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第163話:3英雄の再結集

遂に眼を覚ましたライル。ずっと看病をしてくれていた雪蓮に感謝をする中、蜀と魏からそれぞれ使者がやって来た。

・・・・・・何だか夢を見ていた感覚だった。雪蓮に2年越しの告白を果たし、その直後に曹操軍の刺客が放った毒矢から雪蓮を庇い、俺が毒を受けて生死の境を彷徨っていた。


そこから俺はやがて意識を覚醒させ、気が付けば見慣れた天井が視界に飛び込んで来た。


「うっ・・・・・・う・・・」


俺は意識がまだ完全に正常しない状態で重い頭を振り、辺りを見渡す。

側には執務の際に使う机や椅子、写真や勲章、更には扉のすぐそばにはコーヒー豆が瓶詰にされた状態で保管されている。


「あの後は・・・・・・どうなったんだ?」


俺は記憶を手繰り寄せる。確かに雪蓮を狙った敵から庇い、それが毒矢で、ナイトホークで駆けつけたPJ(Para Junper/パラシュート降下救難員)により建業に搬送されたが、その先からの記憶が無い。


「すぅ・・・すぅ・・・」

「?」


どこからともなく寝息が聞こえてくる。俺が横を向くと・・・。


「すぅ・・・すぅ・・・すぅ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」


寝台に倒れ込むように眠り、俺の手を握っている雪蓮の顔があった。彼女の瞼は赤く張れ上がり、寝台は彼女が流したであろう涙によって濡れていた。


「・・・・・・泣いていたのか・・・ずっと・・・・・・」

「すぅ・・・すぅ・・・」

「こんなに赤く腫れさせて・・・・・・ありがとう・・・そしてごめんな・・・雪蓮」

「う~ん・・・」


俺が彼女の髪を撫でながらずっと一緒にいてくれたことを感謝すると、雪蓮が目を覚ましたようだ。


「すまない・・・起こしちゃったかな?」

「う〜ん・・・・・・ライ・・・ル」


まだ若干だが寝ぼけているようであり、目を擦りながら俺の顔を見る。


「おはよう・・・・・・雪蓮」

「・・・ライル・・・・・ライル‼‼」


雪蓮は俺の顔を見て感極まったのか、抱きついてきた。その光景に少しだけ驚きながらも俺は彼女をしっかりと受け止めてあげる。


「馬鹿‼ライルの馬鹿‼私がどれだけ心配したと思ってるのよ⁉」

「すまない・・・・・・本当に・・・」

「あなたが死んじゃったら私・・・私・・・」


雪蓮は俺の首に腕を回してしっかりと抱き付いて、俺も彼女の背中に手を回して彼女の長くて綺麗な桃色の髪を優しく撫でて落ち着かせる。


「雪蓮・・・・・・君が無事で本当によかった・・・」

「・・・馬鹿・・・・・・15日も目を覚まさなかったのに・・・みんな本当に心配したのよ・・・」

「15日も・・・雪蓮はずっと俺の傍に?」


