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ざわめく人々

孝二郎はそのまま通話のボタンを押した!孝二郎の耳元でコール音が鳴り続ける………

だがしばらくしても電話がつながることはなかった。

それでも孝二郎は粘り強く電話をかけ続ける。すると!

(一樹)「やぁ孝二郎、2年ぶりだね。」

(孝二郎)「一樹!」

指名手配中の黒山一樹が電話に出た!

(孝二郎)「お前………」

孝二郎は本当に一樹が電話に出た驚きもあって言葉が出てこなかった。すると一樹の方から孝二郎に話してきた。

(一樹)「どうやらニュース見たみたいだね………」

(孝二郎)「ああ………」

(一樹)「………ごめん、約束破っちゃった。」

(孝二郎)「…………」

一樹の言葉で孝二郎は次第に冷静さを取り戻していった。指名手配されて逃げ回っているはずの一樹の方が孝二郎よりも冷静だったからであろう。

(孝二郎)「………今どこにいるんだ?」

(一樹)「言えるわけないだろ。僕は今指名手配されてるんだから。」

(孝二郎)「なんでこんなこと………」

(一樹)「………僕にはもうこうするしかなかったんだ。大丈夫、僕は快楽殺人者なんかに落ちぶれたりはしないよ。」

この言葉に孝二郎は激怒した表情で電話越しに怒鳴る!

(孝二郎)「そんなこと関係あるか!お前は既に大罪を犯しているんだぞ!?」

(一樹)「そうだね。たしかに僕は指名手配犯、そんなことはもう関係ないか。」

(孝二郎)「一樹!今すぐ自首しろ!そうすれば罪が………」

(一樹)「僕は本当の自由のために、獣として生きるためにこうしているんだ。警察に魔獣なんて呼ばれてたって関係ない。自首なんか絶対にしないよ。そもそも指名手配犯が自首したところで罪は軽くならないしね。」

(孝二郎)「なんで………なんで約束を破ったんだ………」

孝二郎は落胆して徐々に表情が暗くなっていく。

(一樹)「そりゃ孝二郎はあの約束を守って生きていくことはできるだろうさ。でも僕にはもうできない。約束を破るしかなかったんだ………」

(孝二郎)「どういうことだよ?」

(一樹)「…………とにかく僕はもう二度と孝二郎に会うつもりはないよ。このケータイもこの電話を切ったら壊すから。もう後戻りはしない、僕は獣として自由に生きる。」

(孝二郎)「………一樹。」

(一樹)「なに?」

孝二郎は決意を瞳の中に浮かべながらこういった。

(孝二郎)「一樹は僕が必ず止めてみせる!」

(一樹)「………わかった。」

一樹の表情は電話のため窺えなかったが、一樹は意味深な言葉を放った。

(一樹)「じゃ孝二郎、最後のお別れだ。今まで楽しかったよ。じゃあね。」

(孝二郎)「必ずお前の前に現れてやる!」

(一樹)「フフッ………」

そして一樹は電話を切った。孝二郎は試しにもう一度電話をかけてみたが、二度と一樹に電話がつながることはなかった。

(孝二郎)「一樹…………」

孝二郎は一樹との約束のことを思い出していた………


今から10年前、一樹と孝二郎は親友であった。

(一樹)「孝二郎!今日も遊ぼうよ!」

(孝二郎)「いいよ!今日はどこいく!?」

(一樹)「今日はさ………」

一樹と孝二郎は小学校が一緒でこのように毎日遊びまわっていた。

だが6月14日のあの日、2人の運命は大きく変わっていった…………

(孝二郎)「………ここ?」

(一樹)「そうだよ!つい最近見つけたんだ!」

孝二郎は一樹に連れられて今にも崩れそうな洞窟に着いた。

(一樹)「面白そうでしょ!?入っていこうよ!」

(孝二郎)「う、うん………」

孝二郎はいかにも危なそうな洞窟に入ることに抵抗を感じながら洞窟に入っていった。

(一樹)「暗いね………」

(孝二郎)「うん………」

一樹と孝二郎は暗い道を進んでいった。そしてさらに奥へと進んでいった。そして孝二郎があることに気付いた………

(孝二郎)「一樹。」

(一樹)「ん?」

(孝二郎)「こんなに奥に入ってきたのになんでまだ少しでも光があるんだろ?」

(一樹)「ホントだ………普通ならもう入口の光は入ってこない距離だよね………」

一樹と孝二郎は少し足を止めて考え出した。

(一樹)「………てことは洞窟の奥に光るものがあるってことかな!?いってみよ!」

一樹は走って洞窟の奥に向かっていった!

(孝二郎)「まってよぉ!」

孝二郎も慌てて一樹の後を追う。だが確かに奥に入れば入る程洞窟は明るくなっていく。そして2人はついに洞窟の奥で明るさの根源を見つけた…………

(一樹)「すごい………」

(孝二郎)「石が光ってる………」

それは神々しい光を放つ石だった。2人はこの時この石が何かは知らなかったが、後にこの石は人智を超えた能力を宿す『神歌の石』であることを知る。そして………

(一樹)「触ってみようよ!」

(孝二郎)「うん!」

2人は好奇心で光る石に同時に触れてみた。すると…………

(一樹&孝二郎)「あ…………」

光る石に触れた途端一樹と孝二郎の頭の中に人智を超えた能力が入ってきた!一瞬の出来事だったが、その人智を超えた能力はそれが何であるかを小学生の2人にも全て理解させた!

(一樹)「………すごい!」

(孝二郎)「………」

(一樹)「すごい!すごいよ!これを使えばすごいことに………」

(孝二郎)「ダメだ!」

孝二郎は非常に険しい顔をして一樹に言い放った!

(孝二郎)「一樹も僕と同じようなものを持ったんだね………でもこれは使っちゃいけないものだ!危ないよ!僕は絶対に使わないから一樹も使わないで!」

(一樹)「孝二郎、でも…………」

(孝二郎)「ダメ!ここで約束して!」

一樹は孝二郎が必死になっている姿を見て決意した。

(一樹)「………わかった。これは絶対使わない!約束する!」

(孝二郎)「うん!」

(一樹)「今日は面白かったし帰ろうか!」

(孝二郎)「そだね!」

2人は光る石の光を頼りにその場から離れて帰っていった。


そして今に至る………

(孝二郎)「一樹、絶対にお前を止めてみせる…………」

孝二郎はこの時、警察よりも先に一樹を見つけて一樹を止めることを心に誓う………


10月9日の夜、黒山という会社員が家に帰ってきた。表札からするに名は智道というらしい。

(智道)「ただいま。」

(綾子)「あなた!」

家に入ると綾子という女性が智道に駆け寄ってきた!

(綾子)「あなたぁ!一樹が指名手配ってどういうことよ!」

綾子は今にも泣きそうな顔で智道にすがりつく!だが!

(智道)「俺にもわかるわけがないだろ!あいつは真面目に生きていたと思っていたのに………」

智道もわけがわからずただただ落胆するだけだった。

(綾子)「もうどうしたらいいのよ………」

(智道)「俺が聞きたいくらいだよ…………」

綾子と智道は玄関で2人泣き崩れることしかできなかった…………

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