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第214話:愛し合う者達

ライルの出陣前。雪蓮に対し遂に決意する。

曹操軍陣営より火の手が挙がった。サイファーと祭殿の強襲部隊が敵船団への強襲を成功させ、前衛にあった船は次々と爆発していく。

まるで炎が自らの意志で曹操軍の船団を飲み込んでいくように見えた。


それに呼応して思春率いる水軍が一斉に曹操軍へと前進を開始。敵船に取り付くと次々と乗り込んで制圧に掛かっていく。

俺は河岸でその光景を眺めていた。


「サイファー達…やり遂げたようだな」

「そうね……敵の前衛はこれでガタガタ。火の手は中衛にまで及んでるわ」

「まさか全ての策が見事に大成功を収めるとは思ってなかったが……敵の被害は甚大だな」

「だけどまだ油断できないわ…曹操軍はまだ後方に大軍を控えさせている。すぐに決着を付けないと策が台無しになるわよ」

「分かってるさ」


確かに曹操軍は後方に大軍を控えているが、それに関しても対策はしている。次の段階は曹操軍を封じ込めることになる。

水上からの上陸作戦は我が軍が担当し、陸路から一刀率いる劉備軍が挟撃を仕掛けることになっている。


「雪蓮、俺もすぐに出撃する」

「………えぇ…ねぇライル」

「?」

「……あの時の指輪…いま持ってる?」

「……あぁ」

「お願い…この戦だけでいいから私に貸してくれない?」

「……別に構わないが……急にどうしたんだ?」


指輪を貸してほしいと頼んできた雪蓮に理由を尋ねるが、彼女は口を閉ざした。暫く悩んだが俺は右薬指に嵌めている指輪を取り出し、それを彼女に渡した。

受け取った雪蓮は暫く眺めながらそれを左薬指に嵌める。


「………….」

「ライル…必ず帰って来て……」


左薬指に嵌めたことで少しだけ驚いたが、先に彼女は俺に抱き付いてきた。


「………雪蓮…」

「約束して……必ず…必ず私の下に帰って来るって……」

「……………」

「‘‘次の命”の為にも…」


次の命という言葉で俺は思わず彼女の腹部を見る。少しだけ隙間が出来たことにで確認されたが、無意識に彼女は右手を自分のお腹に当てている。

更に俺の第6感でもある氣で彼女の氣に分かりにくいが俺の氣も混ざっていた。この状態で考えられるのは一つしかない。


「……まさか雪蓮…」

「(コクリ)………お腹の中に…赤ちゃんがいるの…」


雪蓮のお腹の中には赤ん坊がいる。そしてそれは俺の子供……無意識に俺は彼女のお腹に手を重ねていた。

すると感じられたのは俺の氣と雪蓮の氣が合わさって、別の氣が感じられた。

俺と雪蓮の子供………思わず固まってしまっていた。


「本当は……黙っておくつもりだった…」

「……………」

「もしあなたが知ったら…戦えなくなるんじゃないかって……帰って来ないかもしれないって…思っちゃってたから………だけど…」


そういいながら雪蓮はより強く抱き締めてくる。


「だけど……ライルに知ってもらいたい…いま言わなかったらもう言えないような嫌な予感がした………おかしいよね?…戦いに向かう人にこんなことを言うだなんて………」

「………君も意外とバカだな…」


軽く笑いながらそう言うと俺は彼女をしっかりと抱きしめる。


「……ライル……」

「なんでもっと早く言ってくれなったんだ?」

「…………」

「俺はいま……凄く嬉しいよ…自分の子供が出来ると知って喜ばない父親なんているものか…」

「驚かないの?」

「確かに驚いたさ……だけどそれ以上に嬉しく思うよ、君との間に子供が出来たことをね」

「……私も…私も嬉しい…愛するあなたの子供を産みたい……あなたと私の子供と一緒に平和になった時代を暮らしたい…」


そういいながら俺達は抱き合うのをやめ、互いを見つめ合う。そして俺も意を決して前々から伝えたかったことを彼女に伝えることにした。


「………雪蓮………全てに決着が付いたら…………結婚しよう…」

「ライル…」

「俺は……君とずっと一緒にいたい………君と一緒に人生を駆け抜けたい……俺がいちばん愛している君とずっと……」


雪蓮の目を真っ直ぐに見詰め、優しく語り掛ける。


「……はい」


涙を流したまま、雪蓮はいつもと変わらない女神の様な笑顔になった。


それを目の当たりにした俺の心臓が、今までにないくらい大きく跳ねる。


笑顔はもちろん、泣き顔も見た事がある。しかし、初めて目にした‘‘泣きながら笑う”彼女の表情はとてもいとおしくて気が狂いそうになる。


右手で雪蓮の左手に指を絡める様にして握り、左手は彼女の腰に回してぐっと抱き寄せる。

そしてゆっくりと目を瞑り、互いの唇が重なった。想いの全てと必ず帰って来るという約束を載せて、彼女に伝える。


ゆっくりと唇を離した俺は無言のまま彼女から離れ、すぐ側で待っていた愛馬のスレイプニルに跨り、曹操軍の陣地に向かって走らせる。


味方の船から船へとスレイプニルは飛び移りながら曹操軍陣地へと向かっていき、味方乗員はいきなりのことで驚きはしたが、俺だと分かると歓声を挙げながら見送った。


それを見届ける雪蓮は唇に触れながら無事を祈る。





(いってらっしゃい………)





全ての策は達成された。水軍が全滅した魏軍は本陣に立て篭もり必死の抵抗を見せる。

魏の熾烈な抵抗に動けずにいた武久と思春は突破口を探るを


次回‘‘真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[城壁を超えろ]

現代の侍。自ら突破口を探る。

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