そう言いながら雪蓮は頷く。15日間もずっと俺の傍を離れず付きっきりで看病してくれた。彼女の言葉に俺はますます嬉しくなり、より強く雪蓮を抱きしめる。


「・・・・・・本当にありがとう・・・雪蓮」

「・・・・・・今回だけだからね・・・次また無茶したら許さないんだから・・・」

「分かってる・・・君と離れるだなんて考えたくもないからな・・・・・・」

「ライル・・・・・・んっ・・・」


約束すると前回とは打って変わって彼女に俺からキスをする。


「んん・・・ちゅ・・・んはぁ・・・ライ・・・ル・・・ん・・・」

「ん・・・ちゅ・・・んん・・・しぇれ・・・ん・・・・・・」


暫くしてから彼女は舌を俺の口に侵入させ、俺の舌に絡ませる。やがて彼女に押し倒されるような態勢になるも、俺も彼女の気持ちに応えるように舌を絡ませる。


「・・・っはぁ~・・・」

「はぁ・・・雪蓮」

「ライル・・・・・・愛してる・・・」

「俺も愛してる・・・・・・雪蓮・・・」


互いに愛してることを伝えると二つ再び互いの唇が重なる。俺達が互いを愛し合っているが、扉が開けられて中に誰かが入って来たことに気が付かなかった。


「ふっ・・・・・・ようやく目が覚めたようだな・・・」


声を掛けられて唇を離して振り向くとそこには俺が以前に孫呉海兵隊所属の将軍級専用として採用したクラス“C”サービスドレスと略帽を身に纏った九惹がこちらを見ていた。


「く・・・九惹・・・」

「全く・・・見せつけてくれるな・・・」

「・・・・・・一応は聞いておくが・・・どこからいたんだ?」

「“おはよう・・・・・・雪蓮”の辺りからだな」


・・・殆ど最初からじゃないか・・・。俺と雪蓮は顔を紅くさせながら磁石みたいに離れる。


「それより孫策、周瑜が呼んでいるぞ。すぐに玉座に来いってな」

「冥琳が?」

「あぁ・・・ついさっき蜀から慰問の使者が到着したらしい。名前は張遼に徐庶、夏侯覇、それに天の御遣いだ」

「一刀が?」

「霞と露蘭も来たのか?」

「あぁ、それと忌々しいが魏からも弔問の使者共が来やがった」


魏という言葉に雪蓮は表情を歪ませる。


「誰が来たの?」

「ご丁寧に名高い武将を連れて来ているぞ。徐晃 公明に楽進 文謙、それに司馬懿 仲達とその配下の人間二人だ」


司馬懿という名前を聞いて心の中で驚く。後の晋となる国の基礎を築き上げる英傑が弔問の使者としてやって来たという。


「・・・・・・分かった。すぐに行くわ」

「頼む。俺は先に行っているぞ」


それだけ言うと九惹は先に玉座へと引き返していく。


「ライル・・・ごめんだけど行ってくるわ」

「あぁ・・・行って来てくれ」


俺達は軽いキスをすると、雪蓮は玉座へと足を運んでいく。







雪蓮視線


私が玉座に入るとそこには一刀達と曹操の将である徐晃達が待っていた。全員が魏の使者を睨みつけていることにより部屋の空気は重く、特に先に待っていたアレックスなんかは腰に装着させている拳銃を抜けるように右手を添えていた。


