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第177話:ハリケーン

反乱軍により制圧された街に復帰したライルが任務に向かう。

あの魏による呉侵攻を阻止し、一刀達が見事に南蛮を平定させてから約一ヶ月、呉内部は荒れていた。


“孫静率いる保守派と豪族一派が反乱軍を結成した”


魏の侵攻に合わせて行方不明になっていたあの孫静は各地の豪族や雪蓮の方針に反発する一派を引き連れて各地で決起。戦闘が繰り広げられていた。

その間に魏による呉への再攻撃が予想されていたが、数日前に曹操からの使者が赴いて反乱軍鎮圧までの期間は呉に対して一切の攻撃はしないと知らせてきた。


同盟国の蜀は南蛮平定からあまり日が経過しておらず、今は内務に力を注いでいる状態だから援軍は不可能。今回の内乱は俺達だけで鎮圧しなければならない。

そして建業から南に位置する新都が反乱軍により占拠されたという報告が舞い込み、加えて状況確認の為に孫静の側近の一人が現地入りしたという情報が入った。


現場復帰した俺はハンターキラーを率いて新都に潜入。確保へと向かう為に水路を移動していた。


「ハンター1-1よりオールハンド。状況を報告しろ」

<ハンター2-1から1-1。こちらは潜入ポイントに到着>

<ハンター3-1から報告。こちらも潜入ポイントに到着。待機します>


コヨーテブラウンカラーのローデシアンチェストリグにCQCホルスター等の装具を身に付け、MARPATピクセルグリーンGEN3 コンバットユニフォームに同色のブーニーハット。


手にサプレッサーとAN/PEQ-15、パイポッド、右上部のオフセットマウントに取り付けたリフレックスサイト、リューボルトM3ライフルスコープを取り付けたSR-25M WPSASSという狙撃任務用の装備だ。


俺達ハンター1の任務は2と3よりも先に潜入して雨が降る市街地の中を察知されないように目標がいるとされる建物が確認出来る場所へと向かい、ハンター2は別ルートから孫策軍支持派の残党と合流して目標の建物の屋上へ向かう。

ハンター3は城壁へと向かい、奪還部隊の突入口確保と明日1200より開始される新都奪還の援護だ。

加えて建物への突入は1155より開始される手筈だ。仮に目標を取り逃がしたとしても周辺には孫策軍による包囲網。逃げられる筈がない。


だが孫呉の誇りを忘れて雪蓮に反旗を翻す奴等を俺は絶対に逃しはしない。たとえこの場で逃したとしても地の果てまでも追い掛けて殺してやる。


「しかし・・・中佐も災難ですね」

「何がだ?」

「復帰していきなりの作戦が反乱軍の鎮圧だなんて・・・」

「時期が悪かったんだ。致し方あるまい・・・だが裏切り者には一切の情けは掛けられない。あの婆さんを見つけたら絶対に始末してやる・・・」


雨が降る市街地の中をSR-25M WPSASS で警戒しながら前進していき、俺の後ろでMk16 Mod1 CASVを装備している1-2が何かを見つけた。


「中佐、屋根の上に弓兵」

「隠れろ、見つかったら厄介だ」


そういうと俺達は物影に隠れながら様子を伺う。俺達の針路上には敵兵が4名と屋根上に弓兵が2名。

恐らくは見張りだろうが練度が低そうだ。特に弓兵の一人は腰掛けているし、もう一人は面倒くさそうな表情をしながら見張りをしている。

俺は迷わず屋根上にいる弓兵に照準を合わせる。立っている奴が別方向に視線を向けた瞬間に座っている奴の頭部を撃ち抜いた。


「もう一人・・・」


そしてもう一人が気付く前に照準を合わせて発砲。同じく頭部を撃ち抜かれた敵の死体は地上に落ちることなく屋根の上に倒れる。


「残り4人。そのまま残りを仕留めるぞ」

「「「Hooah」」」


すぐさまSR-25M WPSASSを構え直し、ハンター1-2はMk16 Mod1 CASVでハンター1-3は俺と同じ編成のSR-25M WPSASS。

ハンター1-4はMk16 Mod1+Mk13 Mod0を構える。全員のライフルにサプレッサーが装着されているので、発砲音が聞かれることはないだろう。


そして各々が照準を合わせるとほぼ同時にトリガーを引いた。放たれた5.56mm弾と7.62mm弾はしっかりとヘッドショットを決め、命を絶たれた4人は音を立てて崩れた。


