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獣の凶行

10月10日のある朝………

(男性)「じゃ、いってくるよ。」

(女性)「あなた、いってらっしゃい。」

男性は女性に見送られて会社に出勤していく。どこにでもある家庭の日常的な風景。

だがこの光景は今日を境に一変する………

(女性)「さて、朝食の片付けしなきゃ………」

女性は家の中に入っていった。

この家庭には子供がおらず、夫婦2人で生活していた。そして今旦那の男性を見送ったということはこの家には妻の女性1人しかいない、はずであったが………

(女性)「♪~♪~♪」

女性は鼻歌を歌いながら朝食を片付けて洗い物をしていた。その時………


(一樹)「静かにするんだ。」


一樹はどこからともなく女性の背後に現れて首筋にナイフを突き立てた!

(女性)「!」

(一樹)「声をあげるな。殺すよ。」

(女性)「う…………」

女性は恐怖のあまり声を全くあげることができなかった。だがとてもか細くなった声でなんとか絞り出し一樹に話しかけた。

(女性)「あなた、どこから………」

(一樹)「静かにしろと言ったはずだ。余計な詮索は許さない。」

そして一樹は首筋のナイフをさらに突き立てる!

(女性)「ひ…………」

(一樹)「とにかく僕は1日中何も食べてないからお腹が空いているんだ。ちょっと早めの昼食を作ってもらおうか。」

(女性)「は、はい………」

そういうと一樹は首筋に突き立てていたナイフをしまって少し離れた。

(一樹)「僕が離れたからって逃げようとは思わないことだ。大丈夫、言うことを聞いてくれている間は殺さない。」

(女性)「はい………」

女性は恐怖に怯えながら昼食を作る準備にとりかかった。

(女性)「昼食は何がいいですか………」

(一樹)「とくに贅沢は言わないよ。とにかく今の空腹を満たされればなんでもいい。」

(女性)「わかりました………」

そして女性は冷蔵庫を開けて食材を用意しだした。

(女性)「………(なんなのこの人、強盗ってわけでもなさそうだしご飯作ってほしいって………それならこんなことしないでファミレスにでも行ったらいいのに………)」

すると一樹が女性に向かって話しかけた。

(一樹)「ねぇねぇ、僕のこと知ってる?」

(女性)「え………」

(一樹)「僕のことを知ってるかって聞いてるんだよ。」

(女性)「し、知らないです………」

(一樹)「そうか………」

一樹はそれっきり黙ってしまった。緊張した空気の中しばらくすると女性が昼食を作り上げた。

(女性)「ど、どうぞ。お口に合うかわからないですけど………」

(一樹)「ありがとう。」

一樹は1日中食べていなかったこともあり、女性が作った昼食を必死にがっつき始めた。

(女性)「よく食べる人………」

(一樹)「おかわり。」

(女性)「あ、はい!」

女性は慌ててご飯のおかわりを入れた。

(女性)「………(この人なんなんだろ、でもなんだか子供っぽくて素直な感じ………この人、お腹が空いてただけで実はそんなに悪い人じゃないのかも………)」

女性はおかわりご飯を持っていって一樹に渡した。

(一樹)「ありがとう。」

(女性)「いえ………」

そして一樹はまた昼食をがっつき始めた。

一樹が昼食に夢中で食べている間に女性は逃げようとすれば逃げられたかもしれない。でもそれをしなかったのは女性が一樹に対して悪い印象ばかりを持っていたわけではなかったからだった。

そしてしばらくすると一樹が昼食を完全に平らげた。

(一樹)「ふぅ、おいしかったよ。ありがとう。」

(女性)「いえいえ………」

一樹は立ち上がって女性の方を向いた。

(一樹)「さて、お腹もいっぱいになったしもうここに用はないな。」

(女性)「じゃこのまま出て行ってもらえますか?私も今回だけは警察に連絡しないので。」

(一樹)「あなたは優しいね。でもそういうわけにもいかないんだ………」

すると一樹は先程しまったナイフを再度取り出した!

(女性)「!」

(一樹)「ごめんね。僕のことを知らないならこうせざるをえないんだ。」

(女性)「な、なんで!あなたの言うこと全部聞くから、殺さないで!」

ナイフを向けられた女性は必死に命乞いをする!

(一樹)「おいしいご飯をありがとう。さようなら。」

(女性)「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………」


10日の夜7時頃、会社に向かった先程の男性が帰宅してきた。

(男性)「ただいま~。」

男性が帰宅しても家は電気もつかずに静かなままだった。

(男性)「あれ?もう寝てるのかな………」

男性は少し不審に思ったが、そのまま家に上がっていった。

(男性)「皆実みなみ?」

男性は女性の名を呼ぶがやはり返事がない。そしてリビングに向かうと………

(男性)「!」

そこには整然としたリビングの真ん中で皆実みなみが血塗れになって倒れていた!

(男性)「皆実みなみ!」

男性はすぐさま皆実みなみの元へ駆け付けたが既に息絶えていることは明白であった。だが男性は皆実みなみの体を起こして思い切り揺さぶる!

(男性)「皆実みなみ皆実みなみぃ!う………うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

男性は妻の突然の死に大声で泣き叫んだ。そして次第に落ち着いてきた数分後ケータイを取り出して110と押して通話ボタンを押した………


10月10日の8時頃、一軒の住宅に十数人の警察が取り囲んでいた。

(警官)「青森刑事。被害者は加藤皆実みなみ28歳。心臓をナイフで一突き、即死だと思われます。」

(青森)「だろうな。死後12時間は経ってる、死亡推定時刻は朝の8時頃か………」

(男性)「皆実みなみ………」

男性はリビングの隅で1人蹲って泣いていた。

(青森)「あの男は?」

(警官)「第一発見者の加藤義輝です。どうやら被害者の夫らしいですが………」

(青森)「夫か、重要な参考人だ………逃がすなよ。」

とその時外で騒ぎ声が聞こえてきた。

(青森)「なんだ?えらく外が賑やかだな………」

(男の声)「どいてくれ!」

すると1人の男が犯行現場となったリビングの中に入ってきた!

(警官)「高橋警部!」

(青森)「なんでお前がここに!?」

(高橋)「ちょっと………嫌な予感がしたもんですから………」

高橋は何のためにここに現れたのか………


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