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第168話:銀狼と龍

ライルと牙刀と凪。互いの心を通わせる。

気疲れしそうだった司馬懿との対談を終わらせ、俺は最後の面会者である牙刀と楽進の到着に備えていた。


とはいっても新しくコーヒーを用意するだけなのでカップにコナコーヒーを注ぐ。キリマンジャロに続くハワイ産の高級品であるコナコーヒーは嫌味のない酸味を持ち、ブレンドに用いると良質な酸味が与えられる。


取り敢えず茶菓子としてクッキーも用意し終わると扉が数回叩かれた。


「ライル殿、失礼する」

「入れ」


入って来たのは牙刀と隣を歩く楽進だ。牙刀は平常心を保っているが楽進は室内をキョロキョロと伺う。


「凪、落ち着け」

「えっ・・・は・・・・・・はい⁉すみません隊長‼」


注意された楽進は犬みたいにシュンとなってしまう。俺はその光景に思わず微笑んでしまっていた。


「失礼したライル殿」

「いや、構わない。それにしても二人は仲がいいんだな?まるで恋人だぞ」

「なっ⁉ら・・・ライル殿⁉わ・・・私が隊長の・・・こ・・・・・・ここここ恋人だなんて⁉」

「落ち着け」


俺が少しだけからかうと楽進は面白い位に顔を真っ赤にさせながら俯いてしまった。そんな反応に笑いながら俺は2人に座るようにジェスチャーで伝えた。

理解した2人はすぐに椅子に腰掛け、俺も座りながらカップを手にとった。


「こうして話をするのは反袁紹連合時以来か?」

「そうなる・・・あの時の猛馬は元気にしておるか?」

「あぁ、変わらず元気だ。相変わらずのじゃじゃ馬だがな・・・」

「その様子だと元気みたいだな」


スレイプニルの話で盛り上がる俺と牙刀。だが彼はすぐに深刻そうな表情をしながらこちらを見てくる。


「・・・・・・ライル殿・・・この度の一件・・・まことに申し訳なかった」

「隊長・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「私は・・・貴殿とは正々堂々と一騎打ちで互いの武を競いたかった。しかし・・・」


牙刀は握り締めた両手を更に力を込めている。


「しかし・・・あのような卑劣な者共が貴殿を殺そうとし・・・あまつさえ魏呉との聖戦を汚してしまった・・・・・・」

「隊長・・・・・・」

「ライル殿は我らを不問にされたが・・・貴殿の要望あらば・・・私の頸を刎ねて頂きたい」


牙刀のいきなりの発言に楽進は驚愕するが、俺は冷静さを保って話を聞き続ける。


「貴殿は私にとって敵味方を超えた存在・・・・・・英雄と称される貴殿に刎ねられるのならば本望だ・・・だからどうか謝礼を込めてこの頸を「寝ぼけるな徐晃」・・・」


流石にこれ以上は聞いてられない。俺は怒気を込めつつ牙刀を睨みつける。


「玉座でも雪蓮に言われた筈だ。手紙や謀反人の頸程度で今回の一件が丸く収まることなど無いと・・・」

「・・・・・・・・・」

「今更お前の頸を刎ねた程度で俺の魏に対する印象が変わる訳でもないし、何よりも腑抜けとなったお前の頸に何の価値も無い」

「ライル殿・・・」

「それに・・・・・・俺も言った筈だ。魏にはお前の帰りを待っている奴等がいるとな」

「私の・・・」

「曹操に夏侯惇、夏侯淵、許褚、典韋、于禁に李典。幾多もの仲間がお前の帰りを待っているんだ。それにお前の隣にもいるだろ?」


そう言って牙刀は隣にいる楽進を見る。その表情は心配そうな表情で、この表情には見覚えがある。

俺が意識を失っていた間に心配してくれていた雪蓮の哀しそうな顔だ。その表情を見た牙刀は深く息を吸い込み、それを吐き出した。


「・・・すまなかったな。ライル殿」

「・・・・・・・・・」

「私はどうやら弱気になっていたようだ。このようなことをしてもただ逃げているだけ・・・・・・。そして何よりも曹操殿達の気持ちを無下にする処だった・・・」

「・・・・・・そうだな」

「貴殿の言葉で改めて思い知らされた・・・ならば私の武は主達の為に振るい・・・必ずや次の闘いで貴殿に勝ってみせよう」


そういいながら俺を見てくる牙刀。その眼には闘志が蘇っており、決意に満ちた素晴らしいものとなっている。


俺は口元をニヤリとさせながら返答する。


「・・・中々いい眼をしている。さっきまでとは大違いだ。なぁ楽進?」

「・・・はい。先程までの隊長は隊長では無かったですが、今は私が知っている隊長その人です」

「すまなかったな凪」

「いえ・・・・・・それよりライル様」

「何だ?」

「私の真名は凪といいます」

「・・・・・・いきなりだな。どうした?」

「ライル様のお言葉・・・私も感激しました。武人としても将としても・・・私はあなたを尊敬しております。ですのでどうか私の真名をお受け取り下さい」


自身の真名である凪を俺に預けようとする。預かってくれないのではないかという不安が少しだけ混ざった表情に可愛いと思ったが、俺は立ち上がって踵を鳴らして敬礼をする。


「凪・・・・・・確かにその真名を預かった」


そういいながら俺達は時間が許す限り雑談を楽しんだ。次に会う時には互いに敵同士。


どちらかが命を落とすかもしれない。


だが今は楽しむとしよう。2人の友と共に・・・・・・・・・。

ライルと牙刀達が対談をしているその頃、別の場所でもう一つの対談が行なわれていた。露蘭と文鴦。互いに認識がある2人はどういう話をするのか・・・。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”


[騎士]

2人の騎士が対峙する。

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