表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/221

第153話:修羅

雪蓮を庇い毒矢を受けたライル。彼を傷付けられた雪蓮達の怒りは凄まじかった。

ライルが私を庇って毒矢を受けた・・・。茂みの中には死んだ刺客2人の死体と気を失った刺客1人。本来ならこいつ等の身体をバラバラにしてやりたいが、いきなり倒れたライルに私はすぐ駆け寄った。


「ライル⁉」

「ぐっ・・・・・・うぅうう・・・」


ライルの顔色が徐々に青くなっていき、体温も冷たくなっているのに汗が止まらない。息も荒い上に若干だが痙攣も起こしている。

私はすぐにライルの上着を脱がせて矢が掠った箇所を見る。

すると傷口から紫色へと変色していた。やはり先程の矢には毒が塗られていたようだ。毒の種類によって治療方法は変わるが、共通した応急処置ならある。


「・・・ごめんね、ライル」


私は何の躊躇もなく左手をライルに軽く噛ませ、一言謝ってから傷口を噛み千切った。


「ウウゥ・・・ヴ⁉ヴヴゥッ⁉」


矢の傷口を噛み千切られる痛みの為に呻き声を洩らすライル。

口には舌を噛まない為の布は無く、だから代わりに私の左手が挟まれている。


「くっ⁉」


意識が無くとも外部からの激しい苦痛の為に強く歯を噛み締めるライル。

しかし私はその痛みに耐えて、軽く噛み切った毒の混ざった箇所をすぐに吐き出した。それから数回ほど毒を吸い上げては吐き捨てて、服の一部を引きちぎった応急の包帯で止血をする。


それが一通り終わった辺りでライルのいつも持っている通信機から音が聞こえて来た。


<アイアンマンからウルヴァリン、応答せよ>


私はすぐにライルの装備品から探す。


<ウルヴァリン。こちらアイアンマンだ、応答せよ>


繰り返されるアレックスからの呼び掛けを頼りに私は右腰あたりに装着されている通信機を見つけた。使い方は前にライルから教えられているから何とか分かる。


<ライル、聞こえるか?こちらアレックスだ。返事しろ>

「アレックス⁉」

<その声は雪蓮殿・・・ライルはどうしましたか?>

「アレックス‼すぐに建業の外れにある森に来て‼ライルが毒矢を受けたわ‼」

<なっ⁉ほ・・・本当ですか⁉>

「応急処置はしたけどあまり長くは持ちそうにないわ⁉だから急いで‼」

<分かりました‼直ぐに救護班を向かわせます‼通信機をそのままにした状態でその場から動かないで‼>


私は通信機の電源を入れたままにしてライルを膝枕しながら待つ。すると直ぐにアレックスが寄越してくれたヘリが到着してすぐにライルを収容。私もそれに乗って建業へとすぐに戻った。






城に戻ると慌ただしかった。ライルをすぐに医務室へと運び出し、掛かりつけの医者と毒の専門家に後を任せると私は心配を押し殺しながら玉座へと向かった。


「姉様⁉どうしたのですか⁉もしやどこか怪我でも⁉」

「大丈夫よ・・・・・・それにこれは私の血じゃないわ」

「えっ⁉」

「みんなよく聞いて頂戴・・・・・・ライルが私を庇って刺客が放った毒矢を受けたわ」

『‼⁉⁇』


ライルが毒矢を受けたと聞き、全員が驚愕した。すると蓮華は慌てながら私に問い詰めて来た。


「そ・・・それでライルは⁉ライルは無事なのですか姉様⁉」

「落ち着け蓮華・・・孫呉の次期王が無闇に慌てる姿を見せるな」

「・・・・・・・・・」

「それで冥琳・・・・・・何が起きているか説明して・・・」

「あぁ・・・寿春の部隊にいた兵が傷だらけで駆けつけて来た。そいつによると北から曹操の軍勢が大部隊を率いて強襲を仕掛け、短時間で寿春を制圧したらしい」


そう・・・やっぱりあの刺客は曹操の手のものなのね・・・・・・薄々分かってはいたけど随分と舐めたことをしてくれるわね・・・・・・。


「・・・その兵士は?」

「・・・・・・私達に報告し終わったと共に・・・」

「そう・・・つまりは黒幕は曹操と言うことなのね?」


そう尋ねると冥琳は頷いた。ならばやるべきことは一つだけ。


「・・・・・・アレックス」

「・・・なんでしょう?」

「曹操が憎い?」

「・・・はい」

「殺してやりたい?」

「はい・・・だがただ殺すだけでは生ぬるい・・・・・・奴にはこの世の地獄を与えてやらないと気が済みません・・・・・・」

「・・・そう・・・・・・孫呉全軍に命ずる‼」


私は怒気を込めながらみんなに命令を下す。


「卑劣な手を用いて侵略し、我が愛するライルを傷付けた曹操の軍勢を一兵残らず・・・・・・皆殺しにせよ‼‼」

『御意‼‼』

「大軍師周瑜‼」

「はっ‼」

「すぐに可能な限りの軍勢を集結させて出撃させよ‼今回の戦に策など不要‼獣の如く狩り尽くすのみ‼」

「御意‼」

「アレックス将軍‼」

「Sir!!」

「お前達海兵隊は最前線で牙となり、敵を喰らい尽くせ‼‼」

「Sir Yes Sir!!!!」

「全軍直ちに出陣‼‼奴等の処刑地は・・・・・・合肥だ‼‼」


曹操の侵攻速度を考えて合間見える場所は合肥。私達は卑怯な手段を用いて来た曹操軍の下郎共を皆殺しにするために出陣する。


待っていなさい曹操・・・・・・必ず貴様を殺してやるから・・・・・・・・・。

合肥にて対峙する孫策軍と曹操軍。天下統一を目指す士気の高い曹操軍に、ライルを傷付けられて怒り狂う孫策軍。

互いの指導者が対峙する中、曹操は衝撃の事実を聞かされる。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[あさきゆめみし]

小覇王が全軍に檄を飛ばす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