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第13話:天の御遣いの決断

袁紹が各勢力に流した董卓討伐の轍文。それは劉備義勇軍にも届いていた。

ライル達が董卓軍に参加して暫くしたある日の幽州にある桃花村。ここには小さいながらも桃花城という城がある。そこに駐留しているのは先の“黄巾の乱”で名を挙げた“天の御遣い”こと北郷 一刀と“仁徳の王”こと劉備 玄徳が率いる劉備義勇軍が駐留していた。


「・・・・・・これが袁紹から届いた轍文の内容なんだけど・・・」


そう言いながら河北を納める袁紹からの届いた轍文を皆に回す白いポリエステルで出来た名門校“聖フランチェスカ学院”の制服を着た青年、北郷 一刀。


「桃香はこの呼びかけにどうするべきだと考えてる?」

「当然参戦だよ‼董卓さんって長安と洛陽の人に重税を課してるって噂を聞くし、そんな人を天子様の側に置いておくなんて許せないよ‼」

「姉上の仰る通りです‼力無き民に代わってこの関 雲長が鉄槌を下してみせます‼」

「悪い奴は鈴々がぶっ飛ばしてやるのだ‼」


劉備軍の桃色の髪をしたのほほんとした劉備 玄徳、サイドテールの黒髪をした関羽 雲長、赤髪のオカッパ頭の張飛 翼徳の3人は轍文の内容を読み、即座に参戦の意志をみせる。

だがそれとは対照的に首を傾げる素振りを見せる、もう一方の三人がいた。


「そっちの三人はどう思う?」

「ふむ。……桃香様や愛紗達が言うことも尤もだとは思うのですが・・・・・・」

「なんだ。星は反対とでも言うのか?」

「そうは言わん。ただ・・・・・・」

「この手紙の内容が気になっているんですね?」

「軍師殿も同じか・・・・・・」

「はい。敵対勢力について書かれているとは言え、あまりにも一方的過ぎるかと・・・」


その言葉に張飛が質問する。


「一方的?・・・どういうことなのだお兄ちゃん?」

「うん、一言でいえば董卓は悪人だから倒す。そういうことになるけどこれを出したのはあの袁紹だ。多分、嫉妬に駆られた本人若しくはその一派が絡んでると俺は思うんだ」


自分の考えを伝える。袁紹の人格は既に入手しているからの判断と自分の知識だ。袁家という理由だけで高飛車かつ傲慢、自分の風評しか考えない一昔前の偽英雄。

黄巾の乱でも一定の活躍はしたがそれは兵力に頼り切ったもの。戦術もクソもない人海戦術だ。しかも記憶では袁紹と悪政の元凶であった宦官“十常侍”筆頭の張譲とも繋がりがあったという不確定の噂もある。


「う〜ん・・・そんなに複雑に考えなくちゃならないことなのかなぁ?董卓さんに苦しめられている人たちが居るってことだけ分かれば充分だと思うんだけど・・・」

「本当にそう?」

「え、どういうことご主人様?」

「確かにこの轍文が本当のことだったら、今すぐにでも俺たちは向かうべきだけど・・・」

「だけど・・・・・・?」

「その内容がもし嘘だったとしたら。民を苦しめるのは俺たち連合軍側ってことになるんだよ?」


劉備は一刀からの言葉で気付く。確かに董卓が圧政を敷いている情報はそこにはない。あるのはあまりにも一方的な轍文の内容だけだ。もしこの情報が偽りだったら連合に参加した勢力が悪になる。

劉備が掲げる“人と人が手を取り合う”というプロパガンダが崩れる。


「桃香は最初からこの書簡を信じていたけど、それでいいの?俺はもっと桃香に考えるということをしてもらいたい。人を信じるっていうのが桃香のいいところだけど、誤った判断だと俺達だけじゃなく民にも影響が出る」

「・・・・・・うん」


少し落ち込む劉備に一刀は優しく問いかける。


「じゃあもう一回桃香に訊こうか、ただし・・・」

「?」

「今の俺たちは弱小ながらも少しは名前の売れている勢力である事。漢王朝という名の大木が無くなった今、未来の事も考えながら行動しないとすぐに潰されちゃうってことを考慮したうえで答えてね」

「う~~~~ん・・・・・・」


一刀の言葉に真剣に考える劉備。そして暫く考えると答えを導き出した。


「それでもやっぱり参戦しようよ。だって少しでも可能性があるんだったら・・・・・・それにもし違うんだったら皆でなんとか董卓さんを助けなきゃ‼」


そんな劉備の答えに一刀はため息をつくが顔は笑っていた


「ははっ・・・・・・桃香らしい答えだ。皆もそれで大丈夫だね?」

「でもですね・・・・・・」


そこにベレー帽を被った金髪の少女、諸葛亮 孔明が言いにくそうに話に入ってくる。


「どうしたのだ?」

「はい、実は最近董卓軍に新しい部隊が加わったらしいんです」

「新しい部隊?どういう部隊だ軍師殿?」


白い服に水色の髪をした趙雲 子龍が尋ねるが、諸葛亮の代わりに同じく水色の髪に魔女の帽子を被った少女、鳳統 士元が質問に答える。


「噂では遥か遠くの羅馬から更に北に進んだ異国の傭兵隊みたいなんですが、かなりの強さを持ってるらしいです」

「ああ、その噂なら私も流れて来た商人から聞いたことがある。なんでも全員が見たこともない緑色の斑模様の服に砂色の奇妙な鎧、更には黒い筒のようなものを身につけているらしい」


鳳統に続いて関羽が口を開く。しかし1人だけ違う反応を示す。一刀だ。

遥か未来から来た彼はその傭兵隊の特徴に覚えがある。斑模様の服は迷彩服で砂色の鎧はボディアーマー、更に黒い筒は銃火器。

自分も元の世界で何度か見たことがある。海兵隊だ。しかしこの時代に海兵隊が存在する訳がないだろう。


「・・・・・・まさか・・・ね・・・」

「ご主人様、いかがなさいましたか?」

「ああ、大丈夫だよ愛紗。早速だけどすぐに準備しないと・・・朱里は使者への返文の作成。桃香と愛紗と鈴々は兵力の準備。雛里は兵糧の確保。星は武器の調達をして」

『御意』


一刀が全員を指示するとすぐに行動を開始する。一刀も自分の考えが気のせいであると判断して自らも仕事に掛かる。しかし今から一ヶ月後、彼の予感が的中してしまう・・・・・・・・・。

反董卓連合軍への参加を決意した劉備義勇軍。一方で董卓軍で密かに動きがあった。凶報が届いたウルフパックは準備に入る。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”


「大戦前」


陽人の戦いが始まろうとする。

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