気にせず私はそのまま玉座の椅子に腰掛けると使者達は姿勢を正し、私と向かい合った


「お久しぶりであります孫策殿」

「私は徐晃様の副官の楽 文謙と申します」

「我が名は司馬懿。字を仲達。こちらは私の配下になります」

「お初にお目に掛かります。我が名は諸葛誕 字を公休であります」

「同じく、配下の文鴦。字は次騫」

「久しいな孫策」

「初めまして・・・・・・やないな・・・うちは蜀で将しとります張遼 文遠といいます」

「自分は性は徐、名は庶。字を元直と言います」

「えっと・・・は・・・初め・・・・・・まして・・・せ・・・性は夏侯で名は覇・・・字は仲権って言います」


それぞれの使者達は頭を下げて挨拶をする。だがまずは一刀達に話しかけることにした。魏なんかは後回しで構わない。


「本当に久しいわね一刀」

「あぁ・・・ライルさんが倒れたって聞いたから直ぐに飛んで来たよ・・・・・・」

「そう・・・・・・ライルに変わってお礼を言っておくわ・・・」

「それで・・・ライルさんの容体は?」

「それは後回しで話すわ。それよりも・・・・・・・・・・・・どの面を下げてやって来た・・・魏の使者・・・」


一刀に対する反応とは打って変わって怒りを込めながら睨みつける。


「はっ・・・・・・我が主、曹 孟徳様の謝罪の文と今回の暗殺は孟徳様のご意志では無いことをお伝えに参りました」

「そのような言葉が信じられると思うのか?」

「こちらがその親書となります。どうかお納め下さい」

「・・・アレックス将軍」

「Yes sir」


司馬懿と名乗る男は袖から曹操直々の文を取り出した。傍にいたアレックスは前に歩み寄り、それを受け取ると中身を確認する。


「内容はどうか?」

「・・・・・・責任転嫁も甚だしいですな。呉へ勝手に侵略してきたくせに戦を勝手に終わらせ、更には自分は暗殺に関わっていないとほざいている・・・・・・孫策様がご覧になられる価値もありますまい・・・・・・だが・・・・・・」

「だが・・・どうした?」

「打ち首になるかもしれないのに、覚悟を決めてやってきた勇気に称えて及第点と言った処でしょう」

「・・・・・・ありがたき幸せ」


そういうと徐晃達は少しだけ悔しそうな表情をしながら見上げてくる。


「しかし・・・・・・そのような紙切れ一枚で今回の非礼が白紙となるとは思うな・・・・・・貴様達魏は我等の英雄を傷付け、更には土足で呉の大地に踏み入った・・・・・・それだけ許されないことをしたのだぞ・・・」

「それは承知しております・・・・・・」

「大体、それを実証する証拠が何処にあるのか?」

「こればかりは信じて頂くしかありますまい」

「なんだと貴様‼‼」

「諸葛誕、文鴦」

「「はっ」」


無礼と感じ取った思春が斬りかかる前に司馬懿が何かを指示すると二人は4つの壺を取り出した。


「それはなんだ?」

「はい、今回の暗殺に関わった者達の首であります」


つまりは首謀者達の首を塩漬けにしたものということだ。


「この者供が今回の騒動の発端となった要因となります。どうかこちらもお納め下さい」

「そのようなことだけで帳消しになるとでも思ったか下郎共が⁉ふざけるのも大概にしろ‼‼」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「冥琳・・・貴女らしく無いわよ・・・少し落ち着いて・・・」


珍しく声を挙げて怒りを見せる冥琳に私は宥める。


「一刀・・・・・・あなたはどう思うかしら?」

「いいのか?」

「構わないわ」

「・・・・・・本音を言えば俺も魏に対して怒りを持っている。俺達にとっても恩があって・・・劉孫同盟の架け橋になったライルさんが傷付けられたんだ・・・・・・。

ここにいる霞・・・張遼と夏侯覇も同様だよ。張遼はかつて董卓軍にいた頃にライルさんと共に戦った戦友で、夏侯覇も袁紹から救われた恩がある・・・・・・」

「そう・・・・・・ならば夏侯覇よ」

「俺・・・・・・じ・・・自分でありますか?」

「固くならなくてもよい・・・お前は魏の夏侯一族の人間だと聞く。どう思う?」

「俺は・・・・・・確かにかつて魏にいました・・・・・・その魏がどういう方針で動くのか俺は知っている・・・・・・。

だから俺がここに来たのはライルの兄貴が心配なことと、魏の使者に真意を確かめたい為にここへ来ました」


夏侯覇がそういうと私は彼の眼を見る。嘘偽りの無い真っ直ぐな眼をしている。


「そう・・・・・・」

「孫策殿・・・・・・ライル殿のご容態は如何がか?」

「な・・・⁉あのような無礼を働いておきながら⁉貴様達のせいで・・・ライルが死に掛けて「蓮華殿・・・少し落ち着かれよ」・・・ライル⁉」


私達が部屋の扉に目線を送ると、そこには海兵隊の制服を身に纏い、左腕を包帯で安静にしながら立っていたライルの姿があった・・・・・・・・・・・・。

一刀と徐晃とライル。3陣営の英雄が再び揃う。ライルを傷付けられて魏に怒りを持つ蜀と呉に曹操の関与を否定する魏。

謁見に重たい空気が流れる中、ライルが取った行動は・・・・・・。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[それぞれの意志]

英雄同士の対話が始まる。

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