第143話:兄思いの妹達
ライルを兄と慕う妹達が日頃の感謝をする。
建業城にある厨房、ここには現在・・・。
「あーしぇー‼これはどうするのー⁉」
「し・・・シャオ様・・・白玉粉が大きすぎます」
「あーしぇー‼蜂蜜を混ぜてはダメかの?」
「だ・・・ダメですよ。蜂蜜でベトベトになっちゃいます・・・」
「やった‼出来上がりです‼」
「・・・み・・・明命・・・・・・どうやったら猫型になるの?」
亞莎が中心になって美羽やシャオ、明命の3人と一緒に料理をしていた。この3人は普段は料理など絶対にしないけど、私が料理しているのを見て急にやりたいと出しました。。
何故かというと・・・・・・。
「でもみんなが急に料理をしたいだなんて・・・」
「ふっふっふっ〜♪これでライルを私にメロメロにしちゃうんだから♪」
「なんとっ⁉妾は兄様に頭をナデナデしてめらうのじゃ♪」
「私はライル様に日頃のお礼をしたいです‼」
やっぱりライル様絡みでした・・・。
でもみんな一緒に料理をするのは楽しいですし、私もライル様に手作りのゴマ団子を召し上がって頂きたいです。
だけどなかなか思うようにいかないようです。
シャオ様は白玉粉が手のひらよりも大きいし、美羽ちゃんは蜂蜜を入れようとするし、明命はなんでか知りませんが猫型になってしまってます。
「ね〜ね〜。亞莎」
「はい?」
「亞莎ってライルのこと好き?」
シャオ様がいきなり飛んでもない事を言い出してきた。私は恥ずかしくなって思わず服の袖で顔を隠してしまう。
「ふえ⁉・・・い・・・いきにゃりなに言ってるんでしゅ⁉」
「はぅあ⁉シャオ様直球過ぎます⁉」
「ええ〜⁉だってシャオはライルのお嫁さんになるんだからね♪だけど独り占めはいけないからみんなも側室にしてあげないとね♪」
「はぅはぅ⁉でもライル様には雪蓮様がいますよ⁉」
「ふっふっふっ〜♪恋は早い者勝ちなんだよ♪だからシャオが料理も出来るってこととシャオの可愛さで絶対にメロメロにしちゃうんだからね♪」
・・・・・・羨ましいです。私もシャオ様みたいに積極的だったらなぁ・・・。そう心で思いながら白玉粉をせっせと丸めて、それを平にすると同じく丸めていたこしあんに包み込む。
「えっと・・・次はゴマをふんだんにまぶして・・・」
ゴマ団子の白玉粉に胡麻をまぶし、全てに胡麻をまぶしたら熱してある油に入れる。
「皆さんも出来ましたか?」
「うん‼ライルへの愛情たっぷり込めたシャオ様特性のゴマ団子だよ♪」
「妾もなのじゃ♪これで兄様も妾にナデナデしたくなる筈じゃ♪」
「お猫様の形のゴマ団子が出来たです‼ライル様、喜んでくれると嬉しいですね亞莎‼」
「うん、そうだね明命。じゃあ早速ライル様の処に行きましょう」
ひとまず揚がったゴマ団子(明命のだけはやっぱり猫型)を皿に盛り付けて、シャオ様や美羽ちゃん、明命と一緒にライル様のお部屋へと向かった。
そして暫くしてからライル様のお部屋に到着したが、いつ来てもライル様と厨房の距離は離れている。これがやっぱり大変だけれどもその分だけ日当たりはいいから過ごし易い。
私達は扉の前に到着。
「それじゃ早速ライルの部屋に突撃〜♪」
「突撃なのじゃ〜♪」
「はぅあ⁉ちょっと待ってください二人とも⁉」
「どうしたの?」
「あ・・・あの・・・・・・いきなり押し入ったりしちゃったらその・・・ら・・・ライル様が驚かれてしまいます」
「えっ?じゃあどうするの?」
