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第73話:賢者と愚者の違い

数で劣る連合軍に、情報が齎される。

膠着状態に陥った官渡。序盤戦における夜戦で圧勝した連合軍は官渡城に包囲されている寸前であり、周辺には袁紹軍。

しかも井闌(攻城の際に用いられる櫓)、衝車などの攻城兵器が配備されており、攻撃準備が出来ているように見えるが、依然としてそんな様子はない。

俺は偵察チームが送信したレイヴンからの情報をプリントアウトして、軍議に出席した。


「状況を確認するわね」


連合軍総大将である曹操が仕切る。軍議には俺とアレックスと雪蓮殿、冥琳殿、一刀、詠、愛紗、徐晃殿の他に銀髪を三つ編みにして身体中に傷跡がある目力が鋭い少女がいる。


「知っていると思うけど、私達は袁紹に包囲されそうな状態よ。周辺には大軍勢で攻城兵器も見えてる」

「しかし包囲網そのものは完全ではないみたいね。官渡城東側に展開するのが遅いようだし、なにしてるのかしら?」

「あの馬鹿の考えなど分かる訳がなかろう。馬鹿なのだからな」

「確かに馬鹿だからなね」

「馬鹿に聞く薬って昔から言うけど、あったとしてもあの馬鹿には効かないでしょうね」


馬鹿という単語を連呼する。まあ、事実だから仕方がないが何処からかクシャミが聞こえた気がしたが気のせいだろう。


「曹操殿、よろしいでしょうか?」

「あら、なにかしら?」

「これをご覧頂きたい。我々の偵察隊が入手した情報です」


そういうと脇に挟んでいたファイルを広げ、レイヴンが撮影した航空写真を見せる。


「これは・・・・・・絵か?」

「凄いわね・・・どうやって描いたのかしら?」

「これは写真と申します。まあ・・・・・・すみませんが説明は省かせて頂きます。こちらをご覧ください」


指差したのはいざこざがある写真。そこには何かを指示している袁紹と側近らしき男、加えて衛兵に連行されていく女性だ。


「何かを言い争った様子に見えるが・・・・・・」

「しかも感じ的にも袁紹に反発して、それを奴が気に食わなかったから当人を連行したと推測できます。流石に誰なのかまでは解りませんが・・・・・・荀彧さん」

「ちょっとなによ?」

「君なら誰か分かるんじゃないか?・・・・・・なあ、一刀」

「ええ。ライルさん」


二人は確信を持っているが、なにを言っているか彼女達は分からない。


「ご主人様、いったい何を言っているのですか?」

「そうよライル〜。私達にも分かるように説明しなさい」

「そうね、私にも分からないんだからなんか気に食わないわね。はっきりさせなさい」

「これは失礼しました。なら単刀直入に・・・・・・荀彧さんは曹操殿に仕える以前は袁紹軍にいた筈」

「「「「‼‼⁇⁇」」」」

「加えて黄巾の乱辺りだったね?当初は袁紹の軍師ではなく只の侍女として仕え、不遇とされてたけど曹操の噂を聞いて抜け出した・・・・・・違うかい?」

「ちょっとあんた達⁉何処でそれを知ったのよ⁉」

「それは・・・・・・秘密だよ」

「Yeah」

「白状しなさいよ‼全身精液製造男‼」

「「なに言ってるんだ?」」

「桂花、その辺にしておきなさい」

「す・・・・・・すみません」

「さすがライルと一刀ね♪」

「天界から来たというのは伊達では無い・・・・・・そういうところか」


そう言われると少し照れ臭くなる。しかしこれだけ判ったとしても戦局の打開などには繋がらない。そう考えていると扉が開けられた。


「軍議中に失礼致します。程昱様と劉備軍の張遼様が来られております」

「霞が?」

「ご苦労、通しなさい」

「御意。・・・・・・こちらへ」


見張りの兵がそういうと、後ろから霞と曹操軍の軍師らしき少女が入って来た。金髪のロングヘアに西洋風ドレスらしき服装を着て、頭に妙な人形を置いた不思議な雰囲気を醸し出す少女だ。


