第47話:同盟締結
劉備軍との同盟締結。その後で珍事件が起こる。
俺達が城に到着した次の日の昼頃。下邳城から5kmほど離れた支城にいた。理由は同盟締結と同時に俺達は袁紹軍を撃退する迄の間だけ劉備軍の指揮下に加わる。
使者である千里と魯肅はアレックス達の護衛を受けてスーパーシースタリオンで到着したが、到着早々に妹である孔明に兄の千里が抱き付き、共にいた一刀に攻撃を仕掛けたのはいう迄も無い。しかも“諸葛瑾流地獄落とし”という名前のバックドロップで・・・・・・。
俺達は袁紹軍の攻撃に備えて支城の城壁にいた。最初の到着した機械化歩兵部隊[ソードブレイカー]及び空中強襲歩兵部隊[ハルバート]120名と共にだ。残りの軽歩兵部隊[エストック]60名は必要な物資と共にあと1時間程で到着する予定だ。
その間に城壁で双眼鏡を手に国境の方角を見る。
「敵の位置は?」
「まだ国境を超えてない。流石に増強をしてるようだぜ」
「奴等にしては予想外だな・・・てっきり補給やクソ野郎共のエサの時間も省いて来やがると思ったんだが・・・」
「エサの時間って・・・・・・大概だな」
「当たってるだろ?」
「まっ、否定はしないな♪」
隣にいるアレックスと共にくだらない会話をしながら様子を伺う。既に国境付近に暮らす民の避難と駐留部隊の退避は完了している。
劉備軍将兵の実力は関羽や張飛、霞、嵐たちが指南役をしていることで練度はかなり高い。
漢の中で最も練度が低い袁紹軍の雑兵共程度なら簡単に勝てるが、流石に数の暴力では勝てない。ならば戦略的撤退を実施して敵を目の前に広がる平原におびき寄せる。
後は策を練って撃退させれば簡単だ。因みに俺の身につけている装備や服装は着替えてある。
MARPATピクセルグリーンデジタル迷彩服に今迄使用していたCIRASアーマーベストからより拡張性と防護性が高いコヨーテブラウンカラーのMTVアーマーベスト、ピクセルグリーンデジタル迷彩カバーを取り付けたLWHヘルメットだ。
今迄の装備でも十分に対応できていたが、乱戦になると少しでも防御力が高い方がいいという理由で、装備品の一新を行なったのだ。
機動力が必要なハンターキラーではそのまま使用しているが・・・。
「交渉の方はうまくいったかな?」
「多分な、だが千里の奴・・・・・・後でお仕置きだな」
「どんな?」
「宙吊りにして目の前にあいつ宛の孔明直筆の手紙か生写真を置いておくか」
「・・・・・・ある意味で残酷だな・・・」
「ふふふふ・・・・・・」
確かに超壮絶妹バカの千里にとってこれ以上無い程に辛いお仕置きだ。その様子を想像すると不敵に笑ってしまう。そして不意に右を見てみると、その千里と魯肅が歩いて来た。しかし千里は魯肅に引きずられながらだ。
「ライル将軍、アレックス将軍」
「よう魯肅。交渉は?」
「滞りなく終わりました。これでわが軍と劉備軍は同盟関係になりました」
「ご苦労だったな魯肅。しかし・・・・・・それどうした?」
「このバカですか?」
「うぅうううう・・・・・・朱里ぃ・・・・・・」
魯肅に引きずられながらやって来た千里は魂が抜けかけた表情をしながら孔明の真名を読んでいる。
「・・・説明がいりますか?」
「「いや・・・・・・もう分かったからいい・・・」」
完全に呆れてしまう。
「私は建業に帰還します。孫策様になにかお伝えすることは?」
「ああ、俺達は袁紹軍討伐完了まで帰れないということだけ伝えてくれ」
「分かりました」
「「後はそのバカも連れて帰ってくれ」」
「分かってます・・・・・・おっ」
魯肅が何かに気がついて振り向くと、一刀と孔明がこちらに来ていた。
「ライルさん、アレックスさん」
「よう北郷君。それに孔明ちゃんも・・・どうかしたか?」
「はい、実は孫策さんに親書を届けてもらおうかと「しゅりぃいいいい‼‼」はわわ〜お・・・お兄さん⁉」
彼女の姿を見た瞬間に復活した千里が孔明に抱き付いて頬ずりをする。
その孔明は両手をバタつかせながら抜け出そうとしているが、ホールドされているので抜け出せずにいた。
「もう‼ほっんとうにかわいいなぁ‼」
「はわわ⁉も・・・もうお兄ちゃん⁉やめて下さい‼そんなことばかりしてると・・・・・・プンプンしちゃいますよ‼」
何とか抜け出した孔明は頬を膨らましながらそっぽ向いてしまう。
というより孔明よ・・・・・・その子供っぽいリアクションがなぜ千里への促進剤になるというのに気がつかない?
