第24話:三英雄
注意:かなりぶっつけ作品で、急遽考案した作品です。
やはり直感で考えた作品は・・・・・・。
虎牢関が連合軍により陥落。この戦いで連合軍も董卓軍も総戦力の半数を失う甚大な被害を被った。
そして俺達も負傷者を含めてA中隊の第1分隊を除いてB中隊とC中隊を先に部隊の合流地点である荊州の南陽へと向かわせた。
不要になった董卓軍を解体して、霞達と共に急いで洛陽城へと向かう。
「民の退避は完了した様だな」
「せやな、せやけどこんだけ静かやと何か不気味やな」
「・・・何か寂しい」
「ねねは恋殿と一緒だから寂しくないですぞ‼」
「しかし・・・妙だな」
「嵐、どうした?」
民の気配が完全に消えた光景に嵐は何だか腑に落ちない様だ。
「うむ・・・確かに静かなんだが・・・・・・静か過ぎる」
嵐の言葉に俺も不信に思った。確かに静か過ぎる。確か南郷からの報告では城下町には敵の細作に備えて巡回部隊を配備していた筈だ。
それが帰還してから一度も見かけていないのだ。そこで無線を取り出して南郷の部隊に通信を行う事にした。
「ウルヴァリンからサイクロプス。状況を報告せよ」
<中佐⁉よかった‼こちらは大変なことに‼>
「何だと・・・詳細を報告せよ」
<第2師団の連中が反乱を起こして洛陽城を乗っ取りやがったのです‼>
報告の内容を聞いて驚かされる。1個師団の兵力が反乱を起こしたと言われたら、誰でも驚く。
それを表わすかのように気配が急に増えた。それも敵意と共にだ。辺りを見渡すと剣や槍、遠くでは弓を構えた董卓軍兵士が、俺達を囲んでいたのだ。
「ちょ・・・あんたら何のつもりや⁉」
「すみませんねぇ、張遼将軍。時間がねぇ、から手短に言いますと、あんた等の頸がほしいんですよ」
「頸だと⁉」
「えぇ、どうしますか?素直に頸を寄越せば楽に死なせてやりますよ。最も、断っても頸は貰いますがね・・・・・・」
反乱を起こした第2師団の男は下品な笑い方をして、連動するかのように他の反乱兵達も笑い出す。
「さて・・・とっとと武器を捨てて頸を・・・・・・・・・」
これ以上この男の声を聞くのはウンザリだ。すかさず俺はHK416を構えてヘッドショットをお見舞いする。
銃弾は貫通して後ろにいた反乱兵の頭部でようやく停止。二人同時に音を立てながら絶命した。
「時間が無い‼突破するぞ‼」
今は時間が無い。俺達は正面突破を敢行して、月殿達の下に向かう。しかし一個分隊6名に加えて俺、恋、霞、嵐を含めて10名のみだ。
対して敵の規模は1個師団の約2万。恐らくは全員では無いだろうが、共感出来ない者は殺害された。そう考えるのが妥当だろう。
「ウルヴァリンからサイクロプス‼何処にいる⁉」
<洛陽東側にある廃墟です‼・・・くそ⁉見つかった‼>
通信の途中で同じ方角から銃声が聞こえて来た。銃声からしてMP7A1だ。
俺達は出現する敵を仕留めながら合流地点へと向かう。
「月‼詠‼待っとりや‼いま行くで‼」
「董卓様‼どうかご無事で‼」
「・・・月、詠・・・恋が助ける」
「南郷‼こちらは11名で向かっている‼合流が完了するまで持ち堪えろ‼」
<了解です中佐‼>
通信を簡単に済ませると、俺達は急いで東側にある廃墟へ向かった。
それから数分後、銃声を聞きつけてようやく廃墟が見える場所まで到着した。辺りには既に射殺された反乱兵の死体が転がっており、中には矢を受けた死体もある。
しかし目標の廃墟には敵が群がっており、数が違いすぎる。しかし俺達はそれぞれの武器を構えた。
「恋‼嵐‼霞‼一気に突っ込むぞ‼」
「分かったで‼」
「私と呂布が先に突っ込む‼征くぞ‼」
「(コクリ)」
そういうと嵐と恋が金剛爆斧と方天画戟を手にして背後から反乱兵に突撃隊を仕掛ける。
一点突破を狙うのなら、精度は多少落ちても破壊力に特化した者を先頭に繰り出させる。その点なら2人が最適だろう。
俺達は2人が仕留め損なった敵を確実に仕留め、活路を切り抜けたら一気に廃墟に飛び込んだ。
「董卓様‼」
「嵐‼霞‼恋‼ライル‼無事だったのね‼」
「中佐‼」
「大尉‼残存戦力は⁉」
