第193話:凱旋
建業に帰還したライル達。民と勝利を分かち合う為に凱旋パレードを実施する。
実に3ヶ月近く続いていた孫策軍と反乱軍による内戦は孫静が戦死したことにより孫策軍の勝利に終わった。
その事実は瞬く間に冥琳により各地に伝えられ、反乱軍のやり方に不満を抱いていた民衆の蜂起や豪族一派の無条件降伏。一部では未だに反乱分子が抵抗を続けているが、それは孫呉陸軍により鎮圧されるだろう。
俺と雪蓮は久々に我が家がある建業への帰路に付いた。
“この勝利は信じてくれた民の力”
雪蓮の言葉により建業にて大規模な凱旋パレードが実施されることになる。しかも今回は珍しく冥琳もこの祭りに賛同。
部隊が集結したと同時にヴェアウルフにて練習が行なわれ、一週間後に凱旋パレードが開幕された。
“♫〜〜♩♫”
『わぁああああああああ‼‼‼』
パレードに鳴り響く音楽隊の演奏。隊列の先頭には孫呉の牙門旗に孫呉陸軍、孫呉水軍、孫呉海兵隊、そしてウルフパックの部隊旗を掲げた騎手。
その後に続くのは音楽隊指揮者とピッコロやイングリッシュホルン、ファゴット、クラリネット、サクソフォーン、トランペット、ホルン、トロンボーン、スネアドラム、シンバルを身につけ、クラス“B”ブルードレスを身に纏ったウルフパック隊員。
その後方には・・・。
「凄い賑わいだな」
「はぅあ・・・恥ずかしいでしゅ」
「活気に満ちた民の笑顔を見るのはやはり良いものだ」
「頑張った甲斐があったな」
将軍クラスの海兵隊大隊長の千里、美花、優龍、百合が将官用のブルードレスを身に纏って乗馬しながらパレードに参加。
因みに何故か知らないが美花は特に狼に好かれる性質があり、彼女が乗っているのは軍馬ならぬ軍狼の“当帰”という。
「にょほほ〜♪楽しいのじゃ♪」
「良かったですね♪お嬢様♪」
「せやけどホンマに賑やかで、皆さん楽しそうどすなぁ♪」
「我等の勝利を祝ってくれているのだ。こちらも期待に応えられてよかった」
第10戦術機動騎兵中隊の中隊長となった九惹に専属軍師の七乃、副長の八枝。更にマスコットでもある美羽が九惹と同じ馬に乗り、後方に式典用の鎧甲冑を着て騎馬槍を掲げた騎兵10名が悠々と続く。
「頭ぁーーー右‼‼」
そしてアレックスを先頭に同じくブルードレスを着用しているウルフパック隊員。白い制帽に式典用として使っているM14バトルライフルでアクションをしながら行進。
動きには一切の乱れは見当たらなく、完全に息の合った素晴らしく力強い光景だ。
「ははは・・・凄い歓迎だな・・・」
「魏のスパイはいいんですかね?」
「間違いなくいるだろうな。だが和えて強さを見せつけてるんだよ。誇示してむやみに攻めて来れなくする為にな」
「軍事パレードはそういった意味合いが強いですからね」
アレックス達のすぐ後ろから砲身を上に向けて、いつもと変わらない服装でパレードに参加するレオン達。
ハッチから上半身を乗り出して民に対して敬礼をしながら密かにマイクを使って話をしている。その更に後ろからはガビアルが同じように砲身を上に向けて前進していく。
その更に後ろからはパラディンと海兵隊員が続いて、そのパレード隊の中央付近になるとようやく俺がいる場所となる。
群衆が俺と隣にいる雪蓮を見つけた途端に・・・・・・。
「きゃあーーー‼‼お帰りなさいライル様‼‼」
「孫策様もお変わりなく‼‼」
「ライル将軍万歳‼‼」
「孫策様万歳‼‼」
などのような声援がこれでもかという位に叫ばれた。俺は軽く微笑みながら民に敬礼をすると、何故か知らないが女性陣が満面の笑みを浮かべながら倒れていった。
「ま・・・・・・またか・・・」
「どうしたの?」
「い・・・いや・・・・・・さっきから熱狂のせいか失神する人が多いんだ・・・しかも何故か女性ばかり・・・」
(・・・・・・ニブチン・・・・・・)
「?・・・どうかしたか?」
「プン‼鈍いライルなんて知らな〜い」
「?」
雪蓮は訳も分からず頬を膨らませながら彼女の愛馬である白馬の的盧を歩ませる。
「なぁ雪蓮。話は変わるんだが・・・」
「な〜に?」
「蓮華のことだ」
「蓮華?」
蓮華の名前を出すと雪蓮は拗ねるのをやめてこちらを向いてくれた。先程の表情も可愛かったから少し残念だが・・・・・・。
「君も知ってるだろうが、彼女はだいぶ変わった。一月前の討伐戦でも仲間と連携してかなりの戦果を叩き出している」
「そうね・・・あの子ったらレオンが怪我をした時には海兵隊を代理で指揮してたわね」
「あぁ・・・俺の部下達も彼女を認めている。前線でも各大隊からもかなりの評価が出てるらしい」
実は少し前に蓮華に対する印象を聞いて見たのだが、まだ荒削りの処があるけれど指揮官や指導者としての素質は充分にあるという結論が出ていた。
「ふふっ♪あの子も一皮剥けたってことね♪」
「そうだな・・・・・・そろそろいいんじゃないか?」
「何が?」
「分かってるくせに・・・・・・」
「お返し♪・・・・・・だけどまだ早いと思うのよ」
「早い?」
「そう・・・あの子は民や家族を自分の力に出来る強い子よ。器なら私やあなたを上回ると思うわ。だけどそれだけじゃ駄目・・・・・・あの子にはまだ一つ欠けてる物がある」
「足りないもの?」
「そう♪」
「なんだよ?それは?」
「ふっふ♪女の子の秘密♪」
「?」
そういいながら雪蓮は再び声を掛けてくれている民に笑顔で手を振る。何のことかサッパリ分からないが、パレードが終わったら聞いてみるとしよう。
俺も再び民に笑顔で手を振るのであった・・・・・・・・・。
蜀魏による定軍山の戦いは夏侯淵を捕虜にしたことにより蜀の勝利に終わった。露蘭の従兄妹であるということで仲間に加えようとするが実現しない。
そんな中、思いもよらない人物から妙案が齎される。
次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”
[忠臣]
定軍山の支配権を確立させていく。