ラブコメのお約束……?
もうちょいイチャイチャさせたかった……!
「早く来すぎたなぁ……」
今日はデート当日、紅華が
『なるくんと一緒にいる時間が短いのはやだ!』
なんて言うから集合時間が朝の七時になりました。眠い………
今は六時半、さすがにまだ来てないよな………ん?
「ねぇねぇ、今暇?暇でしょ?」
「俺達と遊びに行こうぜ?」
「気持ちよくもしてやるからさぁ」
朝からナンパとか、暇かよアイツら……って、ナンパされてる女の子がこっち見たぞ?
「あっ!なるくーん!」
「えっ?!紅華?!」
マジか!紅華だったのか、普段と雰囲気が違いすぎて分かんなかった……それにしても………
「……………………………………いや、女神かよ」
そこには、美の結晶がいた
ノースリーブの白いワンピースを着て、白いハイヒールを履き、黒いカバンをちょこん、と持っている幼なじみが、そこにはいた。
「えへへー!なるくんだー!」
ギュッ
「はひゃい!こ、紅華?!」
急に抱きつくから変な声出ちまったじゃねーか!しかも…………!
ふみょん
胸が腕に当たってんだよぉ!
「こ、紅華?胸が、あたってるんだが?」
「あててんのよ」
ここぞとばかりに名言を言ってドヤ顔するなぁ!
「と、来客か」
「おいおい彼氏さん?その女は俺達が目ぇつけたんだわ」
「つー訳で一晩貸してくれない?」
「一晩じゃ帰ってこないかもしれねぇけどな!」
ギャハハハハハハ!
ったく、耳障りな雑音だ……
「無理、お前ら三人とも母ちゃんの腹ん中からやり直してこい。ガチでキモイ」
「あ?てめぇ、死にてぇようだな?」
おーおーそんなに怒っちゃって
「え、なに?図星つかれて怒っちゃった系?逆ギレなの?面白すぎ」
「て、てめぇ!ぶっ殺す!」
あーあ、お前らはそこで暴力に頼るから人としてもやり直した方がいいんだよ
「よっ、と」
「は?」
ズダァン!
「ぐほっ!」
「ん?少し勢いをつけすぎたな」
久々にやったから加減がムズいな……
「てめぇ、なにを……」
「なにって、投げただけだけど?」
相手の拳が前に出る推進力を使ってそのまま突き出した方の腕と胸ぐらを掴んで投げただけなんだが……
「この野郎……!」
「あー、やめといた方がいいと思うよ?」
「んだと……!」
「おたくら、本当に素人が武道をやっている人にかなうと思ってる?それに………」
「あ?!上と………」
「こっちも大事な人にちょっかい出されてイラついてんだ、次は手加減無しで………………ぶちのめすぞ?」
「っ………………ヒイィィィィィィ!」
ええ……ちょっと殺気出しただけじゃん……そんなに怖がらなくてもいいのに……なんかショック
「まぁいいか、紅華、だいじょ………」
ギュッ!
「……………………………………………怖かった」
「そうだよな、あんなに強引に迫ら………」
「違う!」
「え?」
ナンパが怖かったんじゃないのか?
「なるくんが!怪我するんじゃないかって!下手したら死んじゃうんじゃないかって!」
「死ぬって……」
そんな大袈裟な……
「なるくんがいなくなったら私!生きていけない!光が無いと!闇はそもそも生まれもしないの!」
な、何の話だ?
「私にとって、なるくんは光そのものなの……光を失って生きていられるほど!私は強くないの!」
まだなんの事を言ってるのか分からんが……
「怖がらせてごめんな?紅華」
「ヒグッ…………グスッ、もう二度と危ない事はしないでね?」
「ああ、しないと俺の天使に誓うよ」
紅華に危ない事が起きない限りはな
「グスッ……天使って?」
「もちろん、お前の事だよ」
「…………………………………えへへ」
ああ、そうだ。お前は俺の隣でそうやって笑っててくれ。紅華の笑顔が、俺の生きる意味なんだから
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
「それにしてもなるくん、強かったね。なにかやってたっけ?」
「ああ、お前が引きこもってた中学の時に合気道をな………」
「あっ………………………………………そうなんだ………………」
あーくそ!やっちまった!紅華が悲しそうな顔になっちまったじゃねぇか!俺のバカ!
「ふん!」
ゴッ!
「な、なるくん?!なんで自分を殴ったの?!」
「ああ、ちょっと反省をな……」
「ダメだよ!自分で自分を傷つけたら!」
「ごめんごめん、それよりそろそろ行こうぜ、人も多くなってきたし」
「あ、うん、そうだね」
「どこ行くんだっけ?」
「まずはなるくんの髪を美容院で切るよ!」
「え?なんで美容院?髪切るんだったら普通にとこ屋でよくない?」
「よくない!いい?なるくんはカッコイイの!今何もしなくてもカッコイイのに美容院で髪を切って整えたりなんてしたら…………………グヘヘ」
「紅華?!」
女の子がしちゃいけない笑い方してたぞ?!
「グヘヘ……………はっ!コホン、ともかく!なるくんは今でも充分カッコイイけどちゃんとすればもっとカッコイイの!分かった?!」
「いや、別に俺になにしてもカッコよくなるわけが………」
「返事はイエスかノーで!分かった?!」
「イ、イエス!」
こうして、俺達のデートが始まった
……………………………………ん?よく考えたらさっきの質問でイエスかノーで答えるのはおかしくないか?
「なにしてんのなるくん!早く行くよ!」
「あ、おう!今行く!」
まぁなんでもいいか!なんてったって、今日は一日紅華とデートだしな!
次は読者の皆さんに砂糖を吐かせます