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第22話:灯台下暗し

虎牢関での報復攻撃があったその日の晩。洛陽でも進展があった。

ライル達が袁紹軍を虎牢関で殲滅したその日の晩。洛陽では既に民の退避が完了。

市街地は静寂に包まれていた。そして洛陽城でも詠殿達が準備を進めていた。


「兵の配備状況は?」

「既に全員が配備に着いています。市街地の巡回を頻繁に行ない、細作の侵入に備えています」


詠殿と共に状況を確認しているのは南郷 武久大尉。ウルフパックの中で3人しかいない日本人海兵隊員で、組織では飛行中隊の指揮官を務める隊員だ。今回の任務は洛陽に残り、連合軍に情報を流している裏切り者の特定及び拘束もしくは排除となる。



「そちらに何か情報は?」

「ある程度は絞れたわ。泗水関が陥落して連合は虎牢関に取り付きつつある。動きを見せるとしたらもうすぐな筈よ」

「虎牢関にある兵糧の数は大体で5日分。泗水関にあったものを足しても7日分ですから、必ず何か動きを見せる・・・・・・姑息な連中なら尚更という訳ですね?」


そういうと詠殿は頷く。中佐が提案した時間稼ぎにはこういった策も含まれている。彼女によると袁紹は確実に実権を手にすることが目的だが、実行犯はそれと逸脱した行動を見せている。


「ところで、月殿は?」

「寝かせたわ。月には無理させたくない」

「案内はいつも詠殿が?」

「いつもは私が連れて行ってるんだけど、今日は流石に侍女に任せたわ」


確かに月殿は自分が出来る事は、自分で出来るだけしたいということで、少し無理をしていた。

まあ、夜食で月殿が手作りの差し入れを持って来たという役得もあったが・・・・・・。


「しかし・・・・・・狙うとしてもどうやって・・・・・・」


俺は必死に頭を巡らせる。行動しようにも月殿の行動パターンを把握する必要があるし、いつも身の回りの世話は詠殿がしている。


身の回り・・・行動・・・把握・・・。暫く考えて俺は思わず大声を出してしまった。


「ああ⁉」

「ちょ・・・・・・どうしたの⁉」

「賈詡殿‼お送りした時、賈詡殿が命じたのですか⁉」

「いっ・・・いいえ・・・・・・侍女が月を送るって自分から・・・・・・」

「まずい⁉」


そういうと俺は机に置いていたMP7A1を手にして、初弾を装填すると急いで外に出る。


「ちょっと‼どうしたのよ⁉」

「賈詡殿以外で月殿の行動を把握出来るのは侍女だけです‼」

「ま・・・まさか⁉」

「月殿が危ない‼」


よくよく考えると簡単なことだ。月殿に近付けて、尚且つ1人になれる機会を伺えるのは詠殿以外では、侍女だけである。




そして月殿の寝室では寝息を立て眠っている月殿の他に人がいた。そして物音を立てずに月殿にゆっくりと歩み寄っていた。


「・・・・・・・・・・・・・・・」


その者は手にした短剣を手にして構えると、少し間を置いて振り下ろそうとした瞬間、扉が凄い勢いで蹴破られる。


「月殿‼」

「月‼」

「‼??」


いきなり踏み込まれたので、その人影はすかさず短剣を投げ付けたが、すぐに俺はMP7A1で撃ち落とした。


「きゃあ⁉」

「月殿⁉」

「月⁉月を放しなさいよ⁉」


敵はすかさず寝台から月殿を引きずりだし、喉元に短剣を突きつけた。


「動くな‼少しでも動けば、白い肌が赤く染まるわよ」

「へぅ⁉」

「くっ⁉」

「そこの男、武器を遠くに捨てなさい」


この状態では無闇に刺激するわけにはいかない。俺はMP7A1を部屋の隅に投げた。


「それでいいわ。次は壁に背を向けて道を開けなさい」


仕方なく壁にゆっくりと歩くが、気付かれないように首に付けられた隊内無線のインカムを操作する。


(こちらサイクロプス、聞こえるか?)

<こちらジュリエット34、位置に付いています。殺しても?>

(いや・・・ナイフを弾き飛ばせ。奴が窓に差し掛かった処がチャンスだ。一発で決めろ)

<了解>


通信を終了させるとゆっくりと壁の前で立ち止まり、それを確認した敵は月殿を盾にしながら扉へと向かう。

そして窓に差し掛かった瞬間、銃声と共に女が手にしていた短剣が弾き飛ばされた。


「なっ⁉」

「今だ‼」


弾き飛んだ瞬間、俺は一気に駆け寄って女の腕を掴むと地面にねじり伏せ、M45A1をホルスターから抜いて、後頭部に銃口を突きつけた。


「動くな‼」

「くっ・・・・・・放せ‼」


銃口を向けながら女の手首に拘束バンドを取り付けて動きを封じる。その直後、銃声を聞きつけた衛兵と部下達が駆けつけて来た。


「大尉‼」

「少尉、この女を連行しろ。背後にいる奴を吐かせるんだ」

「了解です」

「さぁ、歩け‼」


僅かに抵抗するが、海兵隊員が相手な上に両手を封じられているので、女はそのまま連行されていった。


「月‼大丈夫だった⁉」

「う・・・うん・・・・・・大丈夫だよ詠ちゃん・・・ちょっと怖かったけど・・・」

「よかったぁ・・・・・・心配したんだからね・・・本当に・・・心配したんだからぁ・・・」


無事だった月殿を確認すると彼女は泣きながらしっかりと抱きしめる。


「賈詡殿、部屋の前に兵を2名配置させておきます。俺はあの女を尋問して背後関係を・・・・・・」


そういうと詠殿は確かに頷き、目線で軍曹と伍長に指示すると自分は、尋問を行う為に部屋を後にした・・・・・・・・・。

連合軍による虎牢関攻略作戦が再開された。相手は“乱世の奸雄”が指揮する曹操軍。敵の最精鋭部隊に苦戦しながら、ライルは“魏の刃”と合間見える。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”


[魏の刃]


虎牢関に刃が君臨する。

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