「霞、なにかあったの?」

「すまんなぁ、軍議中に来てもうて・・・袁紹んとこに行っとった細作が戻ってきよったんや」

「風も同じですー、華琳様」

「そう・・・・・・紹介しておくわね北郷、ライル。この子は私のところで軍師をしてる程昱よ」

「程昱ですー」

「んで俺が宝ケイってんだ。よろしくな兄ちゃん達」


彼女の雰囲気はまさしく“不思議少女”であり、しかも頭の人形が喋ったように見えたが、どう考えても腹話術。


「お兄さん達が噂の天の御遣いさんと天の軍隊さんですか?」

「そうだ。孫呉海兵隊指揮官のライル・L・ブレイドだ」

「俺は北郷 一刀だよ。それで程昱ちゃん・・・・・・」

「はい?」

「なんで俺の背中に乗ってるのかな?」


何時の間にか程昱は一刀の背中に乗っていた。というか、本当に何時の間に・・・・・・。


「はいー、お兄さんの背中が何だかポカポカしてそうだったのでついー」

「ポカポカしてそうって・・・・・・俺は太陽かなにかか?」

「・・・・・・・・・・・・」

「なんやぁ〜愛紗、特等席取られて残念やなぁ〜♪」

「なっ⁉なにを言っている⁉た・・・確かに羨ましい・・・じゃない⁉いや・・・その・・・・・・」

「ねえねえライル〜♪私もおんぶして〜♪」

「なっ⁉」

「あなた達・・・・・・話を戻してもいいかしら?」


曹操殿が呆れながらも話を戻して来た。


「それで風(ふう/程昱の真名)、報告しに来たのでしょ?」

「はいー。実は袁紹さんと袁紹軍の将みたいな女の人が揉めていたみたいで、袁紹さんはその人を連行させたみたいなのです」

「その将の名前は?」

「なんでも張郃というらしいです」

「桂花、知ってる?」

「はっ・・・・・・はい。文醜と顔良の二枚看板に次ぐ良将で、袁紹に味方する武将の中では民や兵を思う武将です」

「なんやぁ奇遇やな、うちもその張郃のことやねん。何でも袁紹のボケに反発しよったみたいで、烏巣に連れてかれよったみたいやねん」


二人からの報告で考える。張郃といえば曹操軍でも優秀な将だ。しかも連行された先が烏巣・・・・・・。


「・・・曹操殿」

「どうかしたのかしら?」

「私の作戦を聞いてみたくなりませんか?」

「いいわ。聞かせて」

「我等が入手した情報に、兵糧の大半がその烏巣に集まっている。しかもそこに袁紹に歯向かった将がいる。更に包囲網は東側が遅れている・・・・・・」

「なるほど・・・烏巣を攻めるのね?」


詠が察したようであり、俺も頷く。


「確かに有効な策です。しかも袁紹軍の兵達はかなりの空腹らしいですから、烏巣が落ちれば士気も落ちるはずですよー」

「うむ、しかしライルがいたら私達軍師の出番が無いな」

「そんなことはありません。頭脳の優秀さなら冥琳殿達が・・・」

「確かに烏巣を攻めたら確かに士気が激減するでしょう。しかも、軟禁されている将を救いだせれば袁紹軍の中枢に関する情報も入るはず・・・・・・」

「ならばライル、あなたに任せても構わないかしら?」

「了解。ならば水先案内人を誰かお願いしてもよろしいでしょうか?」

「凪」

「はい」

「そういえば紹介がまだだったわね。凪」

「ライル殿、北郷殿。自分は楽 文謙といいます」


楽進とは・・・。

確かに彼女からは歴戦の猛者特有の雰囲気が醸し出されており、納得の理由だ。


しかし本当にここには名高い武将や軍師が勢揃いしている。曹操に徐晃、荀彧、程昱、楽進、関羽、張遼、賈詡、孫策、周瑜に北郷 一刀。

対して袁紹にはもはや名高い将はいない。これが賢者と愚者の違いだろう。


「楽進 文謙とはな・・・」

「⁉・・・なぜ自分の名を⁉」

「気にするな。それよりも雪蓮殿も冥琳殿も許可頂けませんでしょうか?」

「構わないわ。ねえ冥琳?」

「ああ、構わない」

「少数での潜入になります。ですのでそちらも水先案内人は多くても3人くらいでお願いします」

「分かったわ。いつから行ける?」

「四半刻もあれば充分です」

「・・・随分と速いわね?」

「では、楽進殿も急いで準備を・・・」

「分かりました」


そういうと俺と楽進は準備の為に軍議から外れる。

烏巣・・・・・・この官渡に置ける重要な局面に差し掛かろうとしようとしていた。

拘束された張郃の救出と兵糧の破壊。ライルは再びハンターキラーを出動させ、楽進達と共に向かう。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[烏巣]

官渡での分岐点に差し掛かる。

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