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番外編:ハチャメチャバレンタイン

呉でバレンタインをやるとこうなった。

2月14日、バレンタインデーは世界各地で男女の愛の誓いの日とされる。

この文化はまだ存在しないが、建業の厨房では・・・。


「あちち・・・やっと仕込みが終わった」


俺は昼食が終わった厨房を借りて、バレンタイン用の生チョコを作っていた。女性が男性に対してチョコをあげるのは日本の文化であり、一般的なバレンタインは逆で男性が女性にチョコやなにかしらのプレゼントを贈る。


だから俺は女性へプレゼントを贈るようにしている。なお、バレンタインに関してはまだ雪蓮殿達には教えていない。


「次はこれを寝かして・・・」


俺からのサプライズもあり、何しろ恥ずかしい。ラップを敷いたトレイに仕込みを終えた生チョコを流し込み、氷で敷き詰められた発泡スチロールに寝かして、休憩も兼ねて3時間ほど時間を潰す。


そして固まった生チョコをトレイから取り出し、それをお湯で熱した包丁で四角形に形を合わして切っていく。


「パウダーは・・・・・・ココアにアーモンド、ココナッツ、カラーチョコにするか」


そうすると四角形に切った生チョコの表面をお湯で少しだけ濡らし、皿に分けてあった各種パウダーを付ける。

そうしないとすぐに剥がれてしまうのだ。後はこれを彩り良い感じで用意していたパッケージに箱詰めすれば・・・。


「よし‼完成だ‼」


バレンタインチョコの完成だ。

因みにチョコそのものには特別な技術はない。ジーンから取り寄せた板チョコ4枚に生クリーム100g、砂糖小さじ一杯、隠し味に赤ワインを少量だけいれる。


たったこれだけだ。しかしこういう物はシンプルなのが1番美味い。シンプル イズ ベストだ。出来上がった生チョコを手にして、とある事を思い出す。


「さてと・・・・・・問題はこれをどうやって渡すかだな・・・」


自分で思うのもなんだが、何とも女性みたいなことを考えている。だがいざ渡すとしても誰だって考えてしまうものだ。

しかし何時迄も考えている訳にはいかない。


「まっ・・・一先ずは歩きながらでも考えるとしよう。とりあえずし「ラ〜イ〜ル♪」うわっ⁉」


食堂を出ようとした直前、何処からとも無く雪蓮殿が現れ、作った生チョコを背中に思わず隠してしまう。


「し・・・雪蓮殿・・・・・・いつの間にいたのですか?」

「う〜ん・・・・・・勘♪ここに来たらなんかいい事があるって♪」


相変わらずだが何とも脅威的的中率を誇る勘だ・・・。


「ねえライル、食堂でなにしてたの?」

「い・・・いえ・・・・・・ちょっと・・・」

「あっ♪いまライル背中に隠したでしょ?」

「ギクっ⁉」


俺は雪蓮殿の指摘で視線を逸らしてしまう。


「な・・・何の事ですか?・・・わ・・・私は何も隠してなどありませんよ?」

「あぁ〜♪なんか怪しい‼見せてよ♪み〜せ〜て〜よ〜♪」

「ちょっ⁉し・・・雪蓮殿⁉」


背中に隠した生チョコを見るために雪蓮殿は俺に抱きついて来て奪おうとする。俺は顔を真っ赤にしながら抵抗するが、彼女から発せられる香りと密着していることで俺の身体に当たっている胸で思うように抵抗出来ない。


「むふふ〜・・・えいっ‼」

「あっ⁉」


一瞬だけ意識を削がれた瞬間に生チョコを奪われてしまった。


「ふ〜ん・・・何だか甘い匂いがするわね♪中身って何なの?」

「う〜・・・・・・」

「ブーブー‼ここまで来たんなら教えて頂戴よ‼」

「ぐっ・・・・・・な・・・生チョコという甘味です・・・」

「なまちょこ?」

「はぁ・・・・・・雪蓮殿にあげる為のものだったんです。脅かすつもりだったのに・・・」

「私に?」


雪蓮殿の問いに俺は頷き、暫く彼女を見る。すると彼女は目を輝かせながら俺に再び抱きついて来た。


「嬉しい‼ありがとうライル‼」

「だっ⁉だからいちいち抱き付いて来ないで下さい⁉」

「じゃあじゃあ♪お礼に私から熱〜い口付けを「何をするって?」ギクっ⁉」


雪蓮殿が顔をひきづりながら振り向くと、そこには青筋を立て、何やら背後に筋肉ダルマの影が二つ見えるような気がする冥琳殿がいた。

雪蓮殿はもちろんだが、本音を言えば俺も怖い。


「お前はまた執務室から抜け出して、ライルを誘惑するなんてな・・・」

「・・・って・・・・・・また仕事をサボってたんですか?」

「あ・・・・・・あははははは・・・ち・・・ちょ〜っと休憩を「「同じ理由が通じると思うのか(思いですか?)」」・・・ごめんなさい」

「全く・・・・・・それで何を持っているのだ?」

「ライルからの贈り物♪」


そういうと冥琳殿がそれを見ながら俺に話しかけてきた。


「ライル、朝から何かを作っているかと思ったらこれを作っていたのか?」

「え・・・ええ・・・・・・まぁ・・・」

「それで・・・贈り物とやらは雪蓮にだけか?」

「うっ・・・・・・・・・はぁ・・・分かりました・・・直ぐに作って持って行きます・・・」

「うむ、頼むぞ。さあ雪蓮・・・戻るぞ」

「いたたたた⁉だから耳を引っ張らないで〜‼⁉⁇」


もはや定番の連行になっているな・・・・・・。俺は無線でジーンに材料の追加を進言して冥琳殿の分を作り、それを渡した直後にほぼ全員に知れ渡り、結局は蓮華殿やシャオ達の分、加えてジーンの分まで作る羽目になってしまった。


まあ・・・雪蓮殿に渡せただけでも良しとしよう・・・・・・。

次回から本編に戻ります。

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