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第87話:エイブラムス

陸の王者。敵に噛み付く。

袁紹討伐から各地で小さな争いが起こっていた。黄巾の残党達による跋扈や有力者達による反乱、賊達による略奪などが目立ち、各勢力は鎮圧にあたった。


やはり戦闘の増加は正史通り袁紹が発端だったらしく、奴は死んでもなお俺達に多大な迷惑を掛けている。


ある日、賊討伐完了直後で孫策様達に情報が齎された。


“宣城が山越と黄巾残党によって占拠された”


本当なら宣城が陥落したという事実はなく、逆に守備を任されていた孫権の護衛役で合計12箇所もの負傷を負った周泰の大活躍により敵を退けたとされている。


まあ、守る武将がいなかったのだから仕方がない。だがこのまま見過ごす気は更々ない。

宣城奪還として孫策様は孫権様を奪還軍の大将に命じ、副将として甘寧と明命、軍師として穏を派遣。直ちに奪還へと向かった。


ただし俺達は彼女達とは行動しない。穏の策で俺達には別働隊として宣城より東部にあるとされる奴等の拠点に攻撃を加えるべく、進軍していた。


<こちらウルヴァリン、これよりカウンターナイツ作戦を開始する。逐次報告せよ。over>

「こちらウォーランス1、了解です。LOD到着後に報告します。out」

<了解したウォーランス1>


中佐の作戦開始の通信を受けて、俺が指揮するM1A2を6輌運用する戦車部隊ウォーランスが先頭を突き進む。


<ストームから全ユニットへ。敵陣地に投石機を確認。原始的ではありますが直撃は避けてください>

「ウォーランス1了解」

<ウォーランス1に報告。レイヴンが前方に敵部隊を確認。防御用投石機も複数確認>

「了解だストーム。我々の出番だ。ジェイク、聞こえたか?戦闘配備だ」

「了解。いつでも行けます。燃えて来たぜ」

「ドライバー、全速前進だ」

「了解、大尉」

「各車へ。即応態勢維持。ウォーランス3、何か確認出来るか?」

<なにも確認出来ません>

「了解だ。各車へ。これから先にいる奴等は全て敵部隊だ」


臨戦態勢を指示して戦闘車両フォーメーションの一つであるパンツァーカイルで前進する戦車部隊。


そこから300mほど離れた地点には機械化歩兵部隊のソードブレイカーを載せたEFVガビアルを運用するウォーピック隊。

更に後方にはM1114やM1156に分乗した軽歩兵部隊のエストック隊が続く。


敵拠点制圧後に中佐が指揮する空中強襲部隊のハルバート隊と、武久が指揮するグレイブ隊が宣城に強襲を仕掛けて孫権様の本隊を援護する手筈だ。

作戦名は“カウンターナイツ”。騎士団の反撃作戦だ。


<大尉、こちらウォーランス5。前方に防御用投石機を確認。こちらを捕捉したようです>


ウォーランス5の報告を確認して、前方の様子を伺う。確かに前方から放たれた岩が飛んで来ているが、所詮は投石機。距離が全然足りない。だがこちらは既に射程内に捉えている。


「ウォーランス1から各車へ。攻撃を許可する。ジェイク、サボット(APFSDS/M829A3 安定翼付き装弾筒徹甲弾)発射‼」

「了解‼・・・食らいやがれ‼」


砲手のジェイクに砲撃を指示すると彼は砲身を微調整して、照準を合わせるとトリガーを引く。発射されたサボットは高速かつ水平に目標の投石機に直撃して粉砕。


「ウォーランス隊は前進しながら攻撃‼索敵を怠るな‼」

「奴等心底びびってやがるな、ざまぁみやがれ‼」

「油断するなジェイク。追い詰められた鹿ほどなにしでかしか分かったものじゃない」

「装填よし‼」

「撃て‼」


装填次第、すぐに他の投石機に砲撃を実施。他のエイブラムスも同様にサボットを撃ち込む。いくら敵が訓練されていても一方的な破壊に耐えられる筈がなく、やがては残った投石機を放棄して逃げ出す。