「前にライル様が“のっく”という相手に来客を知らせる方法を聞いていますから、それをやるです‼」
そういうと明命はライル様のお部屋前に歩み寄り、軽く握りこぶしを作ると指の関節で扉を軽く数回ほど叩いた。
「開いてるよ」
「あっ・・・はい・・・・・・失礼しま「「おっ邪魔しま〜す(なのじゃ)‼」」あぅ」
私が扉を開けたと同時にシャオ様と美羽ちゃんがライル様のお部屋に飛び込んじゃいました。倒れかけましたがすんでの処で踏ん張り、皿に盛り付けたゴマ団子は無事でした。
「遊びに来たよライル♪」
「兄様ぁ〜♪妾達と遊ぶのじゃ♪」
「シャオに美羽・・・・・・俺は今は仕事中なんだが・・・」
「ぶぅ〜‼遊ぼうよ〜‼」
「そうなのじゃ‼「あ・・・あの・・・・・・」ん?・・・どうしたのじゃ亞莎?」
何だか二人とも目的をすっかり忘れているようでしたのでひとまずはこちらに振り向かせる。
そしてすぐにライル様の側まで歩き出す。
「どうかしたか亞莎?」
「あ・・・ああああの・・・・・・し・・・シャオ様やみんなで作ったご・・・・・・ゴマ団子・・・よ・・・よよよ良かったら・・・その・・・・・・」
「ゴマ団子?」
「おおぉっ‼そうじゃったのじゃ‼」
「シャオ達が一生懸命作ったゴマ団子だよ♪」
「はぅはぅ・・・ら・・・ライル様‼どうぞ召し上がって下さい‼」
みんながそういうと私はゴマ団子が盛られた皿をライル様に手渡す。するとライル様は暫く考えながら私達に笑顔を見せてくれた。
「・・・・・・ありがとう、さっそく食べさせてもらうとしよう」
そういうとライル様は一つ摘まんで口にしてくれた。
「うむ・・・・・・これは美羽が作った団子だな。蜂蜜の味がほのかに出てて美味いよ」
「本当かえ⁉にょほほ〜♪」
「これは・・・・・・シャオだな・・・うん。大きいから食べ応えがあるよ」
「その分シャオからの愛情も大きいよ♪」
「次は・・・・・・明命のだな・・・いかにも明命らしちゴマ団子だが、味も美味い」
「あ・・・ありがとうございます‼」
みんなライル様に褒められて喜んでいる。そして最後に私の作ったゴマ団子を摘まんで口にしてくれました。
・・・不味かったらどうしよう・・・。不安で逃げ出したい気持ちを押し殺してその場に踏み止まり、ライル様が私に話しかけてくれた。
「ふむ・・・これは・・・・・・亞莎が作ったのか?」
「は・・・はい・・・・・・美味しくなかったですか?」
・・・やっぱり不安です。不安で口元を隠しながら感想を待っていると、ライル様が私の頭を撫でながら話しかけてくれました。
「・・・うん。美味いよ亞莎」
「ほ・・・・・・本当でしょうか?」
「ああ。みんなが作ったゴマ団子はどれもこれも今まで食べた中で美味かったよ。ありがとう」
そういいながら私達の頭を優しく撫でて頂いた。
「ふっふっふ〜♪シャオ様に掛かれば当然よね♪」
「にょほほ〜♪もっと撫でてたも♪」
「はぅはぅ・・・」
それぞれが反応を示し、特にシャオ様と美羽ちゃんはもっと撫でて欲しいとせがみ始める。
ライル様は本当にお優しい方です。例え不味かったとしても笑顔で美味しいとお答えした筈です。だけど今はライル様のご褒美を満喫したいと思います・・・・・・・・・。
武久と思春。二人は互い主を尊敬する心を持つ。仁義の心に忠義の心。二人の心は似た箇所がある。
次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”
[惹かれ合う心]
互いの心が引きつけられる。