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第144話:惹かれ合う心

侍と鈴。互いが惹かれ合う。

ウルフパック本拠地の潜城ことヴェアウルフ南西部。ここは砂浜が広がる一帯であり、敵の上陸部隊に備えてM18A1指向性対人地雷やM14対人地雷を組み合わせた地雷原が存在する。


しかし一画には砂浜でのCQC訓練を行なう広場があり、その区画を囲む様に地雷原が埋設されているのだ。


「はぁ‼‼」

「ふぅ‼シィ‼」


俺と孫呉水軍の実質的指揮官である思春は互いの武に磨きをかける目的で仕合をしていた。理由は特に無い。


互いの武に磨きをかける目的で時々であるが仕合をしているのだ。俺達は戦場に身を置く以上、死ぬ覚悟はある。だがそう簡単にはやられたりはしないが戦場に絶対という言葉は存在しないように、俺達も戦場で絶対無傷という訳にはいかないだろう。

だがそうならない為にも日々日頃の鍛錬は必須になる。


「素早くなって来たな思春‼それに切れ筋もますます鋭くなって来ているな‼」

「ふん‼当たり前だ‼蓮華様の為に日々の鍛錬は欠かせんからな‼」

「それはいいぞ‼・・・だが‼」

「くっ⁉」


思春の動きにほんの少し。ほんの少しだが隙を見つけ出し、その隙が出来た手首と二の腕を掴む。

そのまま思春の顔に右肘で肘打ちを見舞い、怯んで無意識に手にしていた鈴音を引き戻そうとしたが、その反動を逆に利用。


そのまま彼女の身体を空中で一回転させながら地面に伏せさせた。


「がはっ⁉・・・・・・く・・・」

「大手だ」


俺の手には奪い取った鈴音。そしてその鋒は彼女の喉元に突きつけられていて、反撃できないように腕を足で押さえつけている。

この状態で彼女には足に暗器でも無ければ無理だ。それを理解した思春は・・・・・・。


「・・・・・・私の負けだ」


自ら負けを認めた。これが未熟な兵なら抗って無駄な抵抗をしているところだが流石は彼女だ。


自らの負けを認める技量を持っている。今回は俺の勝ちだったが勝率は現段階でほぼ互角といえる位で、自分が勝っても次は負けるという独自の方程式が出来上がっている。


地面に倒れたままの彼女から鋒を外し、そのまま左手で彼女を引き上げた。


「立てるか?」

「あぁ・・・・・・すまない」

「よっと・・・相変わらず軽いな。お前は・・・」

「・・・なにが言いたい?」

「おいおい・・・せっかく人が褒めているのに何を殺気ぶつけて鋒を向けてるんだ?」


頼むから照れ隠しのつもりで俺に殺気をぶつけるのは勘弁願いたい。両手を挙げながら降参を示すと思春は睨みながらも鋒を下ろしてくれた。


こういう素直じゃない点も可愛いがな。


「・・・・・・南郷」

「なんだ?」

「貴様にとって武はなんだ?」

「・・・意図が分からん」

「そのままの意味だ」

「・・・・・・俺にとって武は・・・身を護る術でもあり・・・仲間を護る糧でもある」


俺はその場に座り込むと思春も隣に腰掛ける。


「俺達南郷一族は代々薩摩という土地の南側を守護する守り手の武門だ。その土地の北側を一刀・・・・・・“天の御遣い”と呼ばれている北郷 一刀の北郷一族が守護する役割を担っていた」

「・・・貴様と御遣いは確か親族だったな?」

「あぁ。向こうの世界で8年前に行方が知れなくなって、まさかこの世界で再会出来るとは予想していなかったがな・・・ふぅ」


思春と話しながらポケットから日本酒が入ったボトルをMARPAT ピクセルグリーンデジタル迷彩の右腕ポケットから取り出して口にする。

なかなか度数の強い酒だから喉の渇きに似た感触がキツイ。


「思春・・・・・・君はどうだ?」

「・・・・・・私の武はこの呉・・・蓮華様をお護りする為のものだ・・・私は・・・私は仲間を迎え入れて下さった蓮華様に持てる力の全てを捧げるのみだ」

「ふ・・・・・・相変わらず・・・だが・・・・・・君らしい」


俺は思わず思春の頭を優しく撫でてしまっていた。


「なっ⁉・・・何をする⁉」

「おっと・・・・・・すまない。ついな」

「くっ⁉全く‼・・・・・・・・・」


思春は顔を真っ赤にしながら怒り口調で視線を背けるが、満更でもなさそうだ。

暫く沈黙になっていたが、俺を睨みつけながらも思春は俺に向かって口を開いてくれた。


「・・・南郷」

「なんだ?」

「貴様は私をどう感じ取っている?」

「・・・・・・無愛想で堅苦しい。融通が効かない」

「殺してやろうか「だが・・・」・・・・・・」

「無愛想の中で優しさが見られる。仲間を想えるし、魅力的な女性であるな・・・俺にとっては」


そういうと思春は暫く沈黙して顔を赤く染めてしまった。その姿が可愛くて仕方がなく、俺は無意識に彼女に引き寄せられていた。


「・・・・・・思春・・・」

「なん・・・・・・んんっ⁉」


俺はそのまま顔を近付けて、彼女の唇に自分の唇を重ねた。暫く彼女は目を大きくして戸惑っていたが、慣れ始めると彼女も目を瞑って唇を押さえつけていた。


そして暫く続いたキスも離して、俺は彼女を見つめる。その表情は目がトロンとして、顔を仄かに赤く染めていた。


「・・・これが・・・・・・俺の気持ちだ」


それだけ言うと俺は立ち上がってその場を後にする。俺の気持ちとは大事な人・・・・・・思春が好きだということだ。

思春と俺には主に対して絶対的な忠誠心を誓うという共通点がある。それでいて俺と互角の武を秘めている。そこからきっかけとなり互いの武を極める目的で仕合を繰り返しているが、それが段々と1人の女性として見れて来たのだ。


俺も少し照れながら自身の基地へと足を運ぶのだった・・・・・・。

隠密というのは訓練を絶やさない。それは呉軍の隠密部隊も同じ。

隠密の訓練を行なう為に祭と穏、クラウド、サイファーの4人率いる部隊は明命を見つけ出す為に彼女のテリトリーに踏み込む。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[猫少女を捕まえろ]

深い森の中で悲鳴が木霊する。

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