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第7話:狼VS猛将

ライルの実力を見定める為に仕合をする事になった。最初の相手は“猛将”華雄。

賈詡殿の提案で俺の実力を測る為、張遼と華雄との仕合を行なうことになった。会場となる洛陽城の中庭は内部に小さいながらも河が流れており、その隣には桃の木が植えられており、春の満開には絶景だろう。

俺達は木が傷つかないように少し離れた場所で対峙している。設けられている長椅子には董卓殿達が座り、張遼は審判を務める。それだけならまだいいが、どういう訳か知らないが噂を聞きつけた董卓軍武官や文官、更には侍女達も観戦しに来た。

別に休憩中ということで文句はないが、本音を言うと気を使って欲しい。


「・・・・・・ハァ・・・」

「なんや、どないしたんやライル?」

「私との仕合前だというのに随分と余裕だな!!」


俺が溜息を吐くと張遼が尋ねて、華雄が声を挙げて抗議する。


「それより用意はええな?」

「私はいいぞ!!」

「・・・仕方がない、お手柔らかにな」


そういうと俺は神斬狼の刃を起動させて構え、華雄も自分の得物である両手斧“金剛爆斧”を構える。準備完了を確認した張遼は右手を挙げる。


「準備出来たっちゅうことで用意・・・・・・始め!!」


張遼の合図と同時に華雄が先手を仕掛けて来た。


「はぁああああ!!」


華雄は金剛爆斧を右に薙ぎ払って攻撃するが俺はそれを低く構えて回避。しかし続けて左に掬い上げるように振り上げるが後方に小さく飛んで回避。


「でやぁ!!」


反撃の隙を与えないつもりか、華雄は力を込めて振り下ろすが、俺は横に転がる様に回避する。

しかし先ほどまで自分がいた場所を見て驚愕する。何しろ約3mのクレーターが出来上がっているのだ。かなりの力を秘めている。だが攻撃パターンは正面からの攻撃を想定している様で、その影響で行動も単純だ。


「貴様!!逃げてばかりではないか!!いい加減打ち合え!」


中々仕掛けて来ない俺を見て苛立つ華雄は挑発の如く連撃で攻撃するが、その攻撃も全て回避する。


「貴様!!私を愚弄する気か!?」

「分からないのか?」


苛立つ俺の発言が癪に触ったようで、華雄は渾身の力を込めて俺を潰しに掛かって来た。


「舐めるなぁぁ!!」


金剛爆斧が俺を捉えようとした瞬間、俺は身体を横に逸らして紙一重で避け、回避に成功した瞬間に神斬狼に金剛爆斧の柄を挟み込んだ。


「くっ!?」

「力と勇猛さは褒めるが・・・・・・・・・攻撃そのものが単純だ!!」


すると俺は左足に力を込めて華雄の右横腹から彼女を蹴り飛ばした。

地面に倒れた華雄に素早く駆け寄り、立ち上がろうとしていた華雄が手にしている金剛爆斧を踏み押さえ、神斬狼の切先を突き付けた。


「そ・・・・・・それまでや!!」


張遼の合図で仕合終了が告げられ、周囲から歓声が挙がる。神斬狼の刃を収容すると倒れたままの華雄に手を差し伸べた。


「立てるか?」

「あっ・・・ああ・・・・・・」


華雄が手を掴むと勢いをつけて引っ張って彼女を立ち上がらせる。その際に女性特有の甘い香りが俺の鼻をくすぐる。


「ライル、なぜあまり攻撃を仕掛けて来なかった?」

「あれも作戦だ。相手に仕掛けるだけ仕掛けさせ、一瞬の隙を突いて相手を倒す。君は面白い位に引っかかってくれたな華雄」

「うっ・・・・・・」


バツが悪そうに華雄が沈黙する。彼女の実力は決して低くない。むしろ高いほうだが、武人として致命的となる精神面の低さと単調な攻撃が能力を相殺している。


「董卓様、負けてすみません・・・」

「嵐、怪我が無くてよかったです」

「あんたも中々じゃないライル」

「ありがとう、それより気になる事があるんだが・・・・・・」


そういうと俺は右に視線を送る。


「(ジィー)」


ライルの隣にいたのは赤髪に頭頂部から毛が二本、虫の触角のようになっている不思議な雰囲気を存分に醸し出している赤い瞳の少女が見上げていた。


「えっと・・・・・・董卓殿、この子は?」

「恋、何時の間に帰って来たの?」

「月、詠・・・ただいま」

「お帰りなさい、恋さん」


董卓殿と賈詡殿を真名で呼ぶということは関係者であろう。その少女が再び俺に歩みよって来た。


「(ジィー)」

「えっと・・・自己紹介するよ。俺は傭兵団“ウルフパック”指揮官をしているライル・L・ブレイドだ。君は?」

「・・・恋は呂布 奉先」

「そうか、呂布 奉先・・・・・・えぇええ!?」


少女の名前を聞いて思わず声を挙げて驚愕する。何しろ目の前にいる一見大人しそうな少女が三國志の中でも“飛将軍”として名高い最強の武を誇ったとされる呂布 奉先というのだから当然だ。


「えっと・・・呂布。聞いてみたいんだが・・・・・・」

「・・・恋でいい」

「えっ?」

「恋の真名・・・預ける」

「いやいやいやいや・・・出会った途端に真名を預けたら不味いだろ?」

「・・・恋」


つぶらな瞳で俺の顔を見上げてくる。無垢な表情をされたら断ろうにも断れない。


「はぁ・・・わかったよ恋。俺の国には真名は無いから気兼ね無くライルと読んでくれ」

「・・・うん」

「なあなあ、仲ええところ悪いんやけどな、早よう仕合しようなぁ」


振り向くと張遼が自分の得物である偃月刀“飛龍偃月刀”を肩に背負って待っていた。どうやら早く闘いたいようで、身体が疼いている。


「恋、ちょっと失礼するよ」

「・・・(コクリ)」


そういうと俺も神斬狼を構える。


「うちは嵐みたいに単調やないで!!舐めとったら痛い目に遭うで!!」

「・・・みたいだな」


こんどは華雄が審判を務めるようだ。華雄は片手を高く挙げて合図を出す。


「用意はいいな?・・・・・・・・・始め!!」


合図と同時に互いが距離を詰めてぶつかり合う。狼と神槍との仕合がいま始まった・・・・・・・・・。

華雄との仕合で勝ち星を挙げたライルはすぐに張遼との仕合に挑む。


神槍との異名を持つ素早い攻撃にライルは悪戦苦闘する。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”


第8話:神槍


閃光の槍使いが舞い踊る。

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