第一話 二人の男
はじめまして。
この作品を読んでくださりありがとうございます。
炎を操る世界を舞台にしたバトルファンタジーです。
楽しんでいただけたら嬉しいです!
───十年前
夕暮れ時。
家の中には、いつものように賑やかな声が響いていた。
トントントン
「よし腐ってない!まだ大丈夫そうね」
カチカチカチ。
「よしっ!そこだっ!」
カチカチカチ。
テレレーン!
「よっしゃあーーー!勝った!」
ポチっ
「あー!何すんだよ!やってたのに!」
「もう終わってただろ?お前は長いんだよ
もうテレビの時間だ。俺はニュースを見たいんだ」
「返せよ!俺が先にやってたんだ!」
リモコンを奪い合う二人
「おい!何すんだ!返せ!」
「コラッ!ケンカは辞めなさい!|蒼真!蒼灯!」
「まったく!すぐケンカするんだからっ」
「「ごめんなさい」」
「蒼灯!お兄ちゃんに貸しなさい、もう散々やったんだから順番よ」
「はーい…」
「美澄、鍋は大丈夫かい?」
「あー!そうだ!カレーっ!」
タッタッタッ
パカッ
「あー焦げてるー!!」
「ありゃあー全部焦げてしまったね」
「えーー!?食べられないの?」
「蒼灯のせいだぞ!俺に貸さないから!」
「……」
蒼灯が俯く。
「蒼灯のせいじゃないわ
私が見てなかったから、だから気にしなくていいのよ」
そっと頭を撫でた。
「うん!」
ガチャ
「どーしたのー?お母さん」
「大きな声がしたけど、何かあった?」
別の部屋から二人が出てきた。
「あー、カレーを焦がしちゃってね」
「えーー!食べられないの?」
「そうね、これじゃあ無理ね」
「他におかずは無いのかい?」
「お味噌汁と肉じゃがとかなら作れるけど、何か1品欲しいわね」
「そうだね、それだけじゃこの子達は足りないだろうね」
「あっ!じゃあじゃあ!私がお魚取りに行くっ!」
元気よく手を挙げた。
「えっ?焔花が?」
「うん!あそこの川いっぱい取れるし!私ももう取るの上手になったんだよ!」
「んーでも、焔花一人じゃ危ないし、私は料理を作らないと」
「そうだね、僕も一緒に手伝わないとどんどん遅くなってしまうからな。」
二人が顔を見合せる。
「じゃあ僕が一緒に行ってくるよ」
「えっ?蒼羽が?」
「うん、もう20歳になったし大丈夫だよ!いいよね?とーさん」
父を見る。
「……そうだな、そんな遠くはないし大丈夫だろう」
「えー!俺も行きたいーー」
「ダメだ、お前と俺は手伝わないと。焦げたのは俺たちのせいでもあるんだからな」
「ちぇー」
ガチャ。
「んんっ何の騒ぎ〜?ハァー」
「焔音、ごめんね起こしちゃった?」
「ううん、大丈夫〜それよりどーしたの?」
「カレーを焦がしちゃってね、また夕ご飯を作り直さなきゃいけなくて」
「えぇカレーを?また蒼灯が何かやらかしたんでしょ?」
「違うよー!俺じゃないもん!」
「図星だな」
「なんか言った?蒼真にぃちゃん」
蒼灯が睨みつける。
「いーや?」
「じゃあ行ってくるよ!すぐ戻ってくるから」
「んっ?何処か行くの二人とも」
「魚を取ってきてくれるんだよ、おかずが足りないからね、気をつけて行ってくるんだよ」
「なるほどね」
「焔音、悪いけど手伝ってくれる?」
「うん!いいよ!お母さん一人だとまた焦がしちゃうかもだしね?」
「もう!んふふ助かるわ」
「じゃあ行くよ!焔花」
「はーい!」
────────────────────────
ピピピピッ
ピピピピッ
「うーん」
ピピピピッ
ピピピピッ
「うるさいな」
スマホを手に取り時間を見る。
「えっヤバっ」
一気に目が覚める。
「遅刻する!」
私は慌ててベットから飛び起きた。
あの夢を何度も見る。
家族で最後に会話した日を。
今でも一語一句鮮明に覚えている。
ピッ。
着替えながらテレビをつける。
「あの日からもう少しで十年になりますね」
「もうそんなに経つんですか」
「えぇ私達の英雄を奪ったあの悲劇からもう十年、時間が経つのは早いものです」
「未だに犯人は───」
ブチッ。
(何度見ても同じ、あの日から何も変わっていない。)
「もう十年か……」
時計を見る。
「ヤバい、本当に遅刻する」
ガチャ。
ドアを勢いよく開けた。
ダッダッダッダッダッダッ。
私は少女漫画のようにパンを食べながら全速力で走った。
