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第25話:任務完了

第1章:陽人の乱、これで最終回。

一刀と孫策の助太刀によって窮地を脱した俺達。周囲には反乱を犯した一味の死体の山。そこから発せられる“死の臭い”が立ち込めて来ているが、俺は気にせず2人と対峙している。


「北郷君、孫策殿。改めてご助力に感謝いたします」


助太刀してくれた事に対して、俺は踵を鳴らして敬礼をしながら感謝する。


「それでライルさん、こいつ等は?」

「反乱を犯した第2師団の連中だ。こいつ等は董卓殿への忠義を簡単に裏切り、姑息な十常侍の残党に寝返ったクソ野郎だよ」

「そして、その生き残りが・・・・・・」

「ええい‼縄を解け‼わしを敵に回して只で済むと思っているのか⁉」


そういうと縛られた髭を生やして、かなり肥えた中年男を横目で見る。

この男こそが民を苦しめ、無用な戦を引き起こして漢王朝の失墜を引き起こした張本人、十常侍筆頭の張譲だ。追い込まれて溺れ死んだと思われていたが、実際は息を潜め、月殿への復讐の機会を伺っていた。


「それで、そこにいる可愛らしい女の子が董卓ちゃんね?」


孫策は次に月殿を見るが、2人の間に詠が割り込んで来た。


「違うわ‼私が董卓よ‼捕まえるなり処断するなり好きにしなさいよ‼」

「詠ちゃん⁉」

「・・・・・・いや・・・その銀髪の少女が董卓だな?」


自分が董卓だといって月殿を庇う詠。だが嘘であるとすぐに見抜いた一刀に問われて呆気に取られる。


「ち・・・違わないわよ‼大体、何処にそんな根拠があるのよ⁉」

「理由ならある。君は名乗ってからまばたきの回数が異様に多い。更にさっきから指が必要以上に動かされている。君が嘘をついている証拠だ。加えて君の発言からして後ろにいる女の子が董卓。そう推理したまでだよ」


詠は的確な推理で言い当てられて、視線を逸らして沈黙してしまう。この行為が真実だと認めてしまっている。


「私も一刀と同じ意見よ。うちにあなたを一回だけ見た事がある子がいてね、その子から特徴を聞いてたのよ。董卓ちゃんは大人しそうな銀髪の女の子だって♪」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・あなたの言うとおり、私が董卓 仲穎です」


嘘は通用しないと判断して、月殿は自ら董卓と名乗る。


「俺は劉備義勇軍所属の北郷 一刀」

「あんたが“天の御遣い”⁉」

「へぅ〜、御遣い様ですか?」


一刀が御遣いだと聞いて2人は驚愕する。しかし聞かされている噂から事実と悟ったようで、落ち着きを取り戻した。


「それで北郷君、孫策殿・・・・・・洛陽をご覧になった感想は?」

「俺の思った通り、圧政が強いられた形跡は全く無い。それどころか凄くいい街だよ」

「民がいないのが気になるけど、昔みたいに荒れ果てた印象がある洛陽とは思えないわね」

「それでライルさん、街の人達は?」

「ここから西に進んだ避難場所にいる。民を巻き込みたくは無かったからな・・・そこにいるクソッタレと違ってな」

「黙れ‼おい小僧に孫策‼貴様等は反董卓連合だろうが⁉早いとこその男と董卓を殺せ‼」


張譲は尚も一刀と孫策に命令しようとするが、南郷が蹴り、霞が鉄拳をお見舞いして黙らせた。


「君達には話しておいた方がいいだろう・・・薄々は気づいていると思うが、今回の戦そのものが袁紹と張譲が結託した茶番劇だ」


俺からの説明に2人は耳を傾ける。


「袁紹の狙いはこちらの董卓殿を亡き者にして王室の中枢に入ること。それらの条件の見返りに漢王朝で再び私腹を肥やすという張譲は情報を流す」

「ねえ、だったら何でこの男は董卓ちゃんの印象を袁紹に流さなかったの?あの女が知ってたとはとても思えないんだけど・・・」

「恐らくは自分が討ち取ることで、より良い条件を要求するつもりだったのだろう」


それなら納得できる。この時代で将、特に指導者を討ち取れば、かなりの褒美がもらえる。まあ、袁紹がそんな太っ腹なことをするはずが無い。


「俺達は誰かが情報を流していると薄々気付き、内面的に調べていたという訳だ。更に折角だからその裏切り者を利用してしまおうと考えたという訳だ」

「あら、どう利用するの?」


孫策殿が尋ねてくると俺は口元を笑わせて張譲を睨み付ける。


「幸いにも袁紹やその一派には董卓殿の素顔は知られていない・・・・・・ここまでくればもう分かるだろ?」


そういうと南郷が背中に背負っていた政宗を抜刀して俺に渡す。それをしっかりと受け取ると刃を張譲に近づける。

俺の仕上げとは裏切り者の頸を董卓殿とすること。死体があるのなら信憑性が高いし、周囲には反乱兵の死体だらけ。更に月殿の素顔は知られていないから、誰が証明しようとしてもその頸が董卓となってしまう。


