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第173話:諸葛一族

千里と俊里。二人の諸葛が対峙する。

ライル将軍との対談が全て終了したという報告が来た。表向きでは雪蓮様の計らいによる決定事項だが、あれ等は全てライル将軍による事項だ。


俺の学友である飴里や将軍の戦友である神槍こと張遼殿と魏の夏侯一族出身の夏侯覇殿と北郷は将軍が無事だったということで安堵の表情を浮かべていた。


そして魏の連中にも対談が許可されていたが、はっきり言うと納得がいかなかった。それもそうだ。なんで将軍を傷付けただけじゃなく、祖国に対して土足で踏み入った奴らにもそういった計らいをしなきゃならないんだ?


・・・・・・まぁ、それは置いといて、この俺・・・諸葛謹 子瑜こと千里はというと・・・。


「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」


自室にて魏の軍師である諸葛誕 公休こと俊里と無言で碁をしていた。

俊里は俺達の従兄弟にあたり、水鏡先生の私塾にいた頃には俺と飴里と同じ時期に入って卒業している。既にこういう状況に突入して一刻が経とうとしているが会話らしい会話は最初あたりしかしていない。あったとしても・・・。


「・・・・・・千里」

「・・・・・・なんだ?」

「・・・何でも無い」


こんな状況だ。それは仕方が無い。いくら従兄弟でも俊里はライル将軍を傷付けた魏の軍師。過ぎ去ったことだとは分かっているが心では理解出来ていない。


「・・・お前の番だ」

「・・・なぁ、千里」

「なんだよ?」

「・・・・・・ライル殿ってどういう人なんだ?」

「・・・聞いてどうする気だ?」

「軍師としても・・・俺個人としても興味が湧いて来たんだ・・・」

「・・・・・・・・・」

「魏が呉に対して非礼を働いたことは詫びる。だけど今だけは従兄弟同士で話さないか?」


俊里のいうことにも一理ある。いくら魏の使者だとしても今の俊里は客人でもある。ある程度は腹を割って話さなければならない。

そう考えると俺は口を開いた。


「・・・ライル将軍は俺にとって上官でもあり・・・師匠でもあり・・・なによりも兄のような存在だ」

「兄?」

「あぁ・・・俺だけじゃない・・・呉のみんなはライル将軍をまるで実の兄や息子のように慕っているし、民からの人望も厚い。だけど慢心にならず、呉に暮らすみんなを大事に思っている。おまけに出来るだけ街に出て軍民の境を無しにして大衆食堂で民と一緒に食事したりしている」

「・・・・・・・・・」

「それでいて呉蜀同盟の架け橋や冀州解放戦、交州平定、孫呉独立もライル将軍が多大な貢献をしているんだ・・・あの人こそまさに英雄だよ・・・」

「英雄・・・」

「そのライル将軍を手にかけようとしたんだ。呉の中でも魏に対して過激な考えを持った奴等が出て来ている程に怒りを買ってしまったんだよ。お前達は・・・・・・」


実際に最近は改革派内部で一部の過激な奴等がライル将軍を暗殺未遂としてでも手を出されて、魏を根絶やしにするという考えを示している。


それと保守派連中だ。孫静様はライル将軍を毛嫌いしていることで有名であり、魏による呉侵攻に合わせて行方が知れないのだ。

何かがあるとされて周瑜様は捜索隊を出して調査にあたっているが手掛かりがない状態だ。


「ライル将軍が許したからといって他の将兵全てが許すことはないんだ・・・帰りの道中は気を付けた方がいいぞ」

「・・・善処する」

「まぁな・・・その手でいいのか?」

「あぁ・・・次はそっちだ」


話をしつつも碁を続ける。俺の番になったので俺は目的の場所に碁石を置いた。


「・・・これでチェックメイトだ」

「ちぇっく・・・なんだって?」

「要するに投了ってことだ」

「なっ⁉なんだって⁉」


投了を宣言すると俊里は碁盤を見る。最初は俊里が優勢だったが、それらは全てこの状況を作り出す布石だったのだ。

暫く碁盤と睨み合いをしていた俊里だったが、状況を理解した俊里は正座に座り直す。


「・・・負けた」

「状況終了。お疲れさん」


それだけ言うと碁石を箱に全てなおして碁盤を片付ける。用事が終わったようなので俊里は部屋を後にしようとしていたので、俺はそれを止めた。


「待て、俊里」

「・・・なに?」

「これは従兄弟としての警告だ」

「?」

「あの司馬懿って奴には気を付けろ」

「司馬懿様か?」

「あいつは何かを企んでいる・・・・・・孫策様ほどの勘はないが・・・これでも俺の勘は何かと当たるからな」

「・・・軍師が勘に頼るのか?」

「ともかく気を付けておけ」

「・・・感謝する」


俊里はそういうと俺の自室から退出していく。確かに一軍師が勘に頼るなどもってのほか。しかし司馬懿が将来的に呉にとって災いになると勘が騒いでいるのだ。


俺はそう考えながら碁盤を元の場所に整頓するのであった・・・・・・。

一刀達が建業にいる頃、蜀の西部方面にも動きが見られた。

漢朝に長年もの間、刃を向けていた五胡が動き出したのだ。五胡対策を任されている嵐達はそこで奇妙な出会いをする。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[麒麟児対嵐]

西側の凶戦士が蜀に噛み付く。

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