表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
175/221

第175話:雷と雪

全ての予定が終わったライルと雪蓮。夜に2人っきりの時間を過ごす。

そこそこ長い診察だった。華蓮と神医によると回復する速度が常人よりもかなり早く、あと数日程で業務を再開させられるとのこと。


こんなに休んだのは前世のアフガンにてテロリストのIED攻撃を受けて重傷を負ったとき以来だ。

だが復帰すれば確実に溜まった書類の整理が待っている。第0大隊大隊長兼孫呉海兵隊司令に警邏隊隊長、訓練所所長。今の役職がこれらになる。

はっきり言って多忙にも程があると思いたい位である。だがこれが仕事なのだから遂行しなければならないし、何よりもこれら全てが孫呉の未来に直結する大事な役職だ。だから無下には出来ない。


しかし動いてはいけないとは言われていない。仕事は出来ないがある程度の行動なら許可されているので、俺は・・・・・・。


「ふっふ〜♪」


華蓮達が退出してから暫くしてやって来た雪蓮に甘えられていた。


「それでね冥琳ったらヒドイのよ〜‼せっかく祭と一緒に飲んでたお酒を捨てちゃったんだから・・・」

「いや・・・それはどう考えても仕事サボってた君達が原因だと思うんだが・・・」

「ぶ〜‼ライルも一刀みたいなことをいう〜‼」

「・・・ていうより一刀もいたのか?」

「うん♪」


すまないな一刀・・・・・・後で詫びとして何か持って行かせるから・・・。


「でもライルって本当に人気者よね♪」

「なにがだ?」

「だって魏が謝罪の使者を送って来るのは当然だけど、一刀達も来てくれたのよ。それに張遼って言う子も凄く心配してたみたいだしね♪」

「・・・本当に心配を掛けたな・・・」

「本当よ・・・」


雪蓮の話で霞達が本当にどれだけ心配したのかが理解出来る。何しろ霞は友達や仲間を本当に大切にする心優しい女の子だ。強い相手と闘いたいという若干の戦闘凶の一面が見られるが、普段は明るくて純情だ。


