コラボ第3段:2人の英雄
コラボレーション企画第3段。今回はブレイズ様に続いて人気作品とのコラボが実現しました。
どうぞお気軽にお楽しみ下さいませ。
あれは確か曹操が呉へ南進する1ヶ月前の話だ。俺は膨大な書類と格闘して辛くも勝利し、眠りに付いた先の話だ。つまりは“夢”。ただその夢があまりにも印象的で鮮明に覚えていた。
“本当に夢だったのか?”と錯覚してしまう程にだ。俺はその夢の中で彼に出会ったのだ。
“黒龍”と・・・・・・。
「う・・・う〜ん・・・・・・」
眩しい位の太陽が俺に朝日を浴びせて来て、それを片手で遮りながら目覚めた。
「いかん・・・寝過ごした・・・・・・か・・・」
俺は起き上がるが周囲の状況に思考が固まる。確かに俺は建業城の自室で睡眠を取っていた筈だ。つまり俺の視界には見慣れた天井が存在しなければならないのに、俺が今いる場所は・・・。
「・・・・・・・・・どこだ?」
森の中だった。辺りからはスズメの鳴き声やそよ風で草木が靡く音、俺がいる場所は木漏れ日が丁度いい感じで降り注いでいたので、かなり心地良かった。普通ならこのままもう一度だけ横になりたい気分だが、今はそれを堪能している場合ではない。
俺は考えるよりも手が自然に無線機に伸びていき、無線の周波数をジーンに合わせた。
「・・・ジーン・・・聞こえるか?」
<う〜ん・・・なによライル・・・こっちは真夜中なんだし用事なら明日にしてよ・・・>
「今は緊急時だ。君に少し尋ねたい」
<緊急時?>
「あぁ・・・実は・・・・・・」
俺はジーンにありのままを話した。自室で寝ていたのに目が覚めると見覚えのない場所にいたと。
最初はまた何か時系列でトラブルでもあったのだと思ったが、今回は違うようだ。その答えをジーンは眠そうに答えてくれた。
<ふわぁ〜・・・なんだ・・・・・・超眠じゃない・・・>
「超眠・・・なんだそれは?」
<むにゃ・・・超眠っていうのはね・・・超越する睡眠っていう言葉の略称で・・・・・・何らかの拍子で別世界にあなたが迷い込んじゃったっことよ・・・>
超越する睡眠か・・・他の世界に繋がるなんてどれだけ何でもありなんだ?
「・・・で?・・・何の問題もないんだな?」
<大丈夫よ・・・あなたが目を覚ますと自動的に意識が戻るわ・・・例えあなたがそっちで死んじゃっても夢扱いになるから大丈夫・・・だから起きるまでそっちの世界で楽しんだら?>
「はぁ・・・了解した。だったら言葉に甘えさせてもらう」
<りょ〜かい〜・・・ふわぁああ・・・じゃあ私は寝るわね・・・おやすみ〜・・・ぐぅ・・・>
「・・・・・・天界にも夜があったんだ・・・」
そうくだらないことを考えながら俺は無線機を離して、辺りを見渡す。夢の中だろうか、すぐ側に俺の得物であるショートグレイブにM45、後はすぐ側にレオポルドM3スコープに、オフセットマウントとリフレックスサイトを取り付けたSR-25Mが立て掛けられていた。
それをすぐに手に取り、7.62mm弾の初弾を装填して構えてみる。何処にも異常はなさそうだ。
セーフティを掛けてスリングを肩に通し、俺は辺りを見渡す。
「ここじゃ何処か分からないな・・・歩くか・・・」
独り言を口にしながら俺は森の外に向かって歩き出す。大体の時間は10分弱で森の外へと出れたが、それは何かが聞こえて来たからだ。戦場で完全に聞き慣れた怒声に悲鳴。更には濃い血の臭いだ。背負っていたSR-25Mを構えて俺はすぐにその方角へと駆け出していた。
そして森の外が見渡せる場所へと到着するとそこには案の定、二つの陣営が確認された。その場でプローン姿勢でパイポッドを立てたSR-25Mを構え、俺はスコープを通じて様子を伺う。
「・・・夢の中でも戦か・・・夢くらいはのんびりしたいぞ・・・一つは・・・・・・黄巾党の残党で・・・もう一つは劉備軍か・・・」
