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第146話:義兄弟

蜀のイケメン三人衆が誓いを立てる。

益州の成都繁華街。ここは劉璋が治めていた頃は治安が非常に悪く、特に治安面においては最悪と言ってもおかしくはなかった。

しかし俺達が蜀を手に入れてからは治安回復と活気を取り戻すことに尽力。一月が経過した頃にはだいぶよくなっていた。


だがそれだけでは民の心を掴むことなどは不可能な話であり、だから俺達の軍の方針で可能な限り街に出て民と接することにしているのだ。

この日も午前中の業務を終了させて俺は昼食も兼ねて繁華街に繰り出していた。


「御遣い様〜‼」

「こんにちわ、元気そうで何よりです」

「おや、御遣い様。今日は劉備様と阿斗様は一緒じゃありませんのかい?」

「こんにちわお婆ちゃん。二人は今日は城にいるよ」

「あらあら、御遣いの坊やじゃない。お姉さんと遊ばないかい?」

「う・・・・・・ま・・・また今度ね・・・」


街中を歩く度に民から積極的に話しかけられてくる。老若男女問わずだ。中には年上のお姉さんに誘惑されそうにもなるがそれはやんわり断わっている。

初めの頃は信頼を得るために必死だったが、すぐに桃香や愛紗達を信頼してくれて心を開いてくれた。そんな心身掌握に尽力しながら俺は飴里が勧めてくれた大衆食堂へと足を運んでいた。


この大衆食堂は民の憩いの場としても有名であり、価格も安いし量も多い上に美味い。経営しているのは老夫婦で、二人からして俺達は孫や我が子のような感じだといっていた。


場所は繁華街のちょうど真ん中辺りにあり、暫く歩いているとその食堂に到着。すぐに暖簾をくぐって店内へと入る。


「こんにちわお婆ちゃん、お爺ちゃん」

「おや、一刀ちゃんいらっしゃい」

「よう一刀‼相変わらず元気そうじゃねえか‼」

「うん、今日も変わらず元気だよ。いつもの頼むね」

「おうさ‼座って待っててくんな‼」


亭主のお爺ちゃんに言われていつも座っている席へと向かうが、そこには既に先客。もちろん知っている顔だ。


「ん?・・・ようカズっち‼」

「露蘭に飴里。二人も昼飯?」

「あぁ、俺も少し前に来てね」

「カズっちもこっちに来なよ♪一緒に飯食おうぜ♪」

「分かったよ。じゃあお邪魔します」


店内で先に食事していた露蘭と飴里の同じ席へと腰掛け、神龍双牙を机に立て掛ける。


「相変わらずここで俺達が揃うな」

「全くだ。飴里が勧めてくれただけのことはあるぜ」

「気に入ってくれて何よりだよ。それにあの老夫婦も二人のことを気に入ってくれたようだしね」


そう言われて先ほどの老夫婦を見る。確かに非常に楽しそうに仲良く注文の料理を作ってくれている。見ているだけでこっちも嬉しくなりそうな仲がいい光景だ。

そう言われながら露蘭は天津飯、飴里は麻婆豆腐と肉まんを口にする。すると暫くしてからお盆に注文した乾焼蝦仁(エビチリ)と担担麺を乗せてやってきた。


「はい一刀ちゃん。熱いから気を付けてお食べ」

「ありがとうお婆ちゃん・・・うん。いつも通り美味しそうな香りだよ」

「ありがとね」


俺は料理を受け取って、直ぐに小皿にエビチリを移して口にし始める。

ほのかにピリッとしてエビの弾力が本当に美味い。俺が初めて来てからずっと頼んでいるお気に入りの料理だ。


「なあなあカズっち」

「ん?」

「桃香ちゃんとはどうやって結ばれたんだ?」

「ぐふっ⁉・・・ゴホゴホ⁉い・・・いきなりなに言い出すんだよ露蘭⁉」

「だって気になるじゃねえか♪阿斗ちゃんも桃香ちゃん似で可愛いしな」

「それは同意見だな。本当に君の子供かい?」

「飴里・・・それはどういう意味だ?」

「ふっ・・・・・・冗談だよ」


飴里には似合わない冗談を口にし始める。どうやら今は大好物の肉まんを食べているからご機嫌のようだ。


「あのね・・・何か勘違いしているようだから一言いっておくけどね。俺は桃香だけが特別だなんて思ってないよ」

「そうなのか?」

「当たり前だ。愛紗や鈴々、朱里、雛里、星、紫苑、桔梗、焔耶、翠、蒲公英、月、詠、恋、霞、嵐、ネネ、夏雅里、白蓮、猪々子に斗詩。みんな俺にとって掛け替えのない大事な家族だ。だから誰かを贔屓にするだなんて出来ないよ」

「じゃあ俺達は?」

「もちろん露蘭と飴里も大事な家族さ。それも兄弟とも思ってる」

「おっ♪嬉しいこと言ってくれるじゃねえか♪」

「当然だろ・・・そうだ‼」


そういうと俺はお婆ちゃんを呼んで、小さな盃に軽い酒を注いでくれるように頼み、すぐにお婆ちゃんが持ってきてくれた。


「なんだい一刀君。流石に勤務中に飲酒はマズイよ」

「分かってるさ。さっきも言ったように君達二人は俺にとって兄弟みたいに感じてるんだ。二人はどう思ってるかな?」

「俺達?・・・俺もカズっちとは兄弟だと思ってるぜ。もちろん飴里もさ」

「一刀君は烈光様が認められた漢だ。それは朱里や雛里、夏雅里が認めてるから間違いないと思うよ」


そういうと俺は盃を一つ手に取る。


「やっぱり俺と同じ考えだったようだね・・・・・・だから俺は・・・二人と義兄弟の契りを交わしたい」


俺はその場で立ち上がり、盃を掲げる。露蘭と飴里は少ししてから同じように盃を手にして立ち上がる。


「ふぅ・・・俺もカズっちみたいな奴が兄貴だと思えたら嬉しいぜ‼」

「俺もだ。兄が出来るのは嬉しいことだ」

「よし‼じゃあ血盟だ‼」


二人の顔を伺うと肘を少しだけ曲げて構える。


「我ら三人‼生や場所は違えども‼」

「同じ志の下‼」

「血は繋がらずとも心を一つにせん」

「我が名は北郷 一刀‼」

「我が名は夏侯覇 仲権‼真名は露蘭‼」

「我が名は徐庶 元直。真名は飴里」

「共に語らい‼」

「共に戦い‼」

「共に歩み進む」

「上は国家に報い、下は民を安んずることを誓う‼」


そういうと俺達は同時に曲げていた肘を伸ばし・・・・・・。


「「「乾杯‼」」」


盃を鳴らす。店内にその音は響き渡り、老夫婦と居合わせていた他の客達はそれを見守っていた。


俺、露蘭、飴里。義兄弟の契りを交わした瞬間であった・・・・・・・・・。

曹操に付き従う司馬懿 仲達。彼は自身の屋敷で久々の休みを満喫していた。ちょうどそこに彼の家内達が歩み寄る。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[司馬一族]

野心の中にも大事なものはある。

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