第171話:一刀と雪蓮
露蘭を1人にさせた一刀。中庭にて孫策と対話をする。
俺が部屋で待っていると霞と一緒に食堂へと行っていた筈の露蘭が深刻そうな表情で戻って来た。気になったので話しかけようとしたが、1人にして欲しいと頼まれたので一緒にいた飴里と共に部屋を出た。
飴里が食堂にいる霞のところへ向かわせて俺はその間は特にやることが無かったので、仕方なく中庭へと足を運んだ。するとそこには先客がいた。
「あら?一刀じゃない♪」
「孫策?」
先客とは、この国の王である孫策だ。彼女は呉の宿将である黄蓋さんと一緒に日陰で酒を飲んでいた。というより今は業務中だと思うんだが・・・。
「こんな処で何してるの?」
「あら?私はここの主よ。何をしていてもおかしくないじゃない♪」
「うむ、しかしそれを言うならお主の方が何をしておるのじゃ?」
「ははは・・・痛い処を突かれましたね・・・って・・・そういえばまだ挨拶がまだでしたね。俺は北郷 一刀って言います」
「ライルからは話は聞いておるぞ。儂は孫堅様より仕えておる黄蓋 公覆じゃ。見知りおけぃ」
正史で赤壁の戦いにて活躍を見せた宿将の黄蓋と挨拶を交わす。
「一刀も一緒に飲まない?前にアレックスから貰ったお酒よ♪」
「酒って・・・いいのか?」
「なにが?」
「今はライルさんが寝台に横になっていて、しかも魏の侵攻からあまり時間が経過してないんだ。それに今は多分だけど業務中の筈だと思うんだけど・・・」
「ぶぅ〜‼いいじゃない‼それにライルは華佗っていう医者と妹の診察を受けてるんだから部屋に入れないのよ‼」
「それにお主は他国の人間じゃ。あまり干渉するのは関心せんな・・・・・・それに男が細かい事を気にするではないぞ‼」
自由奔放とはまさしくこの事だろう。ライルさんの苦労が何となく分かる気がするな・・・。
「まぁ・・・それは置いといて・・・一刀は本当に何をしてたの?」
「いや・・・ちょっと散策をね・・・・・・」
「じゃったらお主も来るがよい。話をしてみたかった処じゃ」
「う〜ん・・・・・・・・・分かった。じゃあお邪魔させてもらうよ」
断る理由は特に見当たらなかったので、言葉に甘えて俺も2人の輪の中に入り、孫策から酒が注がれた盃を受け取り、それを口に放り込む。
「おおっ♪中々いい飲みっぷりじゃ。まぁもっと飲め」
「ありがとうございます黄蓋さん・・・」
「話は聞いてたけど、一刀ってお酒に強いのね♪」
「強くなったのはこっちに来てからだよ」
「なんじゃ?天界ではお主は酒を飲まんかったのか?」
「国によってはバラバラだけど、俺の国じゃ二十歳以上じゃないと飲酒が出来ない法律があるんだ。小さい時から飲酒すると体に毒だからね」
「えぇ〜⁉それじゃつまらないじゃない⁉」
「そうじゃ‼それでは人生の半分を損しておるではないか⁉」
・・・そんなこと言われてもね・・・。
「そういう法律があるんだ。こればっかりはどうしようも無いんだよ」
「ぶぅ〜・・・あぁそうだ一刀♪ちょっと聞いてみてもいい?」
「なにが?」
「劉備ちゃんとは相思相愛よね?」
いきなりの質問に俺は飲んでいた酒を吹き出してしまい、そのままむせてしまった。
「げほっ⁉げほっ⁉・・・い・・・いきなり何を言い出すんだ⁉」
「だって気になるじゃない♪閨のこととか♪閨のこととか♪閨のこととか♪」
「あ・・・あんたは酔っ払いの親父か⁉」
「おぉ‼確かに気になるのぅ‼じゃから大人しく白状せんか‼」
・・・この2人・・・・・・完全に酔っ払ってるな・・・。しかも気迫が尋常じゃないくらいに凄まじく、俺はそれに負けて顔を赤く染めながら白状することにした。
「・・・・・・まぁね・・・」
「で?7日にどれ位してるの?」
「そ・・・その・・・・・・よ・・・4日に一回は・・・」
「ほぅ・・・・・・じゃったらどんな感じじゃ?」
「・・・・・・優しく・・・してあげてます・・・」
