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第71話:龍と死神

魏武の龍。戦場を駆け巡る。

あの男の策が成ったようだ。白馬と延津から放たれた怪しげな赤い光。信号弾と呼ばれる天軍の合図に使われる兵器らしいが、私からみればまるで血だ。

現に白馬と延津からやって来た袁紹の兵は次々と我が軍と奴の派遣した副官が率いる100人ほどの兵の前に倒されて行く。


「皆のもの‼今は耐え凌げ‼さすれば勝機は我らのものとなる‼」

「袁紹のような雑兵共に怯むな‼我ら魏武を見せつけろ‼」

「弓兵は気を付けろ‼間もなくで味方が敵の背後に現れる‼誤射はするな‼」


最前線では曹操殿自らが大鎌“絶”を手に次々と敵の首を刎ね上げ、夏侯惇将軍が大剣“七星餓狼”で敵を斬り伏せ、夏侯淵将軍も弓“餓狼弓”で2人を援護。


あらゆる面で袁紹軍を大きく上回る我が軍の将兵達もそれに鼓舞されて、敵を飲み込んでいった。

しかし私も武人として負けてはいられない。手に赤龍偃月刀を持ち、武を振るう。


「この徐 公明の武‼止められるものがいるならば止めてみせよ‼」


向かって来る袁紹軍兵士を舞い踊るように仕留める。敵の実力はお世辞にもよくない。

我が軍と比べても天と地ほどの差があり、奴等はただがむしゃらに突っ込んで来ているだけだ。後は敵を壊滅させ、官渡城に撤退するだけだ。しかし流石に数が多い。


「ええい‼曹操なぞの輩に敗北など許さん‼囲んで血祭りにしやがれ‼」


血迷ったのか、敵の将は撤退どころか抗戦維持を指示する。はっきり言って愚策としかいいようがない。戦では6つの危険な地形がある。


四方を崖に囲まれた場所、天井。

牢のように三方を囲まれた穴倉、天コウ。

草木が密集して足をとられ易い場所、天離。

両側が崖で前方が細い場所、天ゲキ。

崩れ落ちそうな天然の落し穴、天ショウ。

切り立った崖に挟まれた谷間、絶燗。


孫子兵法第6章行軍編の一説“絶燗に天井、天コウ、天離、天ショウ、天ゲキに遇わば、必ず速やかにこれを去りて、近づくことなかれ”だ。

6つの地形があれば、可能な限り避け、不可の場合は斥候を出して徹底的に調べる。

逆にこちらが敵を追い込んだり誘い込むならば徹底的に利用する。


周辺の地形は切り立った崖が囲んでいる絶燗だ。加えて敵はこちらの策に全く気がついておらず、そんな状態で突き進もうとすると・・・・・・。


「報告‼袁紹軍の後方に劉備軍と孫策軍‼奴らの背後を取りました‼」


白馬と延津を攻撃した両軍に回り込まれ、退路を遮断されてしまう。


「あい分かった‼敵は袋の鼠だ‼このまま一気に締め上げ、奴等を封殺しろ‼」

『応っ‼』


私の指示で配下の兵達も得物を手に前進していく。赤龍偃月刀で1人、また1人と向かって来る敵を斬り捨てる。


「頑張ってるじゃねえか徐晃殿‼」


私の前には先に前進していたと思われるライル殿の副将であるアレックス殿がいた。

既にこの男も多数の敵を斬り捨てたようであり、曹操殿と同じ大鎌と奴の衣服には返り血がこびりついていた。

私は奴の隣に並び、赤龍偃月刀を構え直す。


「貴公も中々の武人とお見受けする、いつかは手合わせを願いたいものだ」

「ほう、気が合うじゃねえか。俺もあんたと闘ってみたいと思ってたところだぜ‼」


そういいながら斬りかかって来た袁紹兵の身体を一刀両断にして、アレックス殿は反対側にいた敵の首を刎ねた。


「だが今はお預け願いたい。されどもいつかは果たしたい」

「いいぜ‼このまま一気に敵を壊滅させる‼」

「ふっ・・・ならば私も更に猛るとしよう‼」


私とアレックス殿は同時に敵へ斬り掛かる。曹操殿達も今が絶好の好機と判断したのか、攻勢に出たようで、可能な限り広がって敵を封殺していく。


「くっ⁉何時の間に回り込まれた⁉」

「そこの者‼袁紹の将と見受けする‼」


敵の将と思われる兵に赤龍偃月刀の切っ先を向け、気迫を飛ばす。目の前の将は槍を構えるが完全に怯んでいるようだ。


「我が名は魏王、曹操殿が配下‼魏軍が武将の徐晃‼貴殿の名はいかがか⁉」

「ふっ・・・ふん‼曹操の小童の飼い犬が⁉あんな小娘如きの将などこのわし田豊の敵ではないわぃ‼」


田豊と名乗る将はそういうと槍を前に突っ込んで来るがあまりにも見え透いていた。構え方も雑で、目線も定まっていない。しかも至る所が隙だらけ。


このような愚か者に時間を掛ける必要はないが、腐っても相手は武人。ならば武には武で返すのが礼儀だ。

私は偃月刀を高く構え、目を瞑って精神を集中させる。


「血迷ったか⁉ならばそのままくたばれ‼」


槍が私の身体を貫こうとした直前、動きを見切った私は身体を逸らして避け、隙だらけである此奴の首目掛けて赤龍偃月刀を構える。


「せめての手向け‼全ての武と力を持って討ち取らせて頂く‼」


そういいながら私は渾身の力を込めて振るい、田豊の首は宙を舞う。首を失った身体は音を大きく立てて地面に崩れ落ちる。

宙を舞っていた首はそのまま落ちて来て、髪を掴むと天高く掲げた。


「敵将田豊‼この徐 公明が討ち取り申した‼」


一騎打ちの勝利を宣言すると、周囲から味方の歓声が挙がり、反対に袁紹軍兵士は自分達の将が討たれたと知り、士気が下がったようだ。


「敵は怯んだ‼このまま勢いに流れ込め‼」

『応っ‼』


そのまま一気に私達は攻勢に出るが、勝敗は暫くしてから付いた。退路を断たれた袁紹軍は呆気なく壊滅。こちらの損害は非常に少ない。

我等の圧倒的勝利だ。私は策を講じたライル殿に感心するが、同時に脅威を抱く。今は味方であるが、敵になると考えたら間違いなく最大の脅威となるだろう。


我等は悠々と官渡城へと凱旋した・・・・・・・・・。

官渡での前哨戦は連合軍の圧勝に終わった。しかし数で勝る袁紹軍は人海戦術で官渡を包囲した。

袁紹の無謀ともいえる愚策に袁紹軍の中で稀な良心を持つ張郃は反論するが・・・・・・。

次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[邪心の中の良心]

愚者は歯止めを知らない。



第2回キャラクター投票、結果発表


第1位:思春

性格的にも軍人としての資質満載


第2位:華琳

軍服を着て手に鞭、ナチスの軍服が最も似合いそう‼


第3位:焔耶

厳しいだろうがどこか抜けている印象がマッチ‼


前回と比べてかなりサッパリとしていますが、ランキングは以上になります。

投稿理由に関しましては私が印象に残ったものを選ばせて頂きました。投票された皆様には感謝の言葉を送らせて頂くと同時に、第3回キャラクター投票を実施いたしておりますことをお知らせ致します。

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