第169話:騎士
露蘭と隼照。2人の騎士は互いの気持ちをぶつけ合う。
ライルの兄貴が無事に目を覚ましてくれて安心したぜ・・・・・・。
魏からも使者として牙刀さんや司馬懿、後は諸葛誕達が来てたっていうのは驚いたけど、華琳はやっぱり暗殺を指示してないってことも分かった。
兄貴と対談した後に俺達は一旦客室に戻って、ある程度の行動許可が出て来て俺は食堂で腹ごしらえする為に向かった。
「いや〜♪兄貴が無事で本当によかったぜ♪」
「全く・・・相変わらず人騒がせなんやからな・・・ライルは・・・」
「そう言うなって霞、生きてたんだからよしってしようぜ♪」
兄貴の話をしながら俺と霞は建業城の食堂へと向かう。案内してくれてる衛兵は苦笑いしながも俺達2人を案内してくれる。
歩いていると廊下の向こう側から何やらいい匂いがしてきた。
「おっ♪この匂いは麻婆豆腐じゃないか?」
「ん〜・・・せやな」
「そんじゃ‼早速いこう・・・ぜ・・・・・・」
「なんや露蘭、どないかしよったんか?」
霞が俺に話し掛けてきたけど、今はそれどころじゃない。すぐ前の廊下に赤い甲冑を身につけて壁にもたれ掛かっている魏の使者の1人がいやがった。しかも俺が知ってる奴と来やがった・・・。
「・・・隼照」
「・・・ああ、久しぶりだね露蘭」
目の前にいたのは文鴦 次騫。俺がかつて魏にいた頃、俺と同じく甲冑を身につけて俺が白騎士って呼ばれてるようにその容姿から“赤騎士”って呼ばれてる魏の武将だ。
俺と隼照は暫く沈黙した後に気になった霞が間に入ってくる。
「な・・・なぁ・・・・・・露蘭」
「・・・悪い霞・・・・・・すまないけど先に行っててくれないか?」
「え?・・・・・・う・・・うん・・・」
それだけ言うと霞は衛兵に案内されながら食堂へ先に向かう。いまここにいるのは俺と隼照、後は隼照の案内をしてたと思う槍を手にした衛兵数人だ。
「・・・何年ぶりかな?」
「・・・・・・3年ぶりだ」
「・・・少しだけ話さないか?司馬懿様には許可を頂いている」
隼照からの提案に俺は暫く考えてから小さく頷き、その場から動き出す。向かった先は中庭であり、そのすぐそばの木の前に立ち止まると俺達は対峙する。
「・・・・・・・・・」
「・・・あれからどうしてた?」
「・・・2年前までずっと傭兵をしてた」
「君がいきなり魏を抜けて大変だったよ。夏侯惇様は追い掛けるつもりだったし、何よりも徐晃将軍は悩んでた」
「・・・すまないな」
「・・・なぁ露蘭」
「・・・なんだよ?」
「今からでも遅くない。だから悪いことは言わない。魏に戻って来ないか?」
隼照からの提案は“魏への帰従”。だが今さら魏に戻ったって周りが黙っていないだろうし、今の生活も気に入っている。
「曹操様には俺からも一緒に頭を下げて頼む。だから戻って来てくれ・・・お前の力が必要なんだ」
「・・・・・・・・・悪い・・・隼照。それは出来ない」
「・・・なんでだ?」
「俺は・・・確かに魏にはいたけど・・・今は蜀の将だ・・・今さら魏に帰ることなんて・・・」
「だけど・・・俺は君の力は蜀ではなく魏で真価を発揮すると思ってる・・・君はこのまま才能を埋めさせるつもりなのか?」
「・・・俺の剣や盾は・・・ライルの兄貴がくれて・・・・・・蜀のみんなの為に戦うきっかけになったんだ・・・・・・だから俺は・・・」
そういいながら俺は中庭から見える蒼天を見上げ、暫くしてから再び隼照を見る。
「だから俺は・・・蜀の為に武を振るう‼」
「・・・・・・分からない」
「・・・・・・・・・」
「分からない‼君は魏に仕える夏侯一族の一員‼魏に従う義務があるのになぜ⁉」
「・・・・・・俺は・・・そんな呪縛に縛られたくはない・・・」
「君はまた運命から逃げるのか⁉郭淮の時のように「黙れ‼」なっ⁉」
郭淮という名前を口にした瞬間、俺は声を上げながら隼照の甲冑の一部を掴み、睨みつける。
「・・・その名前を口にするな・・・・・・でないと・・・殺す‼」
「だがこのままではまた君は誤ちを繰り返すだけだ‼俺は君を救いたい‼だから「うるさい‼」がっ⁉」
俺は隼照を力強く突き飛ばし、隼照はそのまま壁にぶつかる。
「・・・お前に何が分かるんだよ・・・あんな事を味わった俺の気持ちが・・・・・・」
「・・・露蘭・・・」
「もうあんな思い・・・味わいたくない・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・ごめん・・・」
一言謝ると俺はそのまま食堂へは戻らず、充てがわれた客室へと向かう。
部屋に帰ると様子がおかしいと感じ取ったカズっちと飴里に頼んで1人にさせてもらい、部屋に俺1人になると寝台に座り込む。
「・・・・・・・・・遥・・・・・・・・・」
ライルが目覚めたのには2人の治療があった。五斗米道の使い手である神医と華蓮。2人は互いの力を合わせて治療に全力する。
次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”
[ゴッドベイドー]
2人の名医が友を救う。