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第112話:乱世の奸雄

覇王と龍、狼に感服する。

「・・・曹操・・・孟徳・・・」


俺は警戒しながら騎乗した曹操を睨みつける。その傍には軍師の荀彧や官渡の戦いで一時的に動向した楽進と于禁、それに李典。

曹操の従姉妹である曹洪に俺のことを兄ちゃんや兄様と呼ぶ許褚と典韋がそれぞれの武器を手にしながら歩み寄って来た。


そして夏侯惇と徐晃も武器を構えながら曹操の下に歩み寄った。俺と鈴々も橋の前で武器を構えながら様子を伺う。


「・・・・・・・・・」

<中佐>

「攻撃は禁ずる。各隊はブロウラーに搭乗しながら待機だ。いいな」

<了解です>


無線を使用して小声で指示を出すと鈴々を見る。


「鈴々・・・先に橋を渡って霞達と合流してくれ・・・」

「おじちゃんはどうするのだ?」

「曹操と少し話をする。大丈夫だ、直ぐに追いつく」

「・・・分かったのだ‼だけど後で会うのだ‼」


そう言うと鈴々は急いで長坂橋を渡り、先行した霞と露蘭の下に向かう。

俺はそれを見送ると再び曹操に振り向いた。


「・・・久しぶりねライル。反袁紹連合以来かしら?」

「・・・そうなります。そちらもお変わりは無いようで・・・」

「ええ、だけど凄いわね。あなたと張飛、それに後方であなた達を支えてた部下だけでこの軍勢と渡り合うんだなんてね」


褒めているように聞こえるが、実際は違うだろう。何しろ目が笑っていない上に、口調も僅かながら殺気が感じられる。


「だけど、一つだけ聞かせなさい」

「・・・・・・・・・(コクリ)」

「あなた達の呉は交州に向かったと聞いてたのに、何故あなた達はここにいるのかしら?」

「・・・我ら呉と劉備軍は同盟を締結している・・・同盟国の援護を行なって何が悪い?」

「ふふっ。そうね・・・しかしあなたは判断を見誤ったことで寧ろ好都合だわ」


そう言うと曹操は馬から飛び降り、アレックスと同じく大鎌を手にし、その小柄からは想像も出来ない位に強力な覇気を醸し出し、俺にぶつけて来た。


「今すぐ武器を捨てて降伏し、我が軍勢に下りなさい‼そうすれば命は保証するわ」


やはりだ。前に曹操から俺を組み入れたいと言っていたから大体の予想はしていた。鞍替えするつもりは全く無いが、だったら一つ聞いて見たいことがある。


「あなたの知識や武は、この曹 孟徳の覇道に捧げるべきものよ。孫策や劉備などでは無く・・・ね」

「・・・ならば問いたい。あなたの覇道で犠牲となる者達をどう思われている?」

「犠牲となった者達は我が覇道の礎となってもらう。私の理想を成す為ならどんな恨みでも背負って見せる」

「・・・・・・・・・孤独だな」

「孤独?」

「ええ・・・確かに力による天下統一は“一時的”な平穏を生みます。だがそれは押さえつけられた平穏です。たとえ自身が民の為にだと思っていても、民からすれば理解される筈が無い・・・」

「・・・何が言いたい?」

「私は国や仲間、民の為に戦う。抑制や強制では無く、私を信頼してくれる“家族”の笑顔の為に私は武器を手にして戦うのです。だから私はあなたと共には行けません」


はっきりと答えた。しかし俺が忠誠心に従っただけのことであり、そして何よりも俺は雪蓮殿と約束した。


“絶対に帰って来る”と・・・。


「・・・・・・早く行きなさい」

「曹操殿?」

「兵の損失も思ったより多いことだし、今日のところは見逃してあげるわ。

だけど・・・これだけは覚えておきなさい。私は欲しいものは必ず手に入れる‼いつか必ず呉を打ち破り、あなたを私の配下に加えてみせる‼」


そう叫びながら曹操は俺に指をさしながら宣言する。俺はナイフを鞘に収め、口笛を高々と吹いてスレイプニルを呼んだ。


スレイプニルは橋を渡って、俺の側に立ち止まる。

すぐに俺はスレイプニルに乗り、手綱を握って鐙に足を掛けて橋を渡ろうとした直後、徐晃が一歩前に出てきた。


「ライル殿」

「徐晃殿?」

「我が真名は牙刀と申す」


俺を含め、その場にいた全員が驚愕した。何しろ名高い徐晃がいきなり敵である俺に真名を託して来たのだから。


「ライル殿の武や志・・・私は感服致した。されど貴公との戦いはまだ終わっておらぬ。だからどうか・・・私が真に貴公を打ち倒す程の武を極めたその時に、また手合わせ願いたい」


そう言うと牙刀は偃月刀を掲げる。俺は騎乗しながら彼に敬礼をする。


「牙刀・・・・・・あんたに勝つのはこの俺だ。だから俺が打ち倒すまで死ぬなよ」

「貴公こそ」


俺はそう言い残すとスレイプニルを走らせ、橋を渡り切った直後にポーチから点火機を取り出してスイッチを押した。


それて連動して木製桁橋のカンチレバー(形持ち梁)を仕掛けたC4を用いて爆破して、カンチレバーがなくなったことで結合部が破壊され、スパン(中央支間)が川に落下していく。

これで曹操軍は渡河に時間を掛けることになり、追撃は不可能となる。

長坂橋のデトリッション(破壊)を完了させた俺は部隊と合流して、すぐに劉備軍と合流する為に向かうのであった・・・・・・・・・。

ライルが長坂橋で曹操軍と対峙している頃、交州では孫策軍と交州正規軍による合同制圧作戦が開始された。

攻撃目標の街に取り残された民間人を救出する為にアレックスは部隊を率いて向かう。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[死神による救済]

交州の民を救い出す。

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