院長は異世界に行くようです。
まだ読んでくれる人がいると信じて更新。
「「「ごちそうさまでした」」」
「はい、お粗末様」
今日の晩ご飯は子供たちが狩った魔猪を使った猪肉のフルコース。
「アーマー・ボア美味しかった?」
カルキが頬杖をつきながら聞くと
「ハンバーグ最高!」とシルト。
「僕は牡丹鍋を推すよ」とはフロック。
「リラは断然スペアリブ」
「そっかそっか。美味しかったならよかったし」
カルキは子供たちの反応に上機嫌だ。
「で、グロッキーな院長は?」
「ごめん、ちょっと胸焼けが…」
20代も半ばを過ぎるとこれだけ肉で溢れかえる食卓は少し、いやかなりキツかった。
「院長、情けねー」
「シルトも大きくなればわかるよ」
もーね、脂がキツい。猪肉は脂が少ないとはいえ、キツいものはキツい。
「でも、どれも味は抜群だったよ。ご馳走様」
テーブルに伏しながらも調理してくれたカルキに精一杯の賛辞を贈る。
「中年にはちょっとキツかったね」
「…フロック、容赦ないこと言うね」
「まあ、きちんとたいらげただけ褒めてあげるし」
カルキは言いながら気を遣ってか肩に手をポンとおく。
「胸焼けなんて無縁のことと思ってたのになぁ…」
窓の外を見ながら感傷に