第82話:袁家討伐前編
連合軍による袁家討伐。レオン率いる第3中隊が先陣を切る。
官渡で敗北した袁紹軍は自身が納める冀州に退却。更に青州と幽州を任されていた袁紹軍部隊も反乱軍と抵抗軍による連合隊により敗北。これにより袁紹は文字通り四方八方が敵だらけになる状態だ。
それ程にまで袁紹に対する反発が凄まじいということだ。
しかしそんな状況であっても袁紹は敗北を考えておらず、あり得ないことに俺達に無条件降伏を通達して来たのだ。
曹操は中身を見ないでその竹簡を大鎌の絶で叩き割り、降伏の使者を追い返した。
そして曹操は袁紹をもはや害悪でしかないと判断し、捕らえ次第にその場で斬首にするという命令を発した。
そして俺達は袁紹軍が集結している藜陽へと軍を進ませ、暫しの睨み合いを行なった後に両軍がぶつかり合った。
「パニッシャーからストーム‼敵陣地左翼に到着‼これよりターゲット“Четвертын Таракан(チトヴョールトゥイ・タラカーン/ロシア語で第4のゴキブリ)”排除に向かう‼」
<了解しましたパニッシャー。情報によりますとタンゴは敵左翼の陣地指揮所で確認。周辺には袁紹軍が展開。注意してください>
「了解したストーム‼忠告に感謝する‼パニッシャー out!!」
俺達第3中隊はターゲットのチトヴョールトゥイ・タラカーンを排除する為に左翼の斜面を駆け登っている。
俺達がチトヴョールトゥイ・タラカーンと読んでいるのは袁家三女の袁煕 顕奕の事であり、レイヴンによる偵察写真によって位置は丸わかり。
更に忍び込んだ細策と民間からの通報により、不仲である二人の姉と一人の妹を仲介しているらしい。
これにより袁紹軍は一定の連携を保っているが、奴さえ仕留めれば連携は一気に瓦解する。俺達は曹操軍軍師の郭嘉が考えた策の第一陣ということだ。
因みにロシア語にした理由は、特に無い。母親がロシア人であるという少佐が言い出したからそうなっただけだ。
俺もMKA1919A1で射撃を加えながら前進する。
余談だが中佐達は袁煕 顕奕が袁紹の妹だというのには露蘭並みに驚いていた。
中佐によると奴は本来、袁紹の子供だったらしく、性別が変わっていることよりもそっちに驚いていた。
しかしあんなクソッタレがあと3人もいると考えたら、鄴城に核弾頭を撃ち込んで一族全員を根絶やしにしてやりたい。
そんな事を考えながらMKA1919A1やM45、OKC-3S、龍舌を切り替えながら部下達と共に攻撃する。
「大尉‼ユニフォーム3が支援に加わりました‼」
「よし‼前に出させろ‼」
「了解です‼チャーリーからユニフォーム3‼前に出て突破口の確保を‼」
<了解‼前進します‼>
少ししてから支援車であるM1114に強化装甲を追加装備したM1151が二輌、俺達の側を通過して搭載されているM2で前方にいた敵集団に12.7mm弾の雨を降らせる。
敵はなす術なく次々と身体をミンチにされ、俺達も少し離れてから前進する。
「全隊‼ユニフォーム3に続け‼このまま一気にタンゴに接近するぞ‼」
『了解‼』
<ストームからパニッシャー。前方の丘150mに敵のトラップを確認。丸太で下敷きにするみたいです>
「全隊停止‼グレネーダー前へ‼」
指示すると全隊がその場で停止して、俺の側にHK416+M320A1を装備したグレネーダー3名がやって来た。
「目標‼前方の丘‼11時方向‼距離150‼狙え‼」
「Target lock‼」
「Fire‼」
「Take this!!」
攻撃指示でグレネーダー3名はM320A1のトリガーを引き、M433高性能炸薬多目的榴弾を発射。
撃ち込まれた榴弾は2発が丸太に、残り1発が少し下に着弾して、固定されていた丸太が転がり落ち、下にいた袁紹軍兵士を下敷きにしていく。
「目標の排除を確認‼」
「前進再開‼俺に続け‼」
ユニフォーム3の支援を受けながら袁煕がいる砦へと向かうが、それほど時間は掛からなかった。砦は丘の頂上に位置しており、俺達は窪みに身を隠しながら射撃を加える。
砦の周辺には弓兵が弓兵を射るが、強化装甲で護られたM1151にはごく小さな傷をつけるだけで、俺たちには絣はするが致命傷になる位の負傷者は出ていない。
「流石に激しいな‼」
「大尉‼このままでは突破不能です‼」
「迫撃砲を使え‼奴等を一網打尽にするんだ‼」
M224による制圧砲撃を指示すると少ししてから迫撃砲弾が砦の周辺にいた敵部隊を巻き込み、周辺には爆発音が鳴り響く。恐らくは両軍の本陣にまで聞こえるだろう。