交戦しているのは頭に黄色の頭巾を巻いた黄巾党の残党と、劉の牙門旗が確かに確認できる。しかしその中に気になる牙門旗も確認された。
「“漆黒の黒旗”・・・・・・聞いたことがないな・・・」
視界に飛び込んで来たのは漆黒の黒旗。だが俺が知っている限り黒という漢字が入った名前の持ち主はいなかった筈だ。俺は戦況を確かめる為にスコープを覗き続ける。
「劉備軍は奮戦してるが数が違いすぎるな・・・だがどの兵もかなりの技量・・・・・・あいつは・・・」
劉備軍側の将兵はかなり統制された動きを見せており、俺は特にその中の一人に視線が止まる。
映し出されたのは青年で、容姿はくせのない少し長めの黒髪に、黒い瞳のパッチリした目に整った少し幼い顔立ち。
背は一刀と変わらないくらいだろう。
服装は白の小袖の上に黒い胴服を着て裾がボロボロの黒い上着を羽織り、藍色の袴を穿いた真っ黒な和装。
上着は胸の位置に円の中にとぐろを巻く黒龍を浮かび上げている。
背中の真ん中まで伸びた黒髪を首筋辺りで龍の頭を模した黒い髪飾りで留めている。
誰から見ても中々の美青年だと分かる。その青年は左手に持った黒色の槍を駆使しながら次々と敵を仕留めて行く。
しかし敵の数が違いすぎるので、僅かずつだが包囲されつつある。そして背後から剣と槍を構えてその青年を斬りかかろうとする敵を確認。
「まずいな・・・援護してやるか・・・」
そう口にしながらスコープのレティクルを敵の頭に合わせて、トリガーを引いた。
・?視線
不味い状況だ・・・愛紗に頼まれて一刀の親衛隊の一部を引き連れて演習を実施していたが、まさか黄巾党の残党と鉢合わせするなんてな・・・。
「連携を組め‼単騎で挑むと数の暴力に屈することになるぞ‼」
『応っ‼』
「せりゃ‼」
敵は確かに雑兵共だが、こちらが200人位の小部隊であることに対して向こうは確実に1000人近くはいるだろう。俺は槍を手にしながら次々と敵を仕留めて行く。
その内の一人の首に足で挟み込み、その敵を軸にしながら周りにいる敵を円を描きながら斬り伏せ、軸となっていた敵を頭から地面に叩き伏せる。
部下を鼓舞しつつ敵を片付けていく。そして俺は背後から敵が斬りかかろうとしている事に感づき、姿勢を低くして構える。
「甘い‼そんなのは奇襲だなんて言えない・・・ぞ・・・」
最後の言葉を口にしようとした瞬間、集団の中央にいた敵兵の頭が強い衝撃を与えたような動きを見せる。そしてそいつのコメカミには小さい穴が空いていた。そして少しだけしてから乾いた雷の音に似た音。それが立て続けに鳴り響き、何が起こったのか理解出来ずに立ち止まっていた敵が次々と倒れていった。
そこには同じく一寸の狂いも無しにコメカミや額、片目に風穴が空いていた。
この音は忘れ掛けようとしていた音・・・前世でTV等で聞いたことがあった銃声だ。俺は銃声がした方角を見て誰によるものか確認する。
「・・・あれは・・・」
そこにいたのは丘を駆け降りながら黒い筒・・・ライフルを構えて敵に攻撃を仕掛ける緑色の迷彩服に防弾チョッキ、背中に二筋の短槍を背負っている銀髪で長身の男。歳は俺よりも歳上だろうがそんなことはどうでもいい。俺が一番の衝撃を受けたのは・・・・・・。
「・・・海兵隊・・・」
その男が間違い無くアメリカ海兵隊員だからだ・・・。
・ライル視線
どうやら援護は不要だったようだ。先程の青年は正面の敵を素早く始末して敵の攻撃範囲に捉えられる前に振り向いていた。
だがサプレッサーを装着していなかったので発砲音でこちらの存在は悟られた。だから俺は発砲しながら丘を駆け下りる。そして丘を降りるとすぐ両手にショートグレイブを手にして近くにいた敵集団を斬り捨て、青年に駆け寄って背中合わせとなる。
「大丈夫か?」
「・・・あぁ。・・・加勢には感謝する。少し数が多かった処だ」