霞の印象を思い出しているとムスっとした雪蓮が俺の両頬を摘まんで引っ張り始めた。


「い・・・いふぁい⁉いふぁい⁉しぇるぇん⁉(い・・・いたい⁉いたい⁉雪蓮⁉)」

「むぅ〜‼浮気は許さないんだからね‼」


どうやら霞の印象を考えていてヤキモチを焼いてしまったようだ。そんなリアクションもまた可愛く、何処か保護欲に駆られてしまいそうだ。

暫く俺の頬を引っ張っていてようやく離してくれたが、彼女はムスっとしながらソッポ向いてしまった。


「わ・・・悪かったよ雪蓮」

「プン‼ライルなんて知らな〜い‼」

「はぁ・・・じゃあどうやったら許してくれるかな?」

「そうね〜・・・じゃあ・・・」


そういうと彼女は俺に振り向いて目を閉じ、顔を少し前に出して来た。

なにを望んでいるのか理解した俺は軽くため息を吐きながら・・・。


「やれやれ・・・・・・・・・んっ・・・」



彼女の両肩に手を置いて、同じように目を閉じて顔を近付けていき、彼女の唇にキスを落とした。



「ふ・・・ん・・・・・・ちゅ・・・ちゅ・・・ライ・・・ル・・・んはぁ・・・ちゅば・・・はん・・・ん・・・」


「ちゅちゅ・・・ん・・・ふ・・・雪蓮・・・ちゅう・・・ふぁ・・・しぇれ・・・んちゅう・・・ふ・・・ん・・・」


あまりに濃厚で情熱的なキス。


「ふぅぁ~~~・・・・・・・・」

「はぁ・・・・・・雪蓮・・・」

「なに?」

「・・・・・・愛してる」


そういいながら彼女を優しく、かつしっかりと抱きしめ、対する彼女も同じよう背中に両手を回して離さないようにしっかりと抱き締めて来た。


「ねぇ・・・ライル」

「・・・・・なにかな?」

「私も・・・あなたを愛してる・・・」

「・・・・・・ふふっ」


それから少しの間だけキスを何度も続け、俺はその際にあることを思い出して立ち上がり、引き出しの中から包み紙に包まれたお香を取り出した。


「ねぇライル、それは?」

「だいぶ前にお香屋でお香を買った時に娘さんがくれたんだ。“本当に大事な人と2人っきりになったら使え”だって」

「ふぅ〜ん・・・じゃあ私が本当に大事な人なんだ♪」

「当たり前だ・・・」


そういいながら俺はジッポを取り出してお香に火を付ける。すぐにお香の香りが部屋の中に充満していき、俺達を包み込む。


「・・・変わった香りだな・・・どうかな雪蓮?」

「そうね・・・なんだか甘い香りでもないし・・・不思議な・・・かお・・・り・・・」

「雪蓮?」


何だか雪蓮の様子がおかしかった。気になったので俺は隣に再び腰掛けて彼女の顔を覗き込む。


「雪蓮?大丈夫か?」

「う〜ん・・・・・・」

「どうかしたか雪蓮・・・・・・んっ⁉」


顔を覗き込んで話し掛けた直後、雪蓮は俺の後頭部に両手を回し、そのまま自身の唇を押し当てて来た。あまりにもいきなりだったので身構えが出来ず、俺は寝台に押し倒された形となった。


「ん・・・ふ・・・ちゅちゅ・・・ふ・・・ん・・・ちゅばぁ‼んん‼」

「ちゅ・・・ちゅば‼ふぁ‼ちゅう・・・ふぅん・・・んはぁ・・・」


先程とは比べ物にならない位に濃厚で激しいキス。雪蓮が俺の舌に自身の舌を絡ませ、貪るように唾液を交換してくる。


「ん・・・んん・・・ぷはぁ・・・」

「はぁ・・・はぁ・・・し・・・雪蓮・・・」

「ライルぅ・・・熱い・・・身体が熱いの・・・」

「あ・・・熱い?」


いきなり熱いと言い出す雪蓮。そういえば確かお香を焚いた瞬間にこういった症状になっている。俺は少しだけお香の香りをかいでみた。


「・・・この匂いは・・・ま・・・まさか媚薬入りか?」


症状からして間違いないだろう。つまりお香屋の娘さんはこういう状況にする為にあれを渡したということになる。

しかしその間にも雪蓮は濃厚なキスを続けて来る。


「ライルぅ・・・」

「し・・・雪蓮・・・」


・・・・・・やばい・・・あまりにも可愛すぎる・・・それにどうやら俺にも媚薬の効果が回って来たみたいであり、頭がぼーっとしてきた。


「し・・・雪蓮・・・・・・」

「ライル・・・・・・」


もはや理性の制御が出来ない。理性が働かないのならそのまま流れに身を委ねることにし、俺は再び雪蓮の唇を堪能する・・・・・・。







それからあまり記憶が曖昧となっていた。朝になって気が付けば俺と雪蓮は生まれたままの状態で寝台に抱き合いながら寝ていた。

俺はため息を吐きつつも彼女の唇に軽くキスを落とし、寝冷えしないように掛け布団を彼女に被せて服を着る。






それから暫くして、一刀達の使者一行と牙刀達一行がそれぞれの陣営に戻る時間がやってきた。

俺は建業の城門前にて見送りをする為に集まっていた。


「じゃあライルさん、俺達は帰ります」

「あぁ、心配を掛けてすまなかったな」


俺と一刀は互いに手を差し伸べて握手を交わす。


「ライル殿、私達もこれにて失礼させて頂く。どうかお元気で・・・」

「あぁ・・・出来ることなら次に会うのは戦場以外がいいが・・・それは叶わないだろうな・・・」

「うむ・・・しかしその時には互いに力と技を出し尽くし、武を極めようぞ」

「望むところだ・・・凪も元気でな、于禁と李典にも宜しく言っておいてくれ」

「は・・・はい‼」


相変わらずだが本当に忠犬みたいな子だ・・・。

2人には既に桃香と曹操に俺と雪蓮が書いた手書きの返書を渡してある。

桃香へは心配させたことへの詫びと近い内にそっちに邪魔すること。

曹操には今回の一件の不問。それに司馬懿への警戒という軽い警告だ。


「じゃあ帰ります。身体には充分に気を付けて下さいね」

「だったら私達も帰るとしようか・・・世話になったな」

「あぁ・・・・・・元気でな」


そういいながら俺達は手にしていた得物を掲げて、刃を軽く重ねる。


蜀の英雄・・・北郷 一刀。

魏の英雄・・・徐晃 公明。

そして俺。呉、蜀、魏の3英雄が争いの無い時間で再開を約束した瞬間だった。


次に会う時に牙刀とは敵同士・・・だが迷っている訳には行かない。呉に手を出す敵がいるのならばそれは必ず排除しなければならない。

それが俺達、海兵隊の役目だ。だが今はそれぞれの陣営に帰還する“友”の背中を見送るのであった・・・・・・・・・。

蜀に帰還して桃香率いる南蛮方面軍に合流した一刀。準備を整えて南蛮へと出陣し、そこで南蛮王と出会う。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[南蛮]

南蛮王とその仲間達と出会う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