第63話:Wu Marine's
帰還したライル達。孫呉に新しい部隊が登場する。
徐州から無事にキャンプ・ヴェアウルフに帰還した俺達は提出する報告書を纏め上げ、一休みして翌日に建業へと向かった。
「お帰りなさいませ将軍‼」
「ただいま」
「アレックス様もご無事で‼」
「ありがとう、いま帰ったよ」
城に入ると直ぐに兵士や侍女達から熱烈な歓迎を受けた。クラス“B”ブルードレスを着ているから市街地でも注目の的だった。
報告書を脇に抱えながら挨拶してくる人達に敬礼をしながら歩いていき、雪蓮殿達が待つ玉座の間へと入室していった。
「失礼致しま・・・「「おっかえり〜‼ラ〜イル‼」」またかよ⁉しかも増えてる⁉」
入室するやいなや、雪蓮殿とシャオ殿が抱きついて来た。
「も〜っ‼お姉ちゃん離れてよ‼ライルは私のお婿さんになるんだから‼」
「シャオこそ離れなさいよ‼ライルは胸が大きい子が好きなんだから、ねえライル♪」
そういうと雪蓮殿は俺の顔を胸に押し付けて、シャオ殿は背中に飛び乗って来た。危険を察知したアレックスは直ぐにその場から離れてしまい、他のものは呆気に取られている。
「ちょっ⁉し・・・雪蓮殿⁉苦しい⁉」
「もう、ライルったら照れちゃって可愛い♪」
確かに恥ずかしいあまり俺は顔を真っ赤にさせている。というか、頼むから誰が助けてくれ。
「「いい加減にせんか‼」」
「「きゃん⁉」」
見かねた冥琳殿と祭殿がそれぞれの頭に拳骨をお見舞いして、2人は頭を抑えながら悶絶してしまう。確かに音からして痛そうだ・・・。
「すまないなライル」
「いつも助かります・・・冥琳殿」
「これ、儂は無しか?」
「祭殿もありがとうございます・・・」
「応っ‼礼は酒で構わんぞ♪」
ここにも手間が掛かる人物がいた。一応は全員に土産は用意しており、祭殿には酒壺一つを買ってあるが、後で追加にもう2、3個を用意する必要が出来てしまった。
すると若干涙目になっている雪蓮殿が復活した。
「もう‼痛いわよ冥琳‼」
「だったら無闇にライルに抱き付くのをやめればいいであろう?」
「ブーブー‼それじゃつまんな〜い‼」
「祭もひっど〜い‼頭の形が変わっちゃうじゃない‼」
「心配は無用じゃ。尚香殿の頭の硬さなら大丈夫ですぞ」
確かにこういっては何だが、シャオ殿は石頭の印象がある。というか先程の拳骨でシャオ殿の音が鈍かった気がする。
これ以上漫才を続ける訳にはいかないので、俺は持っていた報告書を冥琳殿に渡した。
「まあ・・・楽しい漫談はそこまでにして・・・・・・こちらが報告書になります」
「ああ、確かに受け取った・・・・・・」
そういうと冥琳殿は報告書を睨みつけるように伺う。
「魯粛や千里からも報告は受けている。袁紹の撃退。よくやってくれた」
「ありがとうございます。しかし奴が再び動きを見せれば我々も動きます。そして今度こそ引導を・・・」
「じゃあその時は私も連れてってね♪」
「こら、雪蓮⁉」
「だってライル達ばっかりじゃずるいじゃない♪それに私も久々に暴れたいし♪」
雪蓮殿・・・・・・本音がだだ漏れです。
確かに総大将自らが先頭に立てば兵の士気が挙がるだろうし、俺自身も彼女の武には興味がある。
そんな彼女に対してため息を吐きながらズレだ眼鏡のブリッジを押さえながら正しい位置に戻す。
「あなたには溜まった業務の整理が残ってる筈だが?」
「ぎくっ⁉・・・・・・え・・・ええっと・・・め・・・冥琳が代わりにやってくれるっていうの「私がそれを容認すると思っているのか?」うっ・・・・・・」
「はっはっはっ‼相変わらず流石の策殿も冥琳には敵わぬようじゃの・・・「あなたもですよ祭殿?」ぎくっ⁉」
・・・頼むから漫才をやめてほしい。というか冥琳殿が先ほどから妙に怖い。普段が冷静だからその分だけ今の状態が怖い。
「まあ、2人には後で“みっちり”と業務をしてもらうとして、ライルに伝えることがある」
「なんでしょう?」
「例の新設する部隊の準備が整ったぞ」
冥琳殿の言葉で俺の表情はすぐに指揮官の表情に変わる。
「やけに早かったですね?」
「安心しなさい、手は抜いてないわよ♪」
「そうじゃ。手など抜いたら儂らの面目に関わるからのぅ」
「ああ、これが詳細書だ」
そういうと懐から一枚の書類を取り出した。いつも思うのだが、一体全体どこから取り出している?
「・・・人数は確かに4,000人。駐屯地は浦口。確かに予定通りですね」
「ああ、だが部隊の指揮する者と装備がまだ決まっていないが、どうするのだ?」
「装備に関しては既に手を打ってあります。しかし刀鍛冶を出来るだけ多く手配して下さい。欲を言えば腕のいい職人を中心に・・・」
そういうと確かに頷いた。この年代の技術力を考慮に入れ、尚且つ孫呉軍兵士達が使い易い武器を選ぶのには苦労した。
「ねえライル。それで新しい部隊の名前はなんてするの?」
「ええ、4つの部隊にはそれぞれ別の名前がありますが、それらを統一した部隊の名前は・・・・・・・・・。」
全員が耳を傾ける。
「部隊名は・・・・・・“孫呉海兵隊”です」
孫呉海兵隊・・・・・・俺達の海兵隊の技術や知識を孫呉に伝授して、呉の繁栄に尽力する最前戦で戦う部隊。
その後にも簡単な打ち合わせを行ない、俺達は次の仕事に取り掛かる。次の仕事は、4つの大隊を指揮する将軍の選抜・・・・・・・・・・・・。
孫呉海兵隊が駐留している浦口へと向かうライル達。部隊を眺めた後にライルはある4人を集めた。
次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”
[4人の武将]
孫呉海兵隊が活動を開始する。