動物は日々進化をする、身を守るため自分達の種族を守るためその環境に見合った体へと。
それは人間も同じこと。
遥か昔突如人間は進化した。
ある人間が炎を操れるようになった。
その能力は一人二人へと、次の世代へと受け継がれていった。
やがては、全ての人間が生まれながら炎を操る能力を持つようになった。
炎の力もその過程で進化していき、三つの色によって分けられるようになった。
性質は色によって変わってくる。
その色とは、赤緑橙である。
「はぁはぁ」
(よし!良かったこの分なら間に合いそう)
「ねぇみてあれ」
「なにかあったのかしら」
「また出たのか?」
(ん?なんだろ騒がしいな)
信号待ちしていた先になにやら人だかり出来ている。
「ピーポーピーポー」
信号が青に変わった。
横断歩道を渡った先で人だかりが出来ていた
その奥で男性が声を上げている。
「近寄らないで!危ないから下がって!」
「そこっ!下がって!」
私は時間を忘れて人だかりの所へ近寄っていった。
チラッと警察が見えた。
「すみません」
押し退けた先で見たのは、若い男性が一人の女の人に対して橙の炎をナイフの形にして女性に向けていた。
「おいっ!近づくな!みせもんじゃねぇーぞ!」
「いやっやめて……お願い…」
「俺たちは二人で話してたんだ!それなのに警察なんか呼びやがって!」
「お前もお前なんだよ!そーやってビクビクビクビクしてるから勘違いされちゃったじゃねーか!」
女性には腕に火傷の跡や殴られた跡が付いていた。
多分あの男性は女性の交際相手だろう。
しかもDVまでしている。
「おいっ警察が来たところなんになる?その銃撃ってみろコイツに当たるぞ?」
「いやっいやっ」
男がニヤリと笑い、女の人は涙ながらに首を横に振っている。
「……クッ」
警察も動けない。
「ウーーー」
サイレンの音が鳴る。
そこに1台の車が来た。
気だるそうな男性が窓から顔を出しメガホンを使って喋っている。
「危ないですよー」
「あー!あれは海様よ!」
「「「海様ーーーー!!」」」
周りの女性達が騒ぎ出した。
その時後部座席のドアが開いた、そこで別の男性が出てきた。
「「「キャーーーーーー!!」」」
「うっそ…生で初めて見た!!」
「「「零様ーーー!!!!」」」
さっきよりも叫び声が強くなった。
(あっ、あの二人は……)
周りの声に応えるように手を振っている、助手席から出てきた気だるそうな男、あれは多分
神代海牙だ。
そして後部座席から出てきたこの男。
後ろでキラキラの背景が見えてしまうような
この顔、スタイル、そして……
「ちっ、また厄介事か」
「出たわ!零様の毒舌!」
「かっこいいわー!」
顔には見合わないこのドS感。
そうきっとこの人は、
王零牙だ。
「「零様ー!」」
「「零様ー!」」
「こっち向いてー!」
「ったく、うるせぇな…おい何とかしろ」
「そう言われてもねー、零も彼女達にファンサしないと」
神代が手を振る。
「キャーー!!」
「こんな風にさ?……それに、こんな通勤時間帯のど真ん中にいる零様が悪いよ」
「誰がやるか!……ちっ、仕方ねーだろうが
たまたま近くに居たのが俺達だったんだ
それに零様って呼ぶな!」
「ごめんごめんっ、そう怒るなって」
神代が王をなだめた。
二人は何か言い合っているようだった。
周りの騒がしい声で、何を話してるかは分からないが
(なんか言い争ってる?)
「ちょっとー!何してるんですか!?」
運転席から一人の女性が出てきた。
「ねぇ誰あの女」
「零様と海様を車に乗せるなんて」
「声を荒らげてやーね」
周りがヒソヒソと話している。
小柄な女性だ。
彼女もヒソヒソ話が聞こえたのか、
「……ッ時間無いんですから早くして下さい!!」
さっきよりもデカく、怒りが混じった声で言った。
「まぁまぁ落ち着いて、あんなのすぐ片付くから大丈夫だよ」
神代が運転席の女性をなだめた。
「全くもう!」
女性は怒りが収まらないようだ。
「行くぞ、海」
王が口を開いた。
「はいはい、じゃあ行ってくるよ白石ちゃん」
運転席の女性は白石という人みたいだ。
二人は余裕そうな足取りで男の方に歩いていった。
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