「いいぞ‼砲撃中止‼マークスマンは残って援護射撃‼それ以外は得物に切り替えろ‼一気に周辺の敵を片付けるぞ‼」
「了解‼・・・聞いた通りだ‼海兵隊魂をクソ野郎共に見せつけてやるぞ‼」
『Hoooah‼』
部下達はそれぞれの得物、もしくはHK416にOKC-3Sを着剣。俺も背中に背負っていた龍舌の柄に手を掛ける。HK417 DMRとHK417 DMRⅡを装備しているマークスマンは新しいマガジンに交換して援護射撃に備える。
「突撃‼前へ‼」
『うぉらああああ‼』
俺を先頭にして大声を出しながら全員が突撃を敢行する。後方には援護射撃をするマークスマン達とM1151によるM2の射撃。
その気迫を前にして敵は次々と命を散らしていく。
ある者は片手剣で斬り捨てられ、ある者は銃弾の餌食に、またある者はOKC-3Sを突き刺されて死んでいく。
「おらおらぁ‼‼死にたくない奴はとっとと失せろ‼さもないとあの世に送ってやる‼」
龍舌を縦横無尽に振り回し、向かってくる敵を纏めて切断する。龍舌の欠点は20kgという重量だが、その分の破壊力は抜群。
斬りつけ、潰す。それが龍舌の使い方だ。
瞬く間に周辺には袁紹軍兵士の死体だらけになり、俺のMTVアーマーベストやMARPAT ピクセルグリーン、LHWヘルメット、更に龍舌には敵の返り血で真っ赤だ。
しかしそんな細かいことを気にしている時間はない。周辺を制圧して門の左右に張り付く。M1151は周辺を警戒。一個小隊が突入する為に準備する。
「城門にC4を仕掛けろ‼」
「了解‼」
アサルトバックにC4を納めていた部下がC4を取り出し、それを城門に設置すると安全な場所に退避する。
「いいぞ、やれ‼」
「ドカーン‼」
C4の点火器を操作して、城壁を吹き飛ばす。
「Charge!! Move move!」
起爆と同時に俺はMKA1919A1を発砲しながら突入。部下もそれに続き、HK416やHK417、Mk46 Mod1で発砲しながら突入する。
その先には袁紹と顔が似ているが、髪型がウェーブからツインテールに変更したクソッタレの女がいた。
「な・・・なんですの⁉」
「動くな‼袁煕 顕奕だな⁉」
「くっ・・・だ・・・・・・だったらどうだというのですの⁉汚らわしい優男の分際で私の名前を呼ぶと汚れてしまいますわ⁉」
「犬猿の姉妹を取り持って苦労してるだろ?・・・いっそ、俺が楽にしてやるよ‼」
俺は部下にMKA1919A1を預け、龍舌の剣先を向ける。
「や・・・優男の分際で不遜な物言いですわね⁉そ・・・その軽口を叩けないようにして差し上げますわ‼」
袁煕は完全に怯んでいるが、強がって剣を構えて斬りかかってきたが、はっきりいって素人の構えだ。剣の持ち方自体、手の位置が逆になっているし、肘も無駄に曲がっている。
俺は少しだけしゃがんで肩に担いだ龍舌で受け止める。
「なっ⁉」
「はっきり言うと・・・今までの敵の中で弱すぎる‼」
お世辞にも本当に弱すぎる。受け止めた剣を軽く弾き飛ばし、回転しながら龍舌でこの女の両腕を斬り落とす。
「き・・・きゃあぁあああ‼わ・・・・・・私の華麗な手がぁ⁉」
「その声を聞くだけで腹が立つ‼とっととくたばりやがれ‼」
本気で腹が立つので、俺は龍舌を構え直して、刺突で袁煕の顔目掛けて仕掛け、口より上を切断。残ったのは腕がない顎より下からの死体。死体は音を立てながら倒れ、転がってきた奴の顔を龍舌で潰した。
「敵将袁家三女袁煕‼討ち取った‼」
「Hoooooah‼‼」
周囲から部下達の勝鬨が挙がり、それを見た袁紹軍兵士達は戦意を完全に消失させ、武器を捨てると両手を上げて降伏してきた。
「ストーム‼こちらパニッシャー‼Четвертын Тараканを排除‼繰り返す‼目標を排除‼残った敵兵は降伏‼」
<タンゴダウンを確認。中佐達に伝えます。第3中隊は攻勢まで周辺を消毒してください>
「了解だ‼out!!・・・捕虜を一箇所に集めろ‼このまま消毒を続けるぞ‼」
『了解‼』
タンゴダウンで俺達は捕虜を集め、完了すると残敵を掃討して、攻勢開始まで周辺を警戒する。袁煕を仕留めたことで袁紹軍の連携は瓦解するだろう。
次女と四女を葬り、最後は長女を殺すだけ・・・・・・・・・。
袁煕が討ち取られたことは瞬く間に広がり、袁家は連携を失う。次の目標は四女の袁尚 顕甫。これを担当するのは雪蓮率いる孫呉海兵隊だ。
次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”
[袁家討伐中編]
小覇王、戦場に舞い踊る。