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第197話:猫騒動

猫好きの暗殺者と猫少女。互いに気持ちを通わせる。

反乱軍鎮圧から暫くが経過した。各地で無駄な抵抗を続けていた穏健派の残党共は次々と駆逐され、つい先日に最後の一人が甘寧将軍により討ち取られたという報告が挙げられた。

これにより孫呉を悩ませていた寄生虫は完全に駆除されて近い内に再び攻め込んで来るであろう魏に対する対抗策を用意出来る。しかも報告によれば漢中を平定させた一刀君を五丈原にて捕虜返還の際に暗殺しようとしたらしい。


“一度ならず二度までも”と魏の非礼に怒りを感じた孫策様は魏との外交ルートを遮断。経済制裁により魏を疲弊させていく。

それに加えて後日、呉蜀軍事同盟の強化を目的とした大規模合同軍事演習“ヴォルフズィルバー”を中佐の指揮で決行。

この演習には孫呉海兵隊の全戦力が参加する予定であり、海兵隊員達も腕が鳴ると張り切っていた。


先の討伐戦にて影から主力を支えたハンターキラーの面々には一週間の休暇が与えられ、この俺クラウド・レインディー2等軍曹は“ある事”が気になって繁華街から離れた路地裏へと足を運んでいた。


「さてと・・・万が一の備えも手に入れたし、後は見つけるだけだな」


紙袋を抱えて歩く俺。


「しっかし、明命の悩みを聞いた時には面白すぎて爆笑しかけたぜ。ま・・・明命らしい悩みなんだがな」


休暇が始まる前日に明命が書物庫で調べ事をしていた俺にいつもより元気がない明命が話しかけて来て、心配になった俺が事情を聞いたのだが、その理由というのが・・・・・・。


“お猫様が近付いてくれません‼‼”


・・・要約すれば最近猫が懐いて来てくれないということだ。普通の人間なら何ともない状況だが、猫を崇拝している程の猫大好きっ子である彼女にとっては国の一大事と同等の問題なのだろう。

仕方なく俺は提案として“前にあげた猫耳と猫尻尾を付けて近付いてみてはどうだ?”ということを話したら目を輝かせながら実行してみると意気込んでいた。


・・・本音はただ単に明命をからかってみたかっただけなんだがな・・・。


(しかし・・・明命と一緒にいると毎日が楽しくて仕方が無いな。真面目なんだけど何処か天然が混ざってるし、あと何よりも本人は自覚してないがそこそこのドジっ子だからな〜♪)


明命とは一緒に仕事をする仲だから中佐や少佐達よりも明命の知られざる一面を見れたりもする。


いつの間にか明命のことばかりを考えている自分を自覚していると路地の先に座りながら猫と戯れている明命を見つけた。


「よう、明命」

「あっ‼クラウド様‼」

「その様子だと巧くいったようだね?」

「はい‼クラウド様のご助言のおかげで色んなお猫様とお親しくさせてもらってます‼」

‘ニャー’


明命の言葉に合わせて猫も“その通り”と口にしたような気がした。


「ところで、クラウド様もお猫様と仲良くなられに来られたのですか?」

「あぁ、明命の様子を見に来たんだよ」

「わ・・・私ですか?」

「そ。それでもし巧くいってなかった場合の予備案も幾つか持ってきたってわけ」


そういいながら俺は紙袋の中身を広げる。そこには猫じゃらしやネズミの小さなぬいぐるみ、鰹節や煮干し等と猫グッズを次から次へと出していく。


「はぅあっ‼これならお猫様もきっとお喜びになれる筈です‼わざわざありがとうございます‼・・・?・・・・・・これは何でしょうか?」


そういうと明命は小袋を取り出す。


「あぁ、それはマタタビを粉にしたものだよ。猫が一番すきなのってマタタビだと思うからな」

「ああ‼これならきっとお猫様もお喜びに・・・なられ・・・・・・」


マタタビが入った小袋を見ていた明命の目が徐々にトロンとしてきた。


「み・・・明命?」

「・・・・・・・・・」

「どうした?」

「・・・・・・ニャ?」

「ニ・・・ニャ?」

「ニャァアアア〜♪」


俺は困惑してしまう。何しろ明命は目をトロンとさせながら俺に頬ずりをしてくる。


「ちょっ⁉どうしたんだ明命⁉」

「ニャー♪」


俺は顔を真っ赤にさせながら困惑する。マタタビを見ていた明命はいきなり酔ったような感覚になっている。


(どうしたんだ⁉マタタビを見てから様子がおかしくなったよな⁉これじゃまるで猫・・・猫⁉)