「正面クリア。前進するぞ」

「了解」

「了解です中佐」

「しかし、街はすっかり封鎖されているようですね」


そう言われながら俺は角から大通りを見る。少し先には敵の検問所。敵の数はそれほどでもないが、攻撃に備えていると思われる大型連弩が確認出来る。


「あれに見つかったら厄介だ。見つからないように物影に隠れながら行くぞ。気を抜くな」

「方角はここから東北に進んだ先ですね。それにはいちど広場を通過しなければならないですよ」

「なんで分かるんだ?」

「前に休暇でここに来ましたからある程度ならわかります」


1-2の話を聞きつつも俺達は警戒しながら前進していく。道路には警戒にあたっていた奴等がいたが、これ等の障害は排除したり、時にはやり過ごしたりして前進を続ける。


そして通過地点でもある場所に到着すると俺達は隠れながらライフルを点検する。


「よし、ここから予定通りに二手で行くぞ」

「了解」

「少尉は俺と一緒に来い。ポイントαへと向かう」

「了解です中佐」

「曹長と軍曹は路地を進みながらポイントbに向かえ。一番大きな建物だからすぐに分かる」

「了解です」

「了解」

「ハンター2および3。状況は?」

<路地を通過中。指定時間までに到着可能です>

<ハンター3から報告。こちらは城壁に到着。予定狙撃地点の制圧中>

「確認した。だが路上で敵の行動が予想以上に活発だ」

<警戒した方がいいですね>

「あぁ、交戦は可能な限り避けるんだ。数ではこちらが不利だ。こんな下らない戦場で死にたくはないからな」

<それはありますね・・・>


無線でハンター2と3に警戒を指示すると俺はみんなにハンドシグナルで指示。少尉は俺の後に続いて、曹長と軍曹は別の路地を進み、その先にあった壁をよじ登っていった。

俺達も前進を再開するが本当に敵の行動が活発だ。道中の屋根の上には警戒にあたる敵の弓兵が何度か確認され、その度に路肩や物影、時には建物の中に潜入してやり過ごす。


「少尉、そこを動くな」

「了解」


少尉に停止命令を出すと俺はUSP,45を取り出し、ゆっくりと曲がり角に歩いていく。すると敵がそこから現れ、照準を頭部に合わせて45.ACP弾を撃ち込む。

死体は音を立てて倒れようとしたが、すんでの処で受け止めてゆっくりと路地に引っ張り込む。


「ハンター1-3、そっちの状況は?」

<こちらは位置に付きました。しかし広場には敵の大軍が集結しています>

「具体的な数は?」

<歩兵が40名以上。防御用の大型連弩も確認>

「了解だ。こちらもαに急行する」


向こうは既に到着したようだ。だったら俺達もすぐ目標地点に向かわなければならない。広場の隅をゆっくり確実に進みながら広場の反対側へと向かう。すると・・・。


「誰だ?」


察知されてしまった。だが向こうはこちらを敵だと感じていないようであり、何の警戒もせずに歩み寄って来た。

俺は何も言わずOKC-3Sを手にして構える。


「ムグッ・・・⁉」


素早く回り込んで口を塞ぎながら喉もとを切り裂く。そのまますぐに死体を物影に隠して匍匐しながら前進。


やがて目標の建物である大きな宿が見えて来て、そこから約200m離れた場所に俺達の狙撃地点であるポイントα。無線で“こちらで銀髪のイケメンを見つけた”という曹長からの連絡があったポイントbの塔も見える。

幸いにもまだ周辺には敵はまだ展開しておらず、取り付くのには容易かった。


「こちらハンター1-1。ポイントαに到着した。他の連中は?」

<こちらハンター2-1、目標の建物を確認。屋根伝いで取り付きます>

<ハンター3-1よりハンター1-1。こちらも正門付近を制圧。突入口の確保と援護準備完了>

「了解した。まだターゲットが来るまで時間がある。今の内に休んでおけ。ハンター1-1 out」


休息を命じて通信を切る。こちらも今の内にSR-25Mのメンテナンスを行ない、万全の態勢で狙撃に挑む。後は目標が現れるのを待つだけ・・・・・・・・・。

準備は整った。ライル達がそれぞれの狙撃地点に構え、旅館の屋根に取り付いたクラウド達が確保の用意をする。

そして合図と共に開始する。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[Rock and Roll]

反乱者に狼達が噛み付く。

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