「自分の隊に負傷者は無し‼しかし同行した董卓軍兵士の大半がやられました‼戦闘可能は7名‼」
厄介にも程がある。向こうは何人いるのか分からない上に、こちらの戦力は南郷の部隊と月殿に付いた少数の兵士のみ。しかも洛陽に向かうまでに弾薬を予想以上に消費してしまったから、あまり長い間の戦闘は不可能。
更に連合軍も接近しているので、時間的猶予は無い。
「詠、奴らは何者だ?」
「迂闊だったわ・・・・・・まさか十常侍が裏で息を潜めてたなんて・・・」
「十常侍とは・・・漢王朝腐敗の元凶だった、あの?」
「ええ、この洛陽や小さな集落に暮らす民を苦しめてた一派よ」
「そんで帝様も手駒にして好き放題しとったカス共や」
「そして帝様と民を助ける為に我等が奴等を討ち果たしたのだが・・・・・・9人は確実に仕留めた」
嵐の言葉で全ての糸を繋げた。黄巾の乱、大将軍何進暗殺、そして月殿に恨みを持つ人物で当て嵌まるのは1人しかいない。
かつて私腹を肥やす為に民の怒りをかった十常侍筆頭の張譲。
その十常侍を潰されて、野心を邪魔した月殿達は奴から見て恨みの根源だ。
「中佐‼奴等が動き出しました‼」
「霞達は月殿と詠に付いていてくれ‼奴等の相手は俺達でやる‼」
外を見るとそこら中から反乱兵が突撃を開始した。俺達もそれぞれの得物を構えて敵を減らす。
「敵を近づかせるな‼二人一組になって背後を取らせるな‼」
『了解‼』
「外道野郎が‼侍の子孫の力を見やがれ‼」
敵が近過ぎるということで俺は神斬狼、南郷は日本刀“政宗”、部下達もそれぞれの得物で敵を仕留めて行く。
敵は確実に減っているが、それでも劣勢から脱することが出来ない。敵側でも指揮官と思われる敵が大声で命令を下していた。
「なにしてやがる‼数で押し潰せ‼」
痺れを切らしたのか、俺達1人に対して10人以上が同時に襲いかかって来た。しかし冷静に仕留めていくが、マズイ状態になる。月殿達に2人抜けられた。
「月殿⁉」
俺が向かおうとするが、敵に阻まれて動けない。霞達も同じ状況だ。
「きゃあ⁉」
「月⁉」
敵が月殿目掛けて剣を振り下ろそうとするが、それが届くことはなかった。
「ぎゃああああ⁉」
剣を振り下ろそうとしていた敵の腕が斬り落とされ、月殿と詠の前には剣を手にした女性だ。
「か弱い女の子を寄って集って手に掛けようだなんて、最低な連中ね」
「孫策殿⁉」
全員が驚いている矢先、少し離れた場所にいた敵が次々と血しぶきを発しながら倒れて行く。そこにいたのは両手に日本刀を持ち、白い服を着た青年、一刀がいた。
「ライルさん‼」
「北郷君⁉」
俺は突然の加勢で驚きを隠せなかったが、2人は俺に歩み寄って来た。
「二人とも・・・・・・なぜ助太刀を?」
「俺の斥候が妙な部隊がライルさん達と戦闘してると聞いて掛け付けたんです。それで来て見たら女の子が襲われてたから・・・」
「私は勘よ♪ライルに味方した方が面白いって感じたから♪」
「勘ってね・・・・・・まあ、助太刀は感謝する」
「ぶ〜ぶ〜、せっかくこんな美人が助けに来たんだから少しは喜んでよね」
3人に敵が一斉に襲いかかろうとしていたが、瞬時に反応して10人以上を吹き飛ばす。その攻撃に敵は完全に怯んだようだ。
「詳しい話はこいつ等を片付けた後で・・・・・・」
「まあ、そうね♪」
「確かに詳細は・・・邪魔な連中を始末したあとがいいですね」
そういうと3人は同時に敵の懐に飛び込んで行った。連合で最強とされる孫策と一刀、更に俺も加わったことで敵はなす術なく倒されていき、やがては関羽達も駆け付けて奴等は壊滅。首謀者も拘束されて、俺達の危機は見事に回避された・・・・・・・・・。
一刀と孫策に助けられたライル達は、2人に真実を伝える。
この戦そのものが茶番劇であること。
裏で袁紹と張譲が絡んでいたということ。
真実を聞かされた2人の英雄は最良の選択を選ぶ。
次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”
第1章最終回
[任務完了]
3人の英雄が正義を貫く。