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第161話:使者

方針を決めている一刀達の元にライルが倒れた情報が舞い込む。

魏が何やら不穏な動きを見せ始めている。向こうに潜入させている細策からの報告で許昌、新野の二箇所に集結していた軍勢が呉に向かって侵攻を開始したという情報が入った。


これに合わせて魏軍との国境付近に配備していた部隊の一部をいったん成都へと呼び戻し、異民族が集結している南蛮侵攻への戦力拡大を図る。

この先、俺達は魏に漢中奇襲も計画している。今回の南蛮侵攻にはそれ等の計画をカモフラージュする目的と共に、後顧の憂いを断つ目的もある。


それ等の計画を話し合う為に俺達は成都本城の玉座の間に集合して、日々軍議を繰り返していた。


「朱里、南蛮への準備はどのくらい進んだ?」

「はい、兵隊さんの数を3万から4万に変更して、西側と北側の国境に兵力を均等に保ちつつ魏の細策の注意をそっちに向けさせています」

「さすが朱里だ。後は兵糧だけど、頼んでた物は?」

「それも大丈夫だよ一刀君。指定してた干物や乾燥肉。こっちも数は揃ってる」

「あと、清潔なお水です。こっちもご主人様のご指示通り手配が終わりました」


朱里、雛里、飴里の3人に兵力及び兵糧と水の確保を確認する。前にライルさん達から南蛮平定の際には必ず清潔な水をこっちから持ち込むようにアドバイスされている。

後は兵糧に関して日持ちする干物を中心に確保し、足りなかったら自分達で作る。このお陰でかなりの干物が確保出来た。


「じゃあ次は南蛮へ出陣するのは誰にしようか・・・」

「は〜い‼‼鈴々が行きたいのだ‼‼」

「こら鈴々⁉」

「ねえねえご主人様。南蛮ってどんな場所なの?」

「あぁ、南蛮は鬱蒼とした木々が密集した地形で気温と湿度が高くて蒸し暑い。なおかつ虫が多い地形だね」

「うぇ〜・・・タンポポ暑い場所と虫は嫌だなぁ〜・・・」

「だったらお前は残ればいい。私が活躍している間、後ろでプルプル震えてればいいさ」

「言ったわね〜‼‼あんた毎度毎度一言多いのよ‼この脳筋‼」

「何だと⁉」


また始まったよ・・・・・・焔耶と蒲公英・・・。確かに正史で魏延と馬岱はあまり仲が良く無かったとされているが、まさかこの世界でも何てな・・・。因みにこうなると最後には必ず・・・。


「やめぬかバカ者共‼‼」

「「ぎゃふん‼⁉⁇」」


背後から桔梗による垂直落下型のゲンコツが降り注ぐ。しかも今回は本当にいい音がして痛いだろう。それを表すかのようにゲンコツをマトモに受けた二人は頭頂部を抑えながら蹲っている。


「はぁ・・・・・・いつもすまないね桔梗」

「なに、何時ものことですぞ」

「まぁ・・・見慣れたといったら見慣れたけどね・・・・・・」

「ふふっ♪相変わらず仲がいいわね、焔耶ちゃんとタンポポちゃんは・・・」

「「仲良くない(です‼)(もん‼)」」


・・・やっぱり仲がいいな・・・。


「しかしご主人様、人員の選抜には十分配慮された方が宜しいですね」

「うん、今の俺達には問題点が多い。北と東からは曹操、南には南蛮、そして西からは五胡・・・三方面からの同時は無いだろうけど事は慎重に運ばないとね」

「はい、特にいずれ魏軍がこちらに向かって侵攻してくるのは火を見るよりも明らか・・・。現に呉へ侵攻するという情報も入ってきています」

「そうだね・・・・・・」

「ライルさん達・・・・・・大丈夫かな・・・」


本音を言えば分からない。圧倒的な火力ならライルさん達が圧倒するが、物量戦に持ち込まれたら流石のライルさん達もただではすまないだろう。


「なぁ、少しだけいいかな?」

「ん?・・・どうかした飴里?」

「そのライルってどんな人かな?」

「そういえばまだ飴里はライルさんに会ったことがないね?」

「あぁ、よく露蘭がその人の事を自慢してるからね」


確かに露蘭はライルさんの事を兄貴分みたいに慕っている箇所があるから、それを聞いていたとしても不思議じゃないな。俺が口にする前に隣で刀瑠を抱きかかえている桃香が先に答えた。


