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全国指名手配

(アナウンサー)「ニュースをお知らせします。本日未明、窃盗容疑で逮捕された黒山一樹17歳が取り調べ中に隠し持っていた手榴弾を使って警察署を脱走したため、警察は本日付けで黒山一樹17歳を指名手配しました。この事件で警官1名が死亡、そして取り調べを行っていた刑事1名が重傷を負いました。警察は容疑者を留置された時には身体検査を行い、手榴弾などの爆発物は間違いなく携帯していなかったと断言しております…………」


10月9日の昼頃、日本の各テレビ局でこのような報道が行われた。

だが世間はたかだか未成年1人が指名手配されたことに関心を示す人は少なかった。

それでもやはりこの報道に動揺を隠せない人間は存在する………


同時刻、休憩室でご飯を食べていた会社員の携帯電話が鳴り出した。携帯電話には『綾子』と表示されていた。

(男性)「綾子、どうした?」

(綾子)「あなた!ニュース速報見た!?」

綾子という女性はひどく狼狽えているようだった。

(男性)「ニュース速報?」

(綾子)「いいから早くニュース見て!!」

(男性)「一体どうしたんだよ………」

そして男性は休憩室に設置されていたテレビのチャンネルをニュースに変えた。

(アナウンサー)「本日未明、窃盗容疑で逮捕された黒山一樹17歳が警察署から脱走したため、警察は本日付けで黒山一樹17歳を指名手配しました。」

(男性)「な…………」

男性はショックを受け、思わず携帯電話を落としてしまっていた。

すると他の会社員が近づいてきた。

(会社員)「ケータイ落としましたよ黒山さん。」

(黒山)「………一樹………」

黒山という会社員はその場でしばらく茫然としていた………


その頃警察内部では慌ただしく警官たちが動き回っていた。

(警官)「警部、黒山一樹の家族へは連絡致しました。ただ既にニュース速報を見ていたようで連絡をとった時から狼狽えていて有力な情報を得ることはできませんでしたが………」

(警部)「ご苦労。そりゃご家族はショックだろう。また時間を空けてから聞いてみてくれ。」

(警官)「はい。まだあのビデオテープを見ているのですか?」

(警部)「さっき調べてみたがやっぱり奴には前科がない。身辺調査すらまともにできない今の状況じゃ手がかりはこれしかないんだ。」

警部は警官と話しながらひたすらビデオを繰り返し見続ける。

(警官)「やはり高橋警部が担当を引き継ぐのですか………」

(高橋)「当然だ。金岡刑事が目を覚ますまで担当がいないわけにもいかないだろ。それに金岡刑事には先輩としてだいぶお世話になった。あの爆発で死んだ警官にも同情するが、だからこそ金岡刑事を重体に負わせたあの魔獣が許せないんだ………」

高橋はビデオを見ながら密かに拳を強く握る。

(警官)「………私もご協力させてもらいます。」

警官は敬礼をしながらそう言った。

(高橋)「ありがとう………」


その後も黒山一樹指名手配の報道は一日中行われた。そして夕方頃………

(高校生)「ただいま。」

(高校生の母)「おかえり。」

1人の高校生が授業を終えて家に帰ってきた。

(高校生の母)「ご飯もうすぐできるわよ。」

(高校生)「わかった。」

そういって高校生は自分の部屋に入っていった。

この高校生は瀬名孝二郎。私立高校に通う一般学生である。そして孝二郎は自分の部屋に入って部屋に置いてあるテレビをつけた。

(孝二郎)「何かやってるかな………」

孝二郎がチャンネルを変えていろんな番組を見ていた。すると………

(孝二郎)「!」

ある番組が孝二郎の目に止まった。その番組とは………

(アナウンサー)「本日未明、窃盗容疑で逮捕された黒山一樹17歳が警察署から脱走したため、警察は本日付けで黒山一樹17歳を指名手配しました。」

(孝二郎)「な、なんだって………」

すると孝二郎は急いで机の上のパソコンの電源をつける!

(孝二郎)「そんな、そんなことは………」

孝二郎は気が動転しながらもパソコンが完全に起動するまで椅子に座って待つ!すると!

(孝二郎の母)「孝二郎~、ご飯できたわよ~。」

だが気が動転している孝二郎は母の言葉に気付かない。

(孝二郎の母)「孝二郎~!?」

(孝二郎)「後にしてくれ!!!」

孝二郎は母の声に気付いたが、気が動転していたため大声で怒鳴り散らした!

(孝二郎の母)「………あの子、どうしたのかしら………」

そしてパソコンが完全に起動すると、孝二郎は即座にインターネットに接続した!

(孝二郎)「ニュースの全文を………あんな情報だけじゃわからない………そんな、一樹が指名手配だなんて………」

孝二郎はインターネットで一樹が指名手配された報道の全文を見た。

(孝二郎)「………黒山一樹17歳、窃盗容疑で逮捕され取り調べを受けている時に隠し持っていた手榴弾を使って警察署を脱走。脱出経路や脱出方法はおろか、手榴弾の爆発からどのように回避したのかまだはっきりしていないが、その手榴弾で警官1名を殺害し、刑事1名を瀕死の重傷を負わせて脱走したため、10月9日付けで指名手配とした………」

孝二郎はニュースの全文を読み、多大なショックを受けた。

(孝二郎)「何かの間違いだ………一樹がそんなこと………そうだ!」

すると孝二郎はポケットからケータイを取り出して操作する!そしてそのケータイの画面には黒山一樹と表示されていた………

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