年の怨みを晴らしてやれ‼」

「へへっ‼まずはこの小娘をいたぶってやれ‼」

『へいっ‼』


頭に黄色の頭巾を被った黄巾残党が錆が見られる剣や槍を手にして一斉に明命に斬りかかって来た。


「はっ‼」

「ぐわっ⁉」

「がはっ⁉」

「ぐふっ⁉」


明命は素早い動きで向かってくる敵を次々と斬り伏せていくが、徐々に身体に切り傷が増えていく。


「なにやってやがる⁉そんな小娘など後回しにしろ‼孫権を討ち取れ‼」

「はっ⁉しまった⁉」

「蓮華様⁉」


明命に複数の敵兵が足止めをしている隙に5人以上が潜り抜け、私に剣を振りかざす。


「くっ⁉」

「くたばりやがれぇ‼」


今度こそおしまいだと思い、剣が私を捉えようとした瞬間、目の前に誰かが割って入りわたしを庇う。最初は誰かが分からなかったがほんの少ししてからすぐにわかった。


「明命⁉」


明命が私を庇って背中を斬られ、そのまま私に倒れかかって来た。すぐに彼女に揺すって話しかけるが意識が無い。


「明命⁉しっかりしろ‼明命‼」

「ちいっ‼邪魔しやがって‼2人纏めてあの世に送ってやるよ‼」


明命を傷付けた敵兵は再び剣を構えて斬りかかって来て、私は明命を抱きしめて庇う。しかしいつ迄たっても剣が届かない。


強く瞑った目を開いて見ると額に小さな穴が開いた敵兵の死体が転がっていた。


そして周辺からは奇怪な音。剣を振る音にも似ているが規則的な音だ。空からしてきて私を含めた全員が見上げる。


「なっ・・・なんだよありゃあ⁉」

「ば・・・化け物だぁ⁉」

「ライル⁉」


上空にいたのは武器を構えたライルに奴が所有している空飛ぶカラクリ。

しかも別方角からは複数の爆発。目線をそちらに向けると同じく奴が所有する鋼鉄の車が6輌、敵を攻撃しながら迫っていた。


ライルが地上に降り立ち、敵を攻撃しながら私達に駆け寄ってきた。


「孫権殿‼無事か⁉」

「ライル⁉」

「ここは我等が引き継ぎます‼孫権殿は後方へ撤退を‼」

「み・・・明命を置いてなど行けるか⁉」

「戦意を失った奴がいても邪魔なだけだ‼つべこべ言わずに早く退却しろ‼」

「なっ⁉」

「蓮華様‼」

「甘寧‼そいつ等を連れて退却しろ‼後は俺達に任せておけ‼」

「・・・分かった‼任せる‼」


ライルは退却を拒む私に怒気を込めながら怒鳴りつけ、駆け付けた思春に私を退却させる為に明命を担いで私の腕を掴んで駆け出す。


敵は私達に攻撃を仕掛けて来たが、ライル達の攻撃で直ぐに制圧される。


「全隊‼戦線を押し戻せ‼戦車隊は後方のくそったれを片付けろ‼俺達は孫権殿の退却を支援するぞ‼」

『了解‼』


そういうとライルは空飛ぶカラクリと鋼鉄の車の援護を受けながら次々と敵を飲み込んでいく。

敵はライル達の兵器を知らずにただ単に仕掛けて来たが、邪魔な銃撃では恐らくは勝てないだろう。


予期していなかった増援で敵は逃げ始め、ライル達がそれを駆逐する。

私はそれを離れた陣地で眺めていた。


それからさほど時間が掛からず、宣城周辺にいた敵は完全に駆逐され、私達は辛うじて勝利したが、代償は大きかった。


損害を出し過ぎた私の軍勢は意気消沈しながら再占領した宣城へと入城する。


戦死者1,147名、負傷者371名、行方不明者20名。これが私達が出した損害だった・・・・・・・・・。

辛くも勝利した孫権軍。命に別状は無い明命が治療を受ける中、怒り心頭のライルは孫権に指揮官としての責務を問いただす。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

“次期王としての決意”

孫権の覚悟が問われる。

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