頼むから本当に誰か助け舟を出して欲しい・・・恥ずかし過ぎるし、何よりも俺自身こういう話は苦手のジャンルに入ってしまう。俺の反応を見ながら楽しんでいる酔っ払い2人は大笑いしながら酒を飲んでいた。
「はははは‼‼ごめんなさいね一刀♪」
「しかし・・・天の御遣いも閨事にはウブとはのぅ。見てるこっちは飽きぬな♪」
「笑わないでよ・・・だったら孫策はライルさんとはどういう関係なのさ?」
「私?・・・ライルと私も相思相愛よ♪」
「うむ、ライルが倒れておった時に策殿はずっとそばにおったし、今朝方も熱い接吻を交わしておったようじゃしのぅ」
「うん♪」
恥じらいもなく孫策は笑顔で頷く。しかしあのライルさんがそんな大胆なキスをするなんて・・・・・・。
孫策は確かにその純粋無垢なイメージで周りの人間を明るくしそうだし、ライルさんも一度好きになった相手は大事にしそうなイメージがある。
それがまさに実証されたということだ。
「やっぱり一刀って面白いわね♪」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
「もう、そんなに拗ねないでよ♪お詫びに私の大事にしてるとっておきのお酒のませてあげるから♪」
「・・・・・・美味いのか?」
「うむ‼儂も前に飲ませてもらったが、かなりの絶品じゃったわい‼」
黄蓋さんがそういうなら本当に美味いのだろう。すると孫策は何処からか酒が入った酒壺を取り出して盃に注ぎ始める。これは・・・・・・。
「これは・・・ワイン?」
「輪員?」
「北郷よ。なんじゃそれは?」
「これはワインっていって・・・・・・葡萄っていう果物の果汁から作った酒なんだ。羅馬が発祥とされてるんだ」
「へぇ〜・・・羅馬のお酒なんだ・・・」
「どうりで珍しい味じゃと思ったぞ」
「香りもいいし、確かにいいワインだと思うよ」
「そう♪じゃあ飲みましょう♪」
「そうじゃな♪ならば今はこの香りも一興として楽しむとしようかのぅ」
「そうだね」
そういいながら俺達は注がれたワインを口にしようとした瞬間・・・・・・。
「楽しめるとでも思っているのか?」
いきなり怒気が満載された声がしてきたので、俺達はゆっくりと声がした方角に顔を向ける。そこにいたのは・・・。
「全く・・・只でさえ忙しいのに私が少し離れた隙に酒とはな・・・」
青筋を立てて仁王立ちしていた周瑜がいた。
「あ・・・あはははは・・・め・・・冥琳・・・」
「酒を飲んでいるということは既に仕事は終えているということであろうな?」
「あ・・・あはははは・・・・・・え・・・えっと・・・・・・その・・・そ・・・そう‼これはお酒じゃないのよ‼水よ水‼」
「ほう・・・水か・・・」
「そうじゃ‼こ・・・これは只の水じゃ‼」
なんというか・・・あまりにも無茶苦茶な言い訳だな・・・紫色でアルコールの匂いがする水なんて見た事がないがな・・・。
そういいながら周瑜はワインが入った酒壺を片手で持ち上げ、近くにある花壇へと歩き出す。
「だったら花に水をあげなければな‼‼」
「「あぁああああああ‼⁉⁇何を勿体無いことを‼⁉⁇」」
「水だったら問題ないだろ⁉それよりも2人共・・・これから仕事が待ってるわよ・・・」
水という名前のワインを周瑜によって花壇にばら撒かれ、孫策と黄蓋さんは絶叫のような表情でそれを見ていた。
その後に2人は周瑜に連行されていき、強制的に仕事をさせられたようだ。その傍らで俺は・・・。
「・・・・・・あれ?・・・俺はどうしたらいいんだ?」
独りぼっちにされて立ち尽くしていた・・・・・・。
一刀が雪蓮と祭の2人で話をしている頃、執務室にいた千里にも客人が来ていた。
諸葛瑾に諸葛誕。同じ諸葛一族だが所属する陣営の違いで互いの間に重い空気が流れる。
次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”
[諸葛一族]
諸葛一族の二大男子。己の信念を確認しあう。