第8話:神槍
遂に始まったライルと張遼の仕合。神槍の異名を持つ張遼に悪戦苦闘する。
華雄の合図で始まった俺と張遼による仕合。華雄の時と同じ戦術は使えないと判断して開始と同時に仕掛ける。だが張遼も得意の機動戦で俺に駆け寄り、間もなく二人の刃が鳴り響く。
「ハッ!!」
「でりゃあ!!」
俺が舞い踊るように斬りかかると張遼は防いだ瞬間に攻撃。俺はそれらを回避したら攻撃。その繰り返しだ。
張遼の武はまさに神槍で、力そのものは華雄と比べても劣るが素早さの中に冷静な判断力や決断力。しかも的確に俺の攻撃に反応して防ぎ、素早く反撃する。どれをとっても幾多もの実戦を経験しなければ身に付かない。
久しぶりに自分と渡り合える俺の武術に張遼は喜んでいる。
「やっぱ強いやん!!うちの動きに着いて来れたん恋だけやで!!」
「褒めてありがとう・・・・・・な!!」
「神槍として名高い張 文遠の槍捌き!!とくとその目に拝ませたるわ!!」
張遼は先程の動きが遅く見える程にいきなり連撃の素早さを高め、閃光の如く素早い攻撃に俺は対象するだけで精一杯だ。だが一瞬であるが張遼の姿が消えた。よく見ると飛龍偃月刀を回転させながら彼女は飛び上がって斬りかかろうとしていた。
「でりゃあああああ!!!!」
「ちぃ!?」
張遼の攻撃に俺は神斬狼を交差させて受け止めるが、完全には耐え切れず少し後方に飛ばされてしまう。張遼は着地したと同時に矛先を俺に向ける。
「どや!!飛龍偃月刀の一撃!!」
さすがは神槍の張遼。俺の予想を超えた実力を有した武将だ。恐らく今の戦術では勝てないだろう。何しろ相手との速度差がありすぎる。俺が彼女に勝つには機動力を奪う必要があるが、手段そのものはあることはあるが賭けになる。
俺は神斬狼の刃を収容すると手甲に変えて構える。
「・・・なんのつもりや?」
「先に言っておくが馬鹿にしてる訳じゃないぞ。こいつは刃を出した状態と閉まった状態で戦い方を変えられる」
「まあええわ・・・・・・後で負けた言い訳にせんといてやぁ!!」
そう叫ぶと一気に勝負に出て来た。飛龍偃月刀を水平にして刺突を仕掛けて、俺を捉えようとした瞬間に身体を低くして少し身体を逸らしながら彼女の足下を払う。
予想をしていなかった張遼はそのまま地面に倒れこみ、彼女から飛龍偃月刀を奪い取ると切先を彼女に向ける。
「そ・・・それまで!!」
一瞬だけ呆気に取られていた審判の華雄だったがすぐに思考を元に戻して仕合終了を言い渡す。その瞬間に周囲から歓声が飛び交う。
倒れたままの張遼に手を差し伸べる。
「大丈夫か?」
「いたたた・・・・・・やっぱライルは強いな♪うちを倒したん恋だけやねんで」
そういうと俺も恋がいる方角をみるが、どういう訳か恋は自分の得物である方天画戟を肩に担いでこちらを見ていた。
「え・・・・・・えっと・・・恋?」
「・・・なに?」
「何で方天画戟を?」
「・・・霞と嵐ばかりずるい・・・・・・恋もライルと闘いたい」
どうやら先程の仕合で己の闘争心に火がついたのだろう。天下の呂布 奉先なら納得な理由だ。
「・・・・・・ダメ?」
恋は純粋な目で俺を見上げてくる。本当に頼むからそんな目で見ないで欲しい。断れなくなる。だが流石に名高い武将2人との仕合後との仕合はきつい。
「はぁ・・・・・・いいよ。だけど流石に疲れたから明日にしよう。だから今日は我慢してね?」
「・・・(コクリ)」
納得してくれた恋はその後、彼女の軍師である陳宮と合流するが、真名を読んだ俺を見つけて飛び蹴りを仕掛けて来たというのは別の話し・・・・・・。
張遼との仕合に勝利したライルは天下無双こと呂布と仕合をする。漢最強の武を誇る彼女の前に苦戦する。
次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”
“飛将軍”
真紅の呂布が舞い踊る。