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第109話:嵐の前の静けさ

新野での軍議。ライル達に凶報が飛び込む。

俺達が駐留している新野城に心強い援軍が来た。

孫呉海兵隊のライルさんが率いる部隊だ。人数は12名と少なかったが、それでも実質上の窮地に立たされている俺達にとってありがたいものだ。


俺はライルさんを城門で出迎え、部下の人達は準備をする為に作業に掛かり、ライルさんは俺と一緒に軍議室へと足を運んだ。


「にははぁ〜♪久しぶりやなぁライル♪」

「・・・ライル、久しぶり」

「本当にお前はいい時に来てくれるな」

「へぅ・・・お元気そうでよかったです」

「ふん‼ネネは助かったなどとはちょっとも思ってないですぞ‼」

「ま・・・まあ・・・・・・ひ・・・ひとまずは礼を言っておくけど、あんたの為じゃないからね‼」


ライルさんは部屋に入ったと同時に霞達による歓迎を受けていた。霞は右腕に抱きつき、恋は腰に抱きついている。


「あははは、相変わらずライルさんは人気者だね♪」

「ぶぅ〜‼鈴々もライルおじちゃんに構って欲しいのだ‼」

「ほぅ、しかしライル殿の初心な反応もなかなかよいものだな」

「はぁ・・・・・・羨ましいなぁ・・・」

「はわわぁ・・・」

「あわわぁ・・・」

「ご主人様・・・・・・」

「わかってるよ。だけどちょっと踏み込みにくいな・・・」

「かずっち・・・・・・何だか分からないけど妙に悔しくなって来たぜ・・・」


その場にいた全員がそれぞれのリアクションをみせる。特に露蘭はあからさまに嫉妬を見せているようだ。しかしこのままでは話が始まらないので、抱きついて来ている霞と恋を離すと桃香に話しかける。


「はぁ・・・頼むから俺を助けてくれないかな?」

「ええ?・・・だって恋ちゃんや霞ちゃんが楽しそうだったからつい・・・」

「あのね・・・曹操の軍がすぐにでも攻め込んで来るかしれないのに、あまりノンビリは出来ないんだ。それに君達が考えを教えてくれないと俺達も作戦の立案が出来ないんだよ?」

「そ・・・そうです姉上‼」

「おや?愛紗はなぜムキになっているのだ?」

「なっ⁉・・・だ・・・誰がムキになっているか⁉」

「まあまあ・・・・・・それよりも、俺達は君達の撤退援護で派遣されたが、さっきもいった通りに君達の目的地である益州に入るまでだ。それまでの間は君達の指揮下に入る。朱里と雛里もいいな?」

「は・・・はい‼こちらも凄く助かりましゅ‼」

「(こくりこくり)」


朱里噛みながら、雛里は相変わらず俺の後ろに隠れながら承諾する。確かにライルさん達は交州に向かわなければならないのに、それを割いてこっちに来たのだ。あまり無理は言えない。


「それで一刀、君は今後の計画はどうするんだ?」

「大体は分かるかと思いますが・・・・・・」

「・・・やはり“蜀”か・・・」


ライルさんがそういうと俺も頷く。予想通りの展開と考えているだろう。まあ、ライルさんも俺と同じ時系列から来たんだ。

当然といえば当然だろう。


「俺達はこの新野を明日にでも出発します。その後は襄陽へと向かい、長坂橋を通過して帰州、建平を経由して益州の白帝城へと向かいます」


正直に言えば白帝城へは向かいたくは無い。理由としては簡単であり、俺達が知っている三国志で夷陵の戦いにて大敗した劉備が失意で倒れ、そのまま死去した場所が白帝城だ。


だがあまり贅沢は言ってられないし、ライルさん達のおかげで呉とは友好な関係を保っている。


「それで君達の戦力は幾ら残っている?俺の勘だと多くても3万程だと思うが・・・」

「うむ、予州を突破するのに兵力が低減したが、大体はその位は残っている」

「はわわ・・・曹操さんの兵力は50万と言われてましたから、まともに戦っても負けるだけでしたから・・・」

「確かにそうだな・・・数はそのまま力になる。もし君達があのまま徐州で抵抗していたら即座に同盟破棄をしていただろうな」

「破棄・・・ですか?」

「だが安心しろ。君達の判断は間違ってないよ」


そう言われて俺達は少し安心した。


「俺達の策はこうです。益州へと先行する部隊と曹操を食い止める殿の二つに分けて、益州には愛紗と恋、星、嵐、ネネ、それに俺が向かいます。本隊には桃香と朱里、雛里。直衛には白蓮。殿には霞と露蘭、それに鈴々を配備します」

