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第64話:4人の武将

海兵隊が駐留している浦口駐屯地。ここにライルはあの4人を呼んだ。



*内容の一部に元ネタと応募された部隊名あり

浦口、建業の対岸に位置する土地で、前世では浦口区として栄えている。

浦口にはようやく設立に漕ぎ着けた孫呉海兵隊の海兵隊員4,000名が駐屯していた。後はこれを1,000人ずつの大隊4個を振り分け、更にそれらを指揮する武将4人を選抜する。しかし既に誰を選ぶかは決まっている。


「で・・・お前達が呼び出された訳だ」

「なるほど・・・」

「ひゃわ・・・・・・私が将軍にでしゅか⁉」

「某が将にですか?」

「・・・・・・・・・・・・」


浦口の海兵隊駐屯地の本陣には俺の他に千里、美花、優龍、そして百合の4人。初めて会った時にこの4人の忠誠心と武に注目していた。

海兵隊の部隊を指揮する将校は他の海兵隊員よりも国家に対する忠誠心は高くならなければならないし、最前線が活動の場であるから死亡率がかなり高い指揮官の実力はかなり高く必要とされる。


「この海兵隊は俺がいた天界では別名“殴り込み部隊”とも呼ばれていた。他国に何か不穏な動きがあったら真っ先に敵地に送り込まれることからな」

「殴り込み部隊って・・・・・・かなり物騒な通称名ですね?」

「まあな・・・だが常に最前線に送り込まれるから必然的に隊の能力はかなり高い。指揮官となるとそれ以上だ」


実際は指揮官も兵士も充分に能力が高いが、ここは誇示しておく。


「・・・しかしライル様」

「どうした百合?」

「私と丁奉が誘われた理由はよく分かります。私は水軍出身で丁奉もかなりの実力者です。しかし一軍師と軍船の設計技師が武将に迎え入れられるというのはどうかと思います」


その言葉で千里と美花がむっとした表情で百合を睨む。俺は咳払いをして場を整えた。


「その点なら問題はない。この2人はしっかりやってくれるよ」

「なぜそのような根拠が?」

「理由は簡単だ。まずは美花だが知っての通り武器を手にすると性格が変わる。弓を持つと凶暴になって、斧を持つと冷静になる」

「えぇえええ⁉わ・・・私は性格が変わりましぇん‼・・・・・・噛んじゃった・・・」

「お前は朱里か「しゅりぃいいいいい‼‼」てめえも黙ってろ‼」


朱里に反応して超絶妹バカが出た千里の頭に竹簡を叩き落とす。


「確かにそうなのですが、それと何か関係が?」

「だったら百合。お前は昼間から弓一式を抱えて夜遅くまで走り続け、尚且つ息を上げずにいられるか?」

「・・・・・・不可能です」

「美花にはそれができるんだよ。まあ、武器を持たせたらの話だがな・・・・・・」


俺はその事を思い出して失笑してしまう。一度だけ彼女への暗黙の了解を忘れて訓練中に弓を渡してしまったことがあり、翌日の訓練にかなりの支障をきたしてしまった。

まあ、そのお陰で彼女が受け持つクラスの基礎体力は一番高い。


その美花はというと恥ずかしいのか、隣にいる優龍の背後に隠れてしまっている。ひとまずは彼女に補佐を付けておいた方がいいだろう。


「次は千里だが・・・俺は一度だけこいつと模擬戦をしたことがあってな。その時に分かったことだが・・・・・・」

「何がでしょう?」

「こいつは“氣”の使い手でもある。荒削りのところもあるが、鍛えればかなりの強さになる筈だ」

「よく分かりましたね。あれでもかなり抑えたのですが・・・・・・」

「確かに上手く隠されてたが、無意識に翡翠杖に氣を送ってたぞ。あれのお陰でかなり危なかった」


正直に言うと千里が氣の使い手だったとは驚いた。しかも奴の場合は氣を錫杖に集中させ、地面を突いた際の音で相手の動きを一時的に封じ込ませるというものだ。


氣をより多く溜めればそれだけ範囲も広がるが、その分だけ氣の消耗も激しくなる。いわば諸刃の剣。しかしそれを無しにしても千里の武には一目置いている。朱里に関する話をしなければ大丈夫だろう。


「これ以上の理由は必要か?」

「・・・・・・・・・すまなかった。諸葛瑾、太史慈」

「分かって頂けたら結構です。凌統将軍」

「(コクリコクリ)」

「優龍は異存はないか?」

「某は異存ありません。その大役、喜んで引き受けさせて頂きます」

「よし、4人にはそれぞれ1,000人ずつの兵を与える。弓兵や軽歩兵、重歩兵と効率的に配備しているからな。鍛錬は連携重視で行動してくれ。詳しい内容はこれにある」


そういうと4人に一日の流れや採用している武器のデータ、兵科の内容や所属人数の数値。各種訓練内容と方法、効果や時間などといった事を記している兵法書を渡す。


「あ・・・あのぅ・・・・・・ラ・・・ライルしゃまが書かれたのでしゅ・・・ですか?」

「そうだ。訓練は3日後だ。それまで可能な限り内容を叩き込んでくれ。不明があれば聞きに来てくれ」

「御意」

「それでライル殿、某達の部隊名はいかようか?」

「兵法書の表紙に書いてある」


そうすると4人が同時に表紙に目を配る。そこに書かれていた部隊名は・・・



第1大隊

指揮官:諸葛瑾 子瑜

部隊名:飛狼隊


第2大隊

指揮官:太史慈 子義

部隊名:雄狼隊


第3大隊

指揮官:丁奉 承淵

部隊名:仁狼隊


第4大隊

指揮官:凌統 公積

部隊名:神狼隊



「俺の部隊は本部直属になり、部隊も第0大隊“群狼隊”に改名。それぞれの牙門旗や孫呉海兵隊の牙門旗はいま用意している。届いたらすぐに知らせるからな」

『御意』

「ようこそ海兵隊へ‼我等は貴官達の着任を歓迎する‼」


そういうと俺は4人に踵を鳴らして最敬礼の姿勢を執る。それに吊られて4人も同様に敬礼を返して来た。

4人が着任したことで孫呉海兵隊は完成した。後は実戦を経験させれば孫呉の中でも屈指となるだろう。陣地に掲げられた孫旗が風で靡き、それを心待ちにしていた・・・・・・。

曹操軍の本拠地がある許昌。袁紹軍の徐州制圧失敗と孫呉海兵隊の情報を纏める中、ある1人の男が任務より帰還した。

次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[魏武の龍]

武を極めんとする武人。ここにあり。




元ネタ解説

飛狼、雄狼


中華人民解放陸軍特殊部隊“飛龍”と“雄龍”の龍を狼に置き換えた名前。

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