「あのね、ライルさんってすっごい人なんだよ」

「姉上・・・それじゃ説明になっていませんよ。ライルは我等以上に武芸に長けていて・・・」

「知略も私達に教えられて・・・」

「うんうん♪それでいてとっても優しいんだよ♪」

「にゃはは♪ライルおじちゃんは鈴々たちの人気者なのだ♪」


相変わらず鈴々はライルさんのことをおじちゃんと言う。まだそんなに年取ってないのにおじちゃんは堪える。せめてお兄ちゃんと呼んで欲しかったらしいけど、少し前から諦めたらしい。


「それで露蘭や白蓮を助け出してくれたり、霞や嵐、恋、ねね、月、詠が俺達の仲間になったのもライルさんのお陰なんだ」

「せやで♪うち等とライルは前に洛陽におった時の戦友や♪」

「うむ‼しかしいつかはライルに借りを返さなくてはな」

「・・・恋、ライルに会いたい」

「へぅ、ライルさん・・・お元気でしょうか?」

「月に会いにこないだなんて何を考えてるのよ、あいつは・・・」

「次に会った時には囲碁は負けないですぞ‼」


少しだけ説明しただけでこれだけ盛り上がる・・・・・・ライルさんは本当にみんなの人気者だな・・・。


「じゃあ話が逸れたけど、配備先を話し合うよ・・・」


そういいながら俺達は配備を考える為に軍議を進める。そして話し合いの結果、決まったのは・・・



南蛮方面は俺と桃香、愛紗、鈴々、朱里、紫苑、桔梗、タンポポ、焔耶。


五胡方面は霞、嵐、恋、ねね、詠、露蘭、白蓮。


魏方面には飴里、翠、星、雛里、猪々子、斗詩、夏雅里。



「じゃあ大体はこんな感じだね」

「はい、全体的に統制が取れて良いと思われます」

「じゃあ基本方針はこんな感じだね。何か変更があったらすぐに「主、失礼しますぞ」星、どうしたの?」


俺が区切ろうとした瞬間、兵站の確保で離れていた星が扉を開けて中に入ってきた。


「どうしたのだ?何かあったような雰囲気だが・・・」

「うむ、実はさっき細策が帰還してきた。信じ難い情報を齎してな」


何だかいつもの星の雰囲気ではない。それほど何か重大なことがあったということみたいだ。


「信じ難い情報ってなんなのだ?」

「うむ、実は10日前に曹操率いる魏軍が呉に侵攻した」


その言葉に全員が驚く。いくら何でも侵攻速度が早過ぎる。


「魏は呉の反撃の機会を与えないように素早く軍を進ませて短期決戦に持ち込もうとしたようですぞ」

「星、曹操軍の兵力は?」

「約20万・・・しかも主だった将の大半が出陣したようです」

『20万⁉』


しかも将の大半だなんて・・・・・・。


「な・・・なあ⁉呉はどうなったんや⁉まさか負けたなんて・・・」

「安心しろ霞、合肥という場所で孫策殿率いる主軍とぶつかって、魏は半数以上の兵力を失って撤退したようだ」

「よ・・・よかったで・・・」

「しかし・・・呉はそれを上回る兵力を用意していたのでしょうか?」

「いや・・・孫呉の兵力は10万足らずらしいが、あまり目立った損失が無い快勝だったらしい」

「10万の兵力差を覆すだなんて・・・・・・やっぱりライルさん達の奮戦が?」

「どうやらそれだけではないようですぞ」


意味あり気な星の説明に俺達は耳を傾ける。


「実は・・・戦が開始される直前に魏の刺客が孫策殿を暗殺しようとしたらしいのです」

「あ・・・暗殺⁉」

「もしかして・・・許貢の一派?」

「はわわ⁉ご主人様はご存知なのですか⁉」

「許貢の残党が魏に亡命したっていう噂を聞いたことがあってね」