背中合わせになってはいるがまだ味方とは思われておらず、背後からでも警戒されているのに気が付く。
「君・・・名前は?」
「劉 玄徳様と北郷 一刀殿率いる蜀軍が将・・・黒薙、字は明蓮」
「黒薙・・・・・・いい名前だ・・・俺は孫呉海兵隊指令のライル・L・ブレイド。訳あってこの場所に迷い込んだ」
「孫呉海兵隊・ ・・・それに迷い込んだ?」
俺達が話していると痺れを切らした敵が複数で仕掛けて来たが、俺は身を低くして身体を捻りながら仕掛けて来た敵2名を同時に仕留め、黒薙はその場で飛び上がり、すれ違い様に同じく敵を同時に2名仕留めた。
「今はのんびり話している場合じゃないな」
「それもそうだな・・・行けるか?」
「当然だ・・・奪う事しか脳がない獣に負けはしない」
そう言いながら俺は左右のショートグレイブを回転させながら重ねて構え、対して黒薙は左手で槍を素早く回転させて矛先を敵に向ける。
「確かにな・・・左は任せてくれ」
「分かった・・・だったら私は右を片付ける」
「了解だ。素早く・・・」
「確実に・・・」
「「殲滅する‼」」
それだけ言い放つと俺達はそれぞれ左右に展開。近くでただ突っ立っている黄巾党残党を次々と刈り取っていく。
そこから時間は対して掛からなかった。士気が元から低い黄巾残党で敵う筈も無く、逆に練度が高いと思われる黒薙の部隊所属も同じように不利な状況を覆し、まるで猛る龍のように敵を飲み込んでいく。
その姿は俺達海兵隊に勝るとも劣らないものであり、何よりもその勇猛果敢な将兵達の先頭をいく青年の戦いぶりは直感で感じた。
「この男も・・・・・・英雄か・・・」
夢の中であるが、何故か初対面なのに背中を安心して預けられる青年。本当に不思議な感覚だが、今は目の前の敵に集中しよう。ショートグレイブを構え直し、敵中に突撃を敢行する・・・・・・。
・雛斗視線
凄く不思議な男だ。理由を聞かずこちらに助力してくれ、更には俺に背中を預けてくれている。向こうは俺と同じ槍使いで、それを二刀流にしている戦い方をしている。その中で体術も組み合わさっており、
しかもそれ等全ては非常に卓越されたものであり、柔の中にも豪が合わさった感じだ。そう考えている間にも敵は仕掛けてくるが、一人目をまずは右からの振り上げで斬りつけ、次は石突で腹に突きつけて動きを封じ、回転しながら薙ぎ払う。
「はっ‼」
「ぐはっ⁉」
「うぐっ⁉」
「ぎゃっ⁉」
看破入れず仕掛けてくるも、向かって来た集団を連続の刺突で突き崩し、最後に力を込めて地面に槍先をぶつけて吹き飛ばす。
「しかし・・・あの男・・・」
敵が怯んだ隙に俺はライルに視線を送る。威風堂々で覇気に満ち溢れ、更には確固たる信念を感じれるその姿も・・・。
「曹操や孫策と同じ・・・英雄・・・か・・・」
いつまでも見ている訳にはいかない。槍を構え直し、中腰になって右手を敵に向けながら左手で槍を保持しつつ背中に委託させる。
「我が名は黒薙‼この名を知っても向かって来る者がいるならば、我が命を奪ってみせろ‼‼」
星がいいそうな言葉を俺なりに考えて、敵を挑発しながら敵に突撃を敢行する。
・ライル視線
「せいっ‼はっ‼でりゃ‼」
「はいはいはいはい‼‼」
苦戦していた劉備軍はすっかり立て直し、逆に敵部隊はその猛反撃で戦意を消失。逃げ出す者が次々と出始めた。だが俺は再び黒薙という青年と合流。
背中合わせで同じ速度で駆け出し、すれ違い様の敵を次々と斬り捨てる。そして敵が固まっている場所にまで到着すると背中を預けつつ回りながら360°で攻撃範囲にいる敵を薙ぎ払っていく。その最中、ほぼ互いの正面から半ばヤケになって槍を突き出し向かって来る敵がいた。
「「うむっ‼」」
互いの考えを悟ったのか、俺は右手のショートグレイブ“雷”を地面に置き、黒薙の右手を取るとほぼ同時に互いを引きつけ、それぞれ少しだけ飛び上がりながら槍先を突き刺す。
