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第72話:邪心の中の良心

保身しか考えていない袁紹に、1人の良心が物申す。

官渡の戦いに置ける序盤戦は二手も三手も先を読んだライルの策で、連合の圧勝に終わった。だが白馬と延津に展開していた袁紹軍の戦力はほんの微弱程度で、連合の総戦力の約6倍を誇る袁紹軍は戦線拡大を実施。官渡の周辺に展開していた。


開戦から10日後、袁紹は決戦に備えて原武城に駐留しており、そこに曹操軍の部隊が攻撃を仕掛けて来たが、ろくに戦闘をせずに曹操軍が撤退していく。そのことを袁紹は原武城の城壁から眺めていた。


「おーほほほほほ‼今日も私の軍の圧倒ですわね‼」

「流石は袁紹様です。見事なまでに素晴らしい策でしたな‼」

「当然ですわ‼なにしろこの私はこの国の“帝”なのですから、あんなクルクル小娘と野蛮人に点の御遣いだなどとほざいてるブ男に負ける筈がありませんことでしてよ逢紀さん」


袁紹軍参謀である逢紀のお世辞に、袁紹は聞くだけで腹が立って来る高笑いをする。


正史ではそこそこ有能な人物とされていたらしいが、この世界の逢紀は袁紹と同じく無能で、自分の保身や私利私欲しか考えていない。奴が仕えている理由は単純に“楽をする”為である。


2人が話をしていると城壁にまた誰かが歩いて来た。長い髪を三つ編みにして袁紹軍軽歩兵の派手で仕方がない金色の武具、背中には弩と矢筒を背負った女性だ。


「袁紹様」

「あら?張郃さん、どうかしましたの?」


袁紹軍武将の1人である張郃 儁乂に袁紹は一旦高笑いをやめた。


「袁紹様、昨日に話させて頂いた包囲網の件なのですが・・・」

「張郃よ、まだ言っておるのか⁉その話は既に終わったではないか‼」

「しかし⁉いくらわが軍が数で勝っているとはいえ、いくらなんでも兵力の分散が過ぎます‼しかも大半が士気が低い新兵では攻勢の際に尋常ならざる被害が出ます‼」


張郃は戦線の状況に不満を持ち、袁紹に直訴する。

袁紹軍兵士が漢の中で弱い1番の理由は袁紹本人にあるが、それとは別に過度な徴兵制により集めた訓練日数が足りない新兵に、訓練法が定まっていない無駄な訓練。


間違った戦術に生命線となる補給路の欠如など、戦争における戦術の“せ”の字が無いどころか、文字そのものが無いといった感じだ。


張郃はそのことを危惧しており、大攻勢にしろ包囲にしろ、ベテランの部隊を少しでも配備したいという話だが、袁紹は実戦経験がある兵を全て自分の身の回りにだけ配備している。


文醜顔良が劉備軍に捕らえられて以来、袁紹軍という邪心の中で唯一の良心の持ち主である彼女は兵が無駄に死んで行くことに我慢出来なかったのだ。

しかし当の袁紹は理解できない表情をしながら返答してきた。


「あなたも分からず屋ですわね、数で勝ってるのですから、充分ではありませんの」

「ならばせめて兵糧の配給を‼これでは前戦の兵士達が飢えで、動けなくなります‼」

「別によいではないか」

「逢紀‼貴様は兵を何だと思っているのだ⁉」

「兵士など単なる捨て駒でしかないではないか。足りなくなったらまた民を徴兵すればいいだけのこと」

「そうですわ。民なんて湧いて出てくる蟻みたいなもの。そんな輩は私に只々従えばいいですのよ」

「正気ですか⁉民あっての国なのに、民がいなければ国が成り立たないのですよ⁉」


民のことを一切考えていない袁紹に対してもなお反論する張郃に対して苛立ち始める袁紹。目線で近くにいた衛兵に命令すると、張郃の両腕を掴んで連行していく。


「なんのつもりだ⁉離せ⁉離さないか‼」

「張郃さん、私の命令を聞けないのでしたら我が軍に必要ではありませんわ‼衛兵‼その“ゴミ”を連れて行きなさいな‼」

「「御意‼」」

「くっ⁉このクソッタレの大馬鹿野郎が‼袁紹‼裏切るのか⁉」

「あらあら、随分と“下品”な“生ゴミ”ですわね、ひとまずは私のいる場所が生臭くなっては溜まりませんから、烏巣にでも連れて行きなさいな」

「くそっ⁉覚えてやがれ袁紹⁉必ずぶっ殺してやる‼」


もはや張郃に袁紹への忠誠心は微塵も存在しない。連行されながらも抵抗する彼女を衛兵は殴り、そのまま烏巣へと連れて行く。


しかしこの判断が後に誤りだとなる。この一部始終を城壁の影から見ていた曹操軍の細作と連行される張郃の後を追跡する劉備軍細作、上空から全てを偵察していたRQ-11Bレイヴンによって全てが筒抜けであるから・・・・・・。

官渡の戦いは膠着状態に陥った。兵力は少ないが練度が高い連合軍と数は多いが雑兵揃いの袁紹軍。

互いが牽制しあう中、連合軍に情報が齎された。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[賢者と愚者の違い]

互いの違いが一目瞭然。

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