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第101話:曹一族

乱世の奸雄、行動前に一息つける。

予州に位置する許昌城の中庭。ここに3人の少女が集まっていた。


「ふぅ〜。相変わらず季琳の淹れるお茶は格別だな♪」

「あぁ、秋蘭ほどではないけどね」

「あら、その秋蘭もあなたのお茶には感心するって前に言ってたわよ♪」


周囲を木々で囲まれ、そこから降り注ぐ太陽の光が心地よい場所でお茶をしているのは曹操に従姉妹の曹仁、曹洪の3人だ。


家臣達を想う曹操は時々何人かをここに呼んで、お茶を飲みながら他愛のない会話をしている。

それで今日は2人ということだ。


「けど、この3人が揃うのは本当に久しぶりね?」

「前に私が来た時は愛琳が青州兵の鍛錬に行ってたし、逆に愛琳が来た時には今度は私が幽州に袁紹軍残党の討伐に行ってたからね」

「本っ当に間が悪いよな♪」

「ふふっ。だけどこうして3人が揃うと旗揚げを思い出すわね♪」


曹操はお茶を飲みながら思い出す。彼女が旗揚げをしたのは黄巾の乱より一年前。

初めはこの曹操、曹仁、曹洪、夏侯惇、夏侯淵、徐晃の6人と100人足らずの地方軍だったが、他の義勇兵や志願者を片っ端から吸収して行き、やがては荀彧や楽進、李典、于禁、許褚、典韋、程昱、郭嘉、張郃が彼女の陣営に加わり、気が付けば今日の時点で50万を超える漢で最も強大な陣営にまでになっていた。


「あぁ、まさかあの時に弱小勢力だった私達がここまで強大の陣営になるなんてな」

「あの時に金貸しを辞めて華琳について行った甲斐があるってもんだよ♪」

「あら?私は2人にも感謝しているわよ。季琳は私には無い守りの策で私達の帰る場所をしっかり守ってくれてるし、愛琳も培った金融と独自の経路で資金面を一手に引き受けてくれてるし、2人がいるから私達は安心して戦えるのよ」

「「ありがとう」」


2人同時に礼を言う。暫く沈黙したがやがて笑顔のまま、曹操が口を開く。


「さて、2人に聞きたいんだけど・・・」

「なんだい?」

「北郷とライル、どう思うかしら?」


一刀とライルの名前を聞いて2人は真剣な表情になる。


「分かってるとは思うけど我が覇道を成すにはいずれ戦うことになるわ。“天の御遣い”と呼ばれてる北郷は、あの呂布にも引けを取らない程の剣に加えて劉備の仁徳も兼ね備えている」

「あたし的には呉にいるライルが厄介だよ。あいつ自身も“銀狼”って呼ばれてるし、“天の軍隊”ってのも凄いよ」

「しかもあの男の軍勢は今までで一人たりとも死人を出していない。天界の武器もそうだが奴等の武術は名高い武将並だと聞く」

「まっ。あたし的には北郷のようなお坊ちゃんやライルみたいな男じゃなくてアレックスに興味があるんだよな♪」

「あら?どうしてかしら?」

「官渡の時にあいつと仕合したことがあってな。その時にあたしは負けちゃったんだけどね・・・」

「はぁ・・・何時の間に仕合をしたのよ?」

「そん時に気が抜けて立てなかったあたしをあいつは抱きかかえてくれたんだよ♪」

「なるほど・・・・・・つまりお前はアレックスに惚れたということだな?」

「当ったり〜♪」


笑顔で言い放つ彼女に曹操と曹仁はため息を吐いてしまう。ここまで否定せずに言い放つとかえって妙な感覚だ。


「おまけにあたしを抱きかかえた時のあいつの照れた顔ってのが堪らなく可愛くってさ‼もうお姉さん可愛がりたくって仕方が無かったよ‼あとあと・・・「はいはい。そこまでにしなさい」ムグッ⁉」


恋バナを曹洪は止めようとしないので、仕方がなく曹仁が口を塞いで遮った。


「全く・・・・・・それで、華琳はどうしたい?徐州と呉は既に私達を倒し得ない力を身につけてる。加えて西涼にも向かわなければならないわよ?」

「そうね・・・・・・攻め込むとしたらまずは劉備よ。あそこには関羽や呂布、張遼、華雄、張飛に趙雲。それに私の下を去った露蘭がいる。劉備を打ち倒し、全員を私にひれ伏してから、呉を滅ぼす。これが常套よ」

「西涼は?」

「ええ、だけどそれは担当本人に聞いた方がいいわよ・・・・・・そこにいるのはわかってるわ。出て来なさい」


そういうと少しだけ離れた木の影から1人の男が現れた。全体的に青色の文官の服装で、肩まで伸びる黒髪を纏めた長身のキツネのような目をした男だ。


「お見事です曹操様。私の気配を探り出すとは・・・」

「よく言うわね。あからさまにワザと気配を出してたくせに・・・」

「それで、何の用だ?」

「はい、曹操様に涼州方面への攻略に関するご報告がございます。こちらにお目通りを・・・」


そういうと男は手にしていた竹簡を曹操に手渡して、彼女もすぐに中身を確認する。


「・・・・・・相変わらず綿密な計算で動いてるわね・・・一つ聞きたいんだけど・・・」

「何でしょう?」

「あなたはこの連合が立て篭もると判断しているけど、場所は予測しているのかしら?」

「はい、地形的にも涼州と漢中の連合は十中八九、潼関と予測致します」


曹操は暫く考える。竹簡の内容は涼州及び漢中における侵攻作戦の詳細書であり、曹操による漢統一には不可欠な作戦だ。


向こう側もそれに気付き、涼州の馬騰と漢中軍が連合を組織して待ち構えていたのだ。しかし男が編み出した策はそれを全て予測して最重要拠点を潼関に定め、ここを落とせば連合は瓦解すると踏んだ。


加えて馬騰は容体が優れず、指揮権は実質上娘の馬超に任している。


「・・・いいわ。この策は全てあなたに一任する。出陣させるのは誰かしら?」

「はい、まずは曹仁様に夏侯淵将軍、それに私の私兵部隊を連れて行きましょう」

「・・・許可する。あなたの知謀、この曹 孟徳に捧げてみせよ」

「はい。全てこの私・・・・・・」












男は下げていた頭を上げて、不敵な笑みを浮かべる。


「・・・・・・司馬懿 仲達にお任せを・・・・・・」



交州で孫呉から情報が漏洩していたことを伝えたライルはすぐに動き出す。対象となる旧呉郡劉繇配下の家臣と保守派を探る。


次回“真・恋姫無双 海兵隊の誇り,Re”

[イーグルアイ]

孫呉内部の裏切り者を探し出す。

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