そして黒薙が雷を目線の高さまで蹴り上げて、俺もそれをすぐさま受け止めるとすぐさま敵を斬りつける。
黒薙も同様だ。振り向きざまに敵の腹に蹴りを見舞って吹き飛ばす。自分でいうのもなんだが本当に息が合った連携だ。
そうしながら戦闘を継続していると遠方から砂塵が見えた。最初は敵の増援かと思ったが、隣を見ると黒薙の口元が笑っていた。
「やっと来たか氷‼」
「誰だそれは⁉」
「俺の出来がいい従者だ‼」
よくみると確かに漆黒の黒旗が確認出来たが、それとは別に見慣れた牙門旗も確認された。
「“紺碧の張旗”に“純白の公孫旗”・・・それに“深紅の呂旗”・・・」
見間違える訳がない。俺の戦友である霞に白蓮、それに恋が増援としてやってきたのだ。だが直感的に何かを悟った俺は攻撃速度を更に速めて、敵を狩っていく。
すると斧を片手に逃げ出す味方を制止する指揮官らしき敵を確認出来た。数は2人。俺達はすぐさまそいつ等の処まで駆け出し、槍を構える。
「おっ⁉おい⁉あ・・・あの2人⁉」
「ば・・・化け物じゃねえか⁉おい‼お前が行け‼」
「なっ⁉なんで俺が⁉テメエが行けばいいだろ⁉」
「うっ・・・うるせぇ‼お前が行け‼」
互いを前に出させようとして仲間割れか・・・所詮は賊ということだ。俺達はそれぞれ片方の懐に飛び込んで構えた。
「「ひぃ⁉」」
「とっとと・・・」
「・・・死ね」
敵に死の宣告を下すと俺達はほぼ同時に、尚且つ一刀両断にする。敵指揮官は肩から文字通り真っ二つとなり、音を立てて地面に崩れ落ちる。それを確認した俺達はそれぞれ首を斬り落とし、それを高々と掲げる。
「「敵将‼討ち取った‼」」
『わぁあああああああああ‼‼』
敵将を討ち取ったことで周囲から勝鬨が挙げられ、反対に指揮官を失った敵は逃げ出すか降伏するかの二つしか手段が残されていない状況へと陥る。
俺も敵将の首を放り投げるとショートグレイブを背中に預け、SR-25Mにタクティカルリロードで新しいマガジンに交換。リフレックスサイトによる照準の構え方を執る。
「敵はあと少しで壊滅だ。このまま味方増援との挟撃を提案するが?」
「私も同じことを考えていたさ・・・」
そう確認すると黒薙は槍を何度か回転させ、状態を確認すると再び構え直す。
「では・・・行くか‼」
「ああ‼黒薙隊‼あと一息だ‼このまま一気に敵を薙ぎ払うぞ‼」
『応っ‼‼』
「全軍‼突撃‼前へ‼」
『うらぁあああああああ‼‼』
黒薙の檄で将兵達は士気を最高潮にさせ、それぞれ剣や槍を空高く掲げると増援部隊と接敵した敵の背後に突っ込んで行った。
この後は一方的だった。恐怖に駆られた敵になす術はなく、ただ劉備軍に駆逐されていくか降伏していく。本当にこの二つだけだ。数刻には駆逐が完了して、そのまま戦後処置へと移行していった。
・雛斗視線
戦が完全に終わったのは夜になってからだ。黄巾党残党勢力は完全に駆逐され、俺達はそのまま敵味方関係なく死んで行った人達の遺体を丁重に埋葬していき、作業自体はあと2刻ほどで完了する。周囲には弔いの焚き火が焚かれ、明るさの中に悲しさと虚しさが見える。
俺は合流した氷に部隊の指揮を任せると、そのままあの男へ歩み寄る。
「終わったのか?」
「いや、埋葬作業ならまだ続いてるけど引き継ぎはしたさ。後は従者がやってくれるだろう」
「優秀な従者なんだな?」
「あぁ・・・私には勿体無い位に優秀な従者だ」
他愛の無い話をしながら俺はライルに対して拱手の礼を執る。
「ライル殿・・・この度は助力してくれて本当に感謝している」
「いきなりだな・・・」
「貴殿のお陰で味方の被害を最小限に抑えられた。本当に感謝する」
「気にするな・・・助力は俺が勝手にしたことだ。君が感謝する必要だなんてどこにも無い。それに俺がいなかったとしても君なら簡単に乗り切れてただろう?」
「・・・随分謙虚なんだな?」