「まっ・・・待て⁉た・・・頼む‼命だけは・・・そ、そうだ‼一緒に王朝の座を目指そう‼ソナタ等の力があれば簡単に実現するぞ‼」


俺は張譲の命乞いに対して俺は溜息をついてしまう。


「なっ・・・何だったら金もやる‼一生遊んで暮らせるぞ‼」

「・・・・・・うるせぇんだよ・・・虫が・・・」

「まっ・・・」


小さく殺気を込めて俺は政宗を振り下ろした。頭を失った体は切断面から大量の血が吹き出し、斬り落とした頸を孫策殿に手渡した。


「孫策殿、この“董卓の頸”をお願いします」

「いいの?」

「はい、それから北郷君には皆の保護を・・・・・・」

「はい、もちろん喜んで保護します。それで、ライルさん達はどうするんですか?」

「部下が合流地点で待っている。すぐに離れるよ」

「ライルさん・・・・・・」


振り向くと寂しそうな表情をしながら見上げてくる月殿だ。


「・・・では、機会があればまた」

「ライルさん・・・本当に一緒に来ないのですか?」

「・・・・・・残念ですが、俺達は袁紹やその一派に目をつけられた・・・そんな奴等がいけば・・・」


俺達が董卓軍から離れる理由はまさしくこれが理由だ。せっかく彼女達の安全を確保出来たのに、俺達がついて行ったら確実に袁紹はそれを理由に戦を広めるだろう。それを防ぐ為の措置だ。


「そう・・・・・・ですか・・・」

「申し訳ない・・・それと・・・・・・」


そういうと一歩だけ下がり、踵を鳴らして直立不動の姿勢を執り、最敬礼を行なう。


「短い間でしたが、あなた様のような素晴らしいお方と行動を共に出来て、光栄でした」


一言礼を言うと、霞達に歩み寄る。


「詠、霞、嵐、恋、ねね。月殿をしっかり頼むぞ」

「分かってるわ」

「任せとき‼うちらがライルの分までしっかり守ったるさかいな‼」

「ライル、お前には助けられた借りがある。それを返すまで死ぬなよ」

「・・・ライル、また会う」

「ふっ・・・ふん‼言われるまでもないです‼」


一言ずつ礼を言うと俺は再び孫策に話しかける。その手には“ある物”が握られている。


「孫策殿、何も言わずにこれを・・・」

「あら、恋文かしら♪」


からかい半分の表情で俺を見るが、渡された物を見て表情が真面目になる。


「これは・・・・・・・・・」

「決して間違った使い方をしないように・・・」


そういうと俺は撤退を開始する為に準備を開始する。部下達が脱出手段を取りに向かう。

それから数分後、その手段が来た。


「な・・・なんや⁉」

「物の怪か⁉」

「・・・・・・・・・」


一刀以外の人間は驚きを隠せずにはいなかった。それもそうだ。俺達が脱出手段として用意したのはNATO3色森林迷彩の[光と影]を施し、ガンターレットにM134D 7.62mm6銃身ガトリングガンを取り付けた4輪駆動軽汎用車両のM1114[ハンヴィー]だからだ。

これまでの俺たちの移動手段が徒歩で、流石に遠距離を移動する“足”が必要となったと判断した結果だ。

到着した3両のハンヴィーに部下達が乗り込み、俺も乗り込もうとしながら一刀に振り向く。


「北郷君‼皆を任せたからな‼」

「はい‼ライルさん達もお元気で‼」


改めて月殿達を彼に任せると、俺はハンヴィーに乗り込み、全員が乗り込むと移動を開始。洛陽の南西門から南にある合流地点の南陽に向かった。

この後、無人の洛陽を連合軍が占領したことで陽人の乱は終結した。


戦いの後、劉備義勇軍は恋達を保護したことで屈指の戦闘力を誇るようになり、更に復興活動や民の心を癒すという戦後処理で活躍したことが表彰され、徐州の州牧に襲名。


孫策は戦での活躍は無かったが、董卓とした張譲の頸を討ち取ったことで、討逆将軍に任命。独自の軍備を持つ権限が与えられた。


その他勢力も活躍に応じてそれ相応の褒美が齎されたが、虎牢関での非人道的行為に加えて、敵と通じていたということで袁紹のみは大幅な降格、1年以内の権限剥奪が言い渡された。


これで俺達の任務は完了した。次に俺達が向かう場所は“新たなる戦場"・・・・・・。

陽人の乱が終結して一月。俺達は次の戦場へと舞い戻る。

そして独立を目指す孫策軍がライル達の前に現れる。



次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”


[孫策との契約]


英雄同士、対話が始まる。



※アンケート第2段実施中。詳しくは活動報告まで。

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