そして最後の投石機の破壊を確認すると無線で指示をする。


「ウォーランス1から各車へ。エリア内の投石機を破壊。前進し・・・」


前進命令を出そうとした瞬間、少し離れた場所に石が落ちて来た。今度はこちらを射程内に捉えているようだ。


「いや、待て‼撤回する‼撤回する‼防御用投石機の攻撃を確認‼直ちに攻撃‼直ちに攻撃せよ‼」

<ウォーランス2からウォーランス1へ‼前方に敵の反応を捉えました‼>

<丘の上だ‼距離は300‼>

「ジェイク‼狙えるか⁉」

「照準よし‼攻撃します‼」


直ぐに丘の上から狙っている敵の防御用投石機に照準を合わせてサボットを発射。発射されたサボットはしっかりと中心付近に命中して、ウォーランス2がもう片方を仕留めた。


俺達が防御用投石機と呼んでいるのは巨大な錘の位置エネルギーを利用した平衡錘投石機。

トレビュシェットとも呼ばれる投石機の一種で、中国では霹靂車という名前だ。

最大射程は約300mとも言われており、投石機の中では最長かつ高威力が自慢の攻城兵器であり、固定式ということでこういった防御でも使用されていた。


「ウォーランス1からストーム。防御用投石機2基と交戦して撃破。ミッションを続行する」

<了解です大尉。次のチェックポイント到着後に報告。out>

「ドライバー、あの丘の尾根まで前進するぞ」

「了解」


前進を指示してすぐにドライバーは尾根まで前進させる。


「全車停止。ラインフォーメーション。ラインフォーメーションだ」

<ウォーランス1、こちらハンター2-1。敵拠点に攻城部隊が集結中。UAVからの映像を送る。out>

「ジェイク、MAV(Miclo Air-Vehicle/超小型航空機)フィートに接続。MAV操作可能」


指示を受けて直ぐにジェイクがモニターを操作してハンター2が飛ばしたMAVのRQ-16“T-ホーク”に接続。上空からの映像を確認する。


<ウォーアックスからウォーランス1。こちらは砲撃準備完了。待機する。over>

「了解したウォーアックス指揮官。ターゲットをレーザーでマークする」


MAVを操作してターゲットとなる敵陣地にレーザーを照射。砲撃位置を後方約10kmに展開しているウォーアックス隊のM109A6PIMがGPSで確認した。


<了解したウォーランス1。砲撃位置を確認。これより砲撃を開始する。スタンバイ>


確認の通信が来てから暫くして、俺達の頭上に風きり音が鳴り響き、M107HE弾が敵陣地を襲う。その砲撃は60秒間続く。

1分間で4発の合計24発が敵陣地に撃ち込まれ、尾根からでも黒煙は確認出来た。


<ウォーアックス指揮官からハンター2。砲撃完了。これより第2陣地に移動する。over>

<こちらハンター2。主要目標への命中ならず。風に流されたと推測>

「こちらウォーランス1。これより敵野営地へ突入、目標の破壊に向かう out。・・・・・・HEAT装填‼」

「了解・・・・・・・・・装填よし‼」


対拠点としてM830 HEAT-MP-T(High Explosive Anti-Tank Multi-Purpose Tracer)を装填させ、他のエイブラムスも同様にM830を装填。


「各車へ。合図と共に敵野営地へ突入。3・・・2・・・1・・・前進‼」


俺の合図で全車が全速力で敵野営地に突撃を開始する。敵は俺達の突撃に銅鑼を鳴らして慌てるが、時既に遅しだ。


「各車へ‼ロックンロール‼ロックンロールだ‼作戦通りに行け‼」

『了解‼』

<ウォーランス1指揮官。こちらアイアンマン。これより下車戦闘に入る。誤射に注意しろ>

「了解です少佐‼」


EFVが搭載している30mmチェーンガンで攻撃を加えながら前に躍り出る。そこから少佐のソードブレイカー隊が降車して周辺の敵を攻撃し始める。

エストック隊もハンヴィーの機動力を活かして回り込み、退路を遮断しに向かう。


<ウォーランス6より報告‼前方に衝車を確認‼>

<防御用投石機も確認‼更に歩兵を確認‼>

「ジェイク‼機銃を使え‼奴等を黙らせろ‼」


砲塔に搭載されている同軸重機関銃のM2で前方にいる敵に銃撃を加え、次々と敵兵を仕留める。

敵は見たこともない装甲車を前に恐れて逃げ始め、中には反撃のつもりか弓を放つ敵もいたが効く筈がない。


敵野営地の奥に進むと周辺に物資がばら撒かれた複数の建物を発見。目標の物資だ。


「見つけた‼ジェイク‼12時方向に敵備蓄物資‼吹き飛ばせ‼」

「了解‼チェックメイトだ‼」


目標に照準を合わせるとジェイクはトリガーを引き、M830を発射。すぐに建物は爆発を起こして周囲に瓦礫や破壊された物資の残骸が降り注ぐ。

他のエイブラムスも同様に残った建物に対してM830を撃ち込み、一気に畳み掛ける。


「直撃だ‼」

「ドカーン‼」

「いいぞよくやった」

<アイアンマンからウォーランス1。こちらは周辺の敵を制圧した>

「ウォーランス指揮官から報告。目標破壊。目標を破壊しました」

<了解だ。作戦成功を確認。ストーム、了解か?>

<こちらストーム。了解です少佐。中佐に伝えます>

<頼む>


少佐が作戦成功を宣言すると俺達は周辺に残った残敵を掃討する為に移動を再開する・・・・・・・・・・・・。

レオン達が敵拠点を占領したことでお膳立ては出来上がった。あとはチェックメイトを掛けるだけ。

ライル率いるハルバート隊と南郷率いるグレイブ隊が作戦を開始する。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

「エアボーン」

孫呉に仇なす敵に空から仕掛ける。

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