「そういう君もだろ?」
「ふっ・・・・・・ふふふふ」
「くくくく・・・」
「「あははははははははは‼‼」」
互いに謙虚だと言いあっていると、それがなんだか可笑しくて俺達はほぼ同時に笑い始める。すると背後から聞き慣れた声がしてきた。
「おぉ〜い‼ひ〜な〜と〜‼」
俺が振り向くと得物を担いでこっちに歩み寄って来ている霞がいた。
「お疲れさん雛斗♪」
「あぁ・・・ありがとう霞」
「なぁなぁ雛斗〜、さっきから誰と話しとったん?」
「あぁ・・・紹介する霞。この人は・・・・・・あれ?」
俺が再びライルに振り向くが、さっきまでそこにいた筈のライルが姿形もなかった。辺りを見渡すがそれらしい姿は全く見られなかった。
「雛斗、どないかしたん?」
「えっ?・・・あ・・・・・・いや・・・何でも無い・・・ちょっと考え事をしてただけだよ」
「ふぅ〜ん・・・そうなんや」
「霞、悪いんだけど先に行っていてくれない?まだちょっと仕事が残ってるから、終わらせてからすぐに行くよ」
「ええよ♪」
そういうと霞は満面の笑みを浮かべながらもと来た道を引き返す。それを見送ると俺は辺りを見渡し、ライルが何処にもいないことを確認。不意に空を見上げるとまだ一筋の流れ星が流れた。一瞬であったが、非常に美しい流れ星だった。それを見た俺は口元がふと笑いながら空を見続ける。
「・・・俺の真名は雛斗・・・・・・あなたに預けるよ。ライル・L・ブレイド」
俺は先程までいた“新しい戦友”に真名を預け、霞の後を追う。そして霞に追い付いたと思うとそこには俺の従者である黒永・・・氷がいた。
どうやら作業の進捗状況の報告をしに来たようであり、報告を受けると氷は俺に話しかけて来た。
「雛斗様・・・何か良いことでもありましたか?」
「うん?」
「笑みが残っていますよ」
「ふっ・・・そうだね。この国に英雄は・・・意外に多いのかもね」
「は?」
当然、意味の分からない氷は首を傾げる。俺はそれを笑って氷の頭を軽く叩く。
「さ、早く終えて帰ろう。星が見える内に仕事を終えたいからね」
氷の肩を取りながら作業を早く終わらせる為に移動していく。恐らく彼に会うことはもう叶わないだろう。だけど彼との出会いは俺の思い出の一つとなり、今後なにがあっても忘れることはない。
“別世界の英雄との一日のみの共闘”という思い出は・・・・・・。
・ライル視線
“ピピピピピピピピピピピピ”
いきなり目覚ましの電子音が流れ出す。俺はそれをすぐに止めると身体を起こして辺りを見渡す。
「・・・俺の・・・部屋・・・だな・・・」
辺りには俺が深夜まで整理していた書類の山に本棚、壁には写真や勲章が飾られ、棚にはコーヒー豆が瓶詰された状態で保管されていた。
「は・・・ふわぁあああ・・・しかし変わった夢だったな・・・」
そういいながら俺は頭を軽く掻く。
「だが・・・」
俺はそう思いながら窓を開けて室内の空気を入れ替える。
「黒薙 明蓮・・・・・・真名は雛斗か・・・ふふっ・・・・・・」
戦いの夢だったが、心地よい夢だった。この話が語られることは有り得ないだろう。だが俺にとってはかなり貴重な夢であったことには間違いない。
寝巻きから迷彩服に着替えると朝食を摂る為に俺は食堂へと足を運ぶのであった・・・・・・・・・。
コラボレーション企画第3段いかがでしたでしょうか?
今回は私のご盟友の一人でありますforbidden様が作者を務めておられる“真・恋姫†無双 ~緑に染まる黒の傭兵~”とのコラボレーションとなります。
本作はもちろんコラボレーション先には影響は一切ありませんので、是非ともお気軽に“真・恋姫†無双 ~緑に染まる黒の傭兵~”と合わせてご覧くださいませ。
ここに改めてコラボレーションにご参加頂きましたforbidden様に感謝を述べさせて頂きます。
監督:forbidden様
企画・制作:ウルヴァリン