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第110話:長坂橋の戦い

神槍と白騎士、蜀の宝を救い出す。

俺達が新野を脱出して4日が経過した。華琳はやはり尖兵を春蘭と牙刀にしていたようで、かつて俺がいた黒騎兵を中心に破竹の勢いで猛追を仕掛けてきた。


その間にライルの兄貴達が地雷とかいう待ち伏せ用の兵器や兄貴達の武器で侵攻速度を遅らせたが、兄貴曰く“予想以上に屈強”らしい。


だけどそれでもカズっちや桃香達が長坂橋を渡ったことには成功した。後は最後尾の連中が通過するのを待つだけだけど、遂に華琳達が追いつきやがった。


俺と霞、兄貴達、それに鈴々は得物を構えながらそれを見ていた。


「かぁあ〜‼ごっつい数やな‼」

「流石は黒騎兵だぜ。兄貴の攻撃に怯まないで来るだなんて」

「あんな奴、鈴々が全部やっつけてやるのだ‼」

「落ち着け鈴々。俺達の役目は勝つことじゃない。部隊の退却完了までの時間を稼ぐことだ」

「にゃ?わかってるのだおじちゃん‼」

「だから俺はまだおじちゃんと言われる程に年を食っちゃないと何度・・・」


そんな話をしていると慌てて駆け寄って来る劉備軍最後の部隊が見えたが何か様子がおかしい。すると侍女が俺達の前に息を切らしながら話しかけてきた。


「か・・・夏侯覇様‼張遼様‼張飛様‼」

「あんたは確か・・・阿斗ちゃんと一緒におった・・・阿斗ちゃんはどないしたんや⁉」

「り・・・劉備様と北郷様のお子が・・・阿斗様が取り残されて‼」

「なんやて⁉」

「阿斗が⁉」

「露蘭‼霞‼敵が来るのだ‼」


阿斗が取り残されたと聞いた直後に曹操軍が追いついて来た。それも鬨を挙げながらだ。


「分かった‼俺達が助け出すぜ‼あんたは早く逃げるんだ‼」

「は・・・はい‼」


そういうと侍女はすぐに後方にある長坂橋へと走り出す。だが瞬く間に周りが曹操軍によって囲まれる。


暫くの睨み合いの後に、四方八方から一斉に斬りかかって来たが、俺と霞が飛び上がり、鈴々の丈八蛇予を足掛かりに霞が、兄貴の右腕を俺が足掛かりにして一気に敵の背後に着地する。