そしてとうの千里はというと・・・・・・。
「ひゅわわわ‼‼か・・・可愛すぎて・・・お兄ちゃん・・・・・・ガクッ」
孔明のリアクションに耐えきれず、満足に満ちた表情をしながらその場で気を失った千里。帰ったらさっきのお仕置き実行決定だな・・・。
ひとまず孔明から親書を受け取って、魯肅に渡す。
「確かに受け取ったよ。それとすまないな孔明ちゃん。うちのバカが・・・」
「いえ・・・千里お兄ちゃんはいつもこんな調子でしゅから・・・また噛んじゃった・・・」
だからなぜそこで噛む?
「ははは・・・それよりライルさん、実は昼飯の準備が出来たから呼びに来たんですよ。一緒にどうですか?」
「おっ・・・いいな♪」
「月と詠が作ったんですよ」
「ちょうど腹も減って来たから呼ばれるとしよう」
「分かりました、だったら一緒に・・・ん?」
一刀は袖を引っ張られたので見てみると、何時の間にか恋がいた。
「恋、どうかしたの?」
「うん・・・ご主人様とライルとアレックス、迎えに来た」
どうやら空腹だから迎えに来たのだろう。
「ははは・・・だったら行こうか、恋。朱里」
「(ニコニコ)」
「はわわ〜ナデナデされましたぁ〜」
2人の頭を同時に撫でてあげる一刀に、それに喜ぶ朱里と恋。これだけ見ると慎ましい光景だが、それもすぐに終わる。城壁の向こうから凄まじい砂煙を舞いあげながらこちらに向かってくる人影だ。
「ちんきゅぅうう・・・・・・」
恋命のネネが血相を掻いて特攻を仕掛けて、少し手前に差し掛かるとジャンプする。
「きぃいいいっく‼‼」
「ぐほぉ⁉」
後頭部からまともに彼女の必殺技“ちんきゅうキック”を食らう一刀。そのまま倒れると思ったが、そうはならなかった。
「・・・・・・テメェ・・・ナニイモウトヲタブラカシトルンジャワレェ‼‼」
「しょ・・・諸葛瑾さん⁉」
彼の背後に何時の間にか復活した千里が回り込んで、そのまま両腕で一刀をホールドしている。
「シニサラセボケェエエ‼“諸葛瑾流地獄落とし”‼‼」
「がはっ⁉」
そのまま千里は身体を反らして一刀を持ち上げ、彼を頭から地面に打ち付ける。バックドロップの完成だ。
そんなハチャメチャな出来事に俺達はため息を吐くしか出来ず、酷い目にあった一刀を連れて食堂に向かうのであった・・・・・・・・・。
ライル達が徐州で戦闘準備を進めている頃、キャンプ・ヴェアウルフを任されているレオンは建業で警邏任務に就いていた。そして郊外に明命の姿があった。
次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”
“猫”
猫の世界が広がる。




