第68話:オペレーションボギー発動
袁紹軍の戦力を低下させるオペレーションボギー始動。
官渡・・・・・・現在の河南省中夘県に位置するこの場所は九州の中心である中原の地であり、中国7大古都のうち、殷の都安陽、東周から長く都が置かれた洛陽、宋の都開封の3大古都を有する。
そして赤壁の戦い・夷陵の戦いと共に『三国志』の時代の流れを決定付ける重要な戦いと見做される。
俺が指揮する第1中隊120名は連合軍白馬方面強襲軍として一刀が指揮する劉備派遣軍と共に白馬に向かっていた。
「ウルヴァリンから各中隊。現在地と状況を報告せよ」
<こちらアイアンマン、曹操軍と共に順調に進軍中。まもなくで予定地点に到着する。どうぞ>
<パニッシャーからウルヴァリン。こちらも順調に延津に接近中>
「了解した。作戦開始は赤色の信号弾。幸運を祈る。ウルヴァリン out」
通信を終了させると俺は久々に装着する神斬狼の状況を確認する。
今回のオペレーションボギーだが、中央に曹操、夏侯惇、夏侯淵、荀彧、徐晃という魏軍の重鎮達で構成された陽動部隊が進軍している隙に、俺達が西門、雪蓮殿が指揮する孫呉海兵隊とレオンが率いる第3中隊が東門より出陣して延津へと向かう。
そして両方の敵が曹操に集中すると俺達の出番だ。
曹操と行動しているアレックス率いる第2中隊の通信で合図を送り、確認したらまずM252 60mm軽迫撃砲による先制攻撃で敵の出鼻を挫き、30秒間による砲撃後に突撃。
敵の残存戦力と保管されている兵器と兵糧を破壊した後に、奇襲成功の合図である赤色の信号弾を発射。
曹操軍が渓谷に敵を誘き寄せる、白馬と延津両方より合流した部隊で敵を挟撃して殲滅。その後に官渡城に帰還する。
しかし今回の戦闘で俺達にはかなりの制限が掛かっている。理由は単純明快で、いずれは敵になる曹操軍に可能な限り情報を与えない処置である。
だから戦車やヘリはもちろん、ジャベリンやSMAW、更にクレイモアも使用出来ない。辛うじてM262とM320A1が使用出来る程度で、官渡では白兵戦が主体になる。
ジーンから名高い武将と同格の実力に底上げされていることに加えて、日頃から訓練はしてきていたから問題無しだろう。
「ライルさん、状況はどうなってますか?」
「順調だ。敵はまだこちらの作戦に気がついた様子は見当たらない。予定通りだよ」
「せやけどまさかこんな早ようにライルと一緒に戦えるやなんて、嬉しいなぁ♪」
「しかしライル、お前は本当に凄いな」
「何がだ愛紗?」
「曹操殿をあそこまでやる気にさせて、しかも大胆で先読みした策をあんな短時間で思いつくところだ。朱里や雛里ならともかく、私には想像すら出来ないだろう」
「ありがとうな、それより愛紗は確か徐晃と出身が一緒だったよな?」
「あぁ、徐晃殿には色々と世話にもなったことがあってな、私の偃月刀も徐晃殿から頂いたものなのだ」
確かに徐晃と関羽は河東郡の出身で、敵味方を超えて武人の共鳴をしたとされているが、偃月刀の話は聞いたことが無い。
そういえば確かに徐晃は出陣する際に手にしていた得物は、まるで色違いの青龍偃月刀だ。赤色が主体だったから名前は赤龍偃月刀というところだろう。
「しかし・・・・・・帝を僭称した袁紹の討伐とはな・・・」
「確か時系列的には・・・袁術討伐が正しいでしたよね?」
「ああ、記録では帝を保護した曹操に対抗するように、孫策から預かった玉璽で帝になろうとしたが誰も認めず、曹操軍と孫策軍、更に曹操軍に身を置いてた劉備軍の3つが討伐を命じられ、袁紹以上に将に恵まれてなかった袁術軍は壊滅したらしい」
「みたいですね。しかもこの官渡の状況がその寿春と酷似してるし、愛紗・・・・・・関羽や張遼、賈詡の3人は曹操軍にいて、徐州を追われた劉備軍は袁紹軍に身を寄せてた」
「もはや知識は役立たないな・・・・・・」
「みたいですね・・・・・・」
周囲を警戒しながら俺達は慎重に白馬に到着。兵を丘に隠し、60mm軽迫撃砲を5門設置すると暗視装置を使って敵情を観察する。
「こちらウルヴァリン、予定地点に布陣。状況は?」
<こちらアイアンマン、予定地点に到着>
<こちらパニッシャー。予定地点に到着しました。いつでも攻撃可能>
「了解した、オペレーションボギー発動。曹操殿に行動開始と伝えてくれ」
<Copy that Colonel>
<Copy that Colonel>
これで準備が整った。すぐに曹操軍がいる中央戦線から派手に銅鑼が鳴らされ、しばらくしてから白馬の部隊がそちらに向かって行った。
「よし、掛かってくれた」
「愛紗、霞。準備して」
「お任せ下さいご主人様」
「いつでもええで一刀」
<アイアンマンから各中隊へ‼荷物が届いた‼繰り返す‼荷物が届いた‼>
アレックスからの合図が届いた。俺はすぐに無線越しに迫撃砲部隊へ指示を出した。
「ウルヴァリンから迫撃砲部隊‼砲撃開始‼」
作戦が開始された。白馬と延津の敵部隊が曹操軍に集中した隙に、延津方面の雪蓮が指揮する孫呉海兵隊とレオンが指揮する第3中隊も攻撃を開始した。
次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”
[烈火の一撃]
孫呉海兵隊の有志達が敵を駆逐する。