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第199話:寝顔

久々の休みをもらった雪蓮。その束の間の平和を満喫する。

孫静叔母様の反乱が終わった後から私は死ぬほど忙しかった。あの保守派連中の悪事に加担した奴等を討伐したり、大小様々な集落に慰問で赴いたり、部屋でずっと竹簡と睨めっこ・・・・・・。


・・・本作に死ぬかと思ったわ・・・。おまけにこっそり逃げようとすれば冥琳に見つかっちゃうし、目を離した隙に窓から抜け出そうとしたらサイファーが罠を仕掛けてたり・・・。


だけどそれも今日で終わり‼︎なぜなら・・・。


「おっ休み〜♪おっ休み〜♪」


今日は待ちに待った休み‼︎仕事に缶詰だったから肩がこって仕方が無かったわ・・・おまけに私の大好きなお酒も冥琳が飲ませてくれなかったから大変だった。


私はお酒が入った酒壺を片手に廊下を歩く。前なら休みには朝までお酒を飲むんだけど、それよりも前にまず向かうべき場所へと向かう。

もちろん私の恋人であるライルのところだ。


 彼以外の誰が、私のこの猛る気持ちを受け止めてくれるだろうか?イヤない!


「ライルと何して遊ぼうかな〜?魚釣りかな〜?それとも花見?」


私の中で想像力はムクムクと膨らんでいく。


「それとも〜・・・最近ご無沙汰だったから朝まで〜・・・ムフフ♪」


そんな想像をしながら私は中庭に差し掛かった。季節はもうすぐ春なのでほのかに暖かく、もう少しすれば植えられている桃の木が咲き始める。


「あら?あれは・・・」


そんな木を見ながら歩いていると木の根元あたりに誰かがいることに気が付く。

それが誰なのかすぐに分かった私は足取り軽く歩み寄る。そして反対側から彼を覗き込む。


「ラ〜イ〜ル♪」


そこにいたのはやはりライルだった。私は笑顔で話しかけるが反応がない。再度名前を呼んでみるも変化がなかった。気になったので私は隣に膝を曲げて座り込むとその理由がすぐに分かった。


「スゥ・・・スゥ・・・」

「昼寝・・・してたんだ・・・」


ライルは開いたままの本に手をおきながら気持ち良さそうに寝息を立てて昼寝をしていた。

そこは木漏れ日がこぼれて程よい暖かさに加えて心地良い強さの小風に風で揺れて小さく擦れ合う葉っぱと枝の音。

多分だけどそれが気持ち良くて寝ちゃったんだと思う。興味本位に私は木にもたれかかっているライルの隣に座って寝顔を覗き込む。


「スゥ・・・スゥ・・・」

「フフフッ♪ライルの寝顔かわいい〜♪プニプニ♪」


そう素直に感じながら指で軽くライルの頬を突く。すると・・・・・・。


「うみゅ・・・」

「プッ‼︎・・・うみゅっていった♪ほっぺたも柔らかくて面白い♪プニプニ♪」

「ふみゅ・・・スゥ・・・」

「フフフッ♪やっぱりかわいいわ♪」


こんな可愛らしい寝顔をしながら気持ち良さそうに寝ている男の子が‘‘江東の銀狼”って呼ばれて敵から恐れられているなんて思わないでしょうね。

そんな無垢な寝顔を見せられると不意に視線がライルの唇へと向く。それを暫く見ていたら自然と引き寄せられてライルと唇を重ねる。

もちろん起こさないように軽く触れる程度の口づけにしておく。暫く唇を重ね、それをゆっくり離して彼の頬を優しく撫でる。


「本当に・・・可愛いんだから・・・」


そういいながら頬を優しく撫で続けているといきなりライルが私にもたれ掛かってきて、そのまま下にずれていく形で私の膝に顔がきた。

いきなり膝枕の態勢になった私は少しだけ驚くけど、同時にそれが嬉しくなって再び頬を優しく撫でる。


「・・・よっぽど疲れてたのね・・・・・・ゆっくり休んでね・・・」

「う〜ん・・・・・・雪蓮・・・スゥ・・・」

「・・・ライル・・・・・・愛してるわ・・・・・・フワァァ・・・私も眠たくなっちゃった・・・」


本当に気持ち良さそうに寝ているライルをみていると私も眠たくなっちゃった。そういえば昨日の晩も遅くまで仕事しちゃってたし・・・そう考えてるとますます眠たくなってきた。

睡魔に勝てるはずもなく、私は木に寄り添いながら夢の中へ飛び込む。夢の中でもライルと一緒だったらいいわ・・・・・・。














「全く・・・2人の姿が見当たらないと思ったら・・・」

「はぅ・・・いいなぁ・・・」

「しかし孫策殿の表情・・・実に幸せせうではないか」

「うぅ・・・兄上・・・」


柱の影から昼寝中のライルを膝枕しながら眠ってしまった雪蓮を見る千里、美花、優龍、百合の孫呉海兵隊大隊長4人衆。


「それより千里よ、其方は確かライル将軍に火急の知らせがあったのでは?」

「あぁ、ライル様に呉蜀合同軍事演習の草案が纏まったから持ってきたんだけど・・・こりゃ明日にした方がいいな」

「うむ、それがよかろう。では邪魔な者はさっさと退散するとしようか」

「(コクリ)」

「ほら、行くぞ百合」

「孫策様ぁ・・・どうか代わって下さい・・・」

「はぁ・・・・・・」


ライルを膝枕している雪蓮がそんなに羨ましいのか、指を咥えながら2人を見る百合。その様子を千里は溜め息を吐きながら連れていったそうだ・・・・・・・・・。

老兵は次代を担う若者達を見守る。それはどこの世界でも同じであり、孫呉でも例外ではない。

ライル達の父親代わりでもあるサイファーと雪蓮達の母親代わりである祭。子供同然の彼等を見守る親は何を思うか・・・。


次回‘‘真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[老兵と宿将]

老いてなお、互いに引き寄せられ合う。

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