・・・・・・まさかと思うが・・・猫の格好をしていたから心も猫みたいになっていて、マタタビの香りを嗅いだ影響で酔っ払ってしまった。

俺はこの状況で推理するが、現実的に考えてもありえない・・・いや・・・・・・この世界ならありえなくはないか・・・。


「ニャァアアアアン♪」

「・・・・・・・・・」


その間にも明命は顔をペチペチと触ったり、俺の胸板に匂い付けのように顔を頬ずりしたり、座ったままの俺に乗っかったりとしてくる。

まるで猫・・・というか本当に人懐こい子猫が甘えているような可愛らしさだ。徐々に俺の我慢が削られていき、やがて限界に達した。


「・・・も・・・・・・もう我慢できない‼‼明命‼」

「ニャ?」


俺は猫グッズから・・・・・・。


「ニャ⁉ニャニャニャ‼」

「ほ〜らほら♪こっちだよ♪」


猫じゃらしを取り出して明命の目の前で振ってやる。すると明命は両手を丸くして目を輝かせながらそれを追い掛けて来た。


「ニャ‼」


右に降ると明命も右について来て・・・。


「ニャ‼ニャニャニャ‼」


左に降ると明命も左について来る。


(や・・・やばい・・・・・・これは堪らん)


面白い上に可愛らしい。俺はそんな状態を満喫していると猫じゃらしを明命に取られてしまった。

そして明命は再び俺に頬ずりを再開する。


「ニャァアアアアン♪」

「うわっ⁉」


頬ずりをしていた明命がいきなり飛び掛かって来て、俺に跨るようになってきた。


「ニャァアアアアン♪・・・クラウド様♪」

「み・・・明命⁉」


いま確かに俺の名前を口にした。どうやらマタタビの酔いが覚めて来たようだ。


「明命‼俺が分かるか⁉」

「ニャ♪クラウド様はクラウド様ニャ♪」

「よ・・・よかったような・・・・・・残念なような・・・」

「ニャ〜♪クラウド様ぁ♪」

「明命?」

「クラウド様ぁ・・・クラウド様は猫は好きかニャ?」

「えっ?・・・あ・・・・・・あぁ・・・猫は好きだが・・・」

「ニャ〜♪クラウド様は猫が好きにゃ♪明命も猫が好きにゃ♪」


そういいながら明命の顔が近付いて来る。


「だから明命はクラウド様が好きだにゃ♪」

「み・・・明命・・・・・・んっ・・・」


そういいながら明命は目を閉じ、俺と口付けをかわしてきた。いきなりの状況だったので俺は驚きを隠せなかったが、暫くしてから俺も目を閉じて彼女への気持ちを受け止める。


実際にはあっと言う間だろうが、長いように感じる明命とのキス。暫くしてから互いに唇を離し、俺達は見つめあっていた。


「明命・・・・・・」

「私・・・クラウド様が好きだにゃ・・・・・・大好きだにゃ」

「・・・俺もだ・・・・・・俺も明命が好きだ・・・ずっと一緒にいたい・・・」

「明命もずっと一緒にいたいにゃ・・・・・・」


互いの気持ちを伝えあうと、俺達は再び互いの唇を堪能する。この純粋な女の子をずっと大事にしなければならない。出来ることなら俺は彼女を戦場に出したくはないが、それは彼女の忠誠心を傷付けてしまう結果となってしまう。

だったら俺も彼女の傍で共に闘う。彼女を護る為に・・・・・・・・・。




余談だが明命の酔いは完全に覚めたようだが、記憶ははっきりと残っていたようであり、恥ずかし過ぎて顔を真っ赤にさせて俺に火を付けてしまったというのは言うまでもなかった・・・・・・。




書庫というのは軍師にとってかなり重要な場所だ。古今東西様々な軍略書が敷き詰められている。

ポーと軍師でもある穏に軍師としての勉強を頼む為に書庫へと訪れた。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[師匠と師匠]

ポーと穏がドタバタ勉強を開始させる。

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