「俺達は?」

「ライルさん達にも殿をお願いします。食い止める手段も任せてもいいですか?」

「了解だ。ひとまずはこれらを使う」


そういうとライルさんは迷彩服の腕ポケットから一枚の紙を取り出し、机に広げた。全員がそれに釘つけとなるが、読めるのは俺だけだろう。そこに書かれていたのは・・・。


・Mine burial by M14AP Mine and M18A1 Claymore Mine.

・The delay attack by sniping.

・Blasting of a bridge.


英語で書かれているからだ。恐らくは俺にしか分からないようにという配慮だろうが、地雷を使うのは地雷廃棄推進国である日本出身の俺はあまり乗り気ではない。


「一刀、気持ちは分かるが敵の数が多い上に広がっているんだ。ならばこれが有効な手段だ」

「それは分かってるんですが・・・不発があったら後が大変ですよ?」

「その点なら心配はない。導線も繋げて置くから点火器で全てどうにかなるぞ」

「・・・分かりました。お任せしますが、設置場所は教えてください。味方がやられるのは避けたいです」

「了解だ。設置場所に関しては地形で判断する」


そういうとライルさんは計画書を折り畳んで再び腕ポケットにしまう。地雷を使えば恐怖に駆られた敵は確実に慎重になり、追撃速度を低下させられる。


加えてスナイパーによる正確無比の狙撃と、敵のルートを遮断する為に橋を爆破。


これなら本隊と後方部隊の退却時間は稼げるし、追手を振り切れる。


加えて尖兵は恐らく夏侯惇か徐晃だろう。士気が高い状態だから突然の爆発や狙撃が起これば確実に混乱する筈だろう。後はライルさん達と霞達の技量に委ねられる。


俺達が打ち合わせをしていると室内に兵士が入ってきた。


「失礼致します‼」

「どうしたの?」

「偵察隊から報告です‼曹操軍が進軍を再開‼荊州に対して侵攻を開始しました‼」

「なっ⁉荊州軍はどうした⁉国境付近に展開していた筈だろう⁉」


俺達は兵士からの報告に驚愕した。愛紗のいう通り荊州軍も展開している筈なのに、侵攻速度が早い。

そして俺とライルさんは直感で感じた。


「一刀・・・」

「ええ・・・恐れていたことが起こったようですね」

「一刀、どういうこっちゃ?」

「劉琮が曹操に降伏したんだよ」

「ええぇ⁉そうなのご主人様⁉」

「そうとしか考えられないよ。劉琮と劉琦さんは前から仲が悪かったし、劉琮の側近をしてる蔡瑁と蒯越は曹操に通じてたとされてるから、考えられないことはないよ」

「ちょっと⁉あんた知ってたの⁉」

「俺が甘かったみたいだ・・・まさかこんなに早く奴が降伏するなんて・・・・・・それで劉琦さんはどうなったの?」

「はっ‼劉琦様は南に脱出して身を潜めております‼劉備様は直ぐにでも新野を脱出されよのこと‼」

「朱里‼すぐに兵を動かして‼急いでここを離れる‼」

「ぎ・・・御意‼」

「みんなも急いで準備して‼曹操は待ってくれないから‼」

『御意‼』


俺が指示するとみんなはすぐに持ち場へと向かう。幸いにも事前に準備は済ませていたから数時間後には出発することが出来た。

そして俺達は襄陽を通過して、因縁がある長坂橋へと踏み込んだ・・・・・・。

曹操軍が遂に荊州へと侵攻してきた。遅滞攻撃をもろともせずに予想以上に早い侵攻速度にライル達と劉備軍は長坂橋で追い付かれる。そして殿を務める霞と露蘭に阿斗が取り残されたと聞く。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[長坂橋の戦い]

神槍と白騎士が急行する。

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