「ここは鈴々に任せるのだ‼」

「よっしゃ‼任せたでぇ鈴々‼ライル‼」

「必ず救い出せ‼それまでは橋を死守してやる‼」

「頼んだぜ兄貴‼」


俺と霞は曹操軍の中を突破しながら駆け出す。その間にも敵が仕掛けて来たが、最小限に反撃しながら突き進む。


「おらぁああ‼邪魔やどかんかい‼」

「俺達の前に立つんじゃねえ‼昔の仲間だからって手加減は出来ねえぞ‼」


霞は素早く縫うように突破していき、俺も西欧海龍と東欧地龍を駆使しながら敵を蹴散らして行く。

途中の砦を突破して、逃げ遅れた味方を救い出しながら北北西にある砦へと向かう。


位置関係からしている可能性があるのが北北西の砦で、逃げ遅れた味方もそこにいる可能性が高いと言っていた。


だけど流石は黒騎兵だぜ。こっちが二人だと知って連携を組みながらそれを阻止してきやがる。


「き・・・貴様は・・・・・・夏侯覇⁉」

「張遼もいるぞ‼討ち取って曹操様に頸を捧げよ‼」

『応っ‼』


やっぱり俺って向こうからは嫌われてるなぁ・・・・・・まあそりゃそうだ。

黒騎兵を逃げ出したのは事実だしな。だけど俺だってやられる訳にはいかないんだよなぁ。北北西の砦に飛び込むと案の定、敵が阿斗を捜索していた。


「露蘭‼早いとこここ突破するで‼」

「分かってるって霞‼いっちょ俺等の力、見せてやるぜ‼」

「よっしゃ‼突撃や‼」


そういうと砦にいた黒騎兵に向かって突撃を敢行。俺もあいつ等の攻撃を防いで反撃を繰り返し、瞬く間に辺りを制圧する。


「よし‼片付けた‼」

「阿斗ちゃんはここにおる筈やけど・・・もしかしたらもう連れてかれてもうたんやろか・・・・・・」

「いやいやいや、それだったらあいつ等が探してたのが説明できないって・・・・・・なんだ?」

「どないした?」

「いや・・・なんか向こうでなんか聞こえたような・・・」


そういいながら聞こえてきた方角に耳を傾ける。なんか声みたいだが・・・。


「そこの倉庫からやな・・・」

「よし、開けるぜ」


俺は倉庫の扉の取っ手を手にして、ゆっくりと開ける。中にいたのは負傷した兵。そしてその両手には・・・。


「阿斗ちゃん‼」

「はぁ・・・はぁ・・・ち・・・張遼・・・様・・・・・・」

「あんた大丈夫かいな⁉」

「はぁ・・・あまり・・・大丈夫じゃ・・・・・・ありませんね・・・」

「おいおいおい‼喋んなって‼傷口が広がるぞ‼」

「私は・・・結構です・・・・・・それより・・・あ・・・阿斗様を・・・」


負傷している兵士は力を振り絞りながら阿斗を俺に託す。俺は阿斗を受け取ると左手で抱きかかえる。

阿斗はスヤスヤと眠っており、肝が座っている。流石は桃香ちゃんとカズっちの子供だ。


「は・・・早く・・・・・・お行き下さい」

「なにゆうとんねん⁉あんたも早く逃げるんや‼」

「それは・・・・・・無理みたい・・・です」

「そんなことないって‼俺達が助けてやるから頑張るんだ‼」

「はぁ・・・ふふっ・・・・・・も・・・もう・・・・・・目が・・・見えないのです・・・わ・・・・・・私は・・・これまでのよう・・・です・・・」

「「・・・・・・・・・」」

「ですが・・・・・・最後に一つだけ・・・・・・・・・お頼みしたい・・・ことが・・・・・・」

「・・・・・・分かった・・・ゆうてみ」

「じ・・・侍女に・・・李田という・・・子がいます・・・・・・どうか・・・お伝え下さい・・・・・・・・・この張瑜が・・・愛して・・・いた・・・・・・と・・・・・・」


張瑜と言った兵士は握りしめられていた俺の手からずれ落ち、やがては地面に落ちる。

彼の死を見守った俺達は開いたままの目を瞑らせ、首から下げていた首飾りを取り、右手を腹の上に置かせる。


「・・・あんたの言葉・・・絶対に伝えてやる。だからゆっくり休みな」

「露蘭、行くで」

「ああ・・・」


そういうと俺は武器を手にして霞の後に続く。外に出ると敵が使っていたとされる軍馬が数頭いて、俺達はそれを利用することにした。しかも遠方から増援が来やがるのが見えやがった。多分だけど本隊だ。


「霞‼早く兄貴達のトコに戻るぜ‼華琳の本隊が来る‼」

「分かったで‼いっちょ飛ばしたるとすっか‼」


そう叫ぶと俺達は同時に馬を走らせる。道中には敵がいたが構ってやる時間もないし、俺と霞は強行突破で敵中を掻い潜る。

来た道を戻り、やがては長坂橋の前で仁王立ちしている鈴々と兄貴が見えてきた・・・・・・・・・。

阿斗の救出は成功した。長坂橋で待ち構えていた鈴々とライルは霞と露蘭の脱出を援護する為、二人で曹操軍に挑む。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[燕人張飛]

小さな巨人が敵を蹴散らす。

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