「それで星ちゃん‼孫策さんは大丈夫なの⁉」

「大丈夫です桃香様、孫策殿はご健在です」

「よ・・・よかったぁ〜・・・「ただ・・・」ただ・・・どうしたの?」

「孫策殿を庇って代わりに毒矢を受けた御仁がおられたようです」

「ちょっと待って星‼その庇った人って・・・まさか⁉」

「はい・・・・・・孫策殿を庇って毒矢を受けたのは・・・・・・・・・ライル殿です・・・」


それを聞いて俺達は驚愕する。なにせ俺達の恩人であるライルさんが毒矢を受けた。その言葉に対して真っ先に反応したのが霞達だ。


「そ・・・それでライルは⁉ライルはどうなったんや⁉」

「分からぬ・・・毒を受けてから意識が戻らぬらしく・・・」

「そんな・・・・・・ライルが・・・」

「・・・・・・・・・・・・」


霞はライルさんが意識不明だと聞いてショックを隠せずにいた。すると恋がいきなり立ち上がり、方天画戟を手にすると歩き出した。


「恋⁉何処に行くんだ⁉」

「・・・恋、曹操・・・殺しに行く」

「殺しにって、駄目だ恋‼落ち着け⁉」

「曹操・・・ライルを傷付けた・・・・・・ライルは恋の家族・・・家族を傷付けた曹操・・・許せない」

「落ち着くんだ恋‼気持ちは分かるけど今は駄目だ‼」


俺は何とか言い聞かせるが、恋は首を降り続ける。今の恋の表情からは怒りが感じられる。


「恋‼ライルさんなら大丈夫だ・・・ライルさんが毒矢程度でやられると思うかい?」

「・・・・・・・・・(フルフル)」

「ライルさんなら大丈夫さ。必ず目を覚まして元気な姿を見せに来てくれるさ。だから今は落ち着いて・・・・・・な?」

「・・・・・・分かった。恋・・・曹操殺すの・・・今はしない」


何とか恋を説得して、方天画戟を降ろさせる。


「兎に角・・・ライルさんが倒れたとなると直ぐに使者を送らないと・・・」

「そうですね・・・・・・戦力が低下しちゃいますけど恩人のライルさんが倒れたとなると派遣しなければ・・・」

「なぁ一刀・・・ウチに行かせて‼」

「霞・・・」

「ウチはまだライルに礼を返してへんねんや・・・ウチ・・・嫌やで・・・・・・」

「霞が行くんだったら俺も行くぜ‼それに華琳は暗殺の類を嫌ってる・・・・・・間違いなく魏からも弔問の使者がくる筈だから真意を確かめたい‼」

「・・・分かった・・・・・・呉への使者は霞と露蘭・・・・・・それに俺も行く」

「はわっ⁉ご主人様もでしゅか⁉」

「俺もライルさんが心配だ。いても立ってもいられない位にね・・・・・・南蛮方面の指揮は桃香達に任せる。いいかな?」

「はい、こちらはお任せ下さい。ご主人様はライルの安否確認を・・・」

「ありがとう・・・・・・さぁみんな。直ぐに取り掛かろう」

『御意‼‼』


それだけ伝えると俺達は直ぐに準備に取り掛かる。その翌日、俺と霞、露蘭、そして軍師として飴里も同行することとなり、全員からの手紙を預かると飛燕に乗って建業へと出発した・・・・・・・・・。

呉との戦いで大敗退を喫した魏軍。孫策暗殺未遂という事実は曹操の意志ではないにしても事実となった。

呉への使者を送ることを決めた曹操はそれを選ぶ。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[魏の弔問]

弔問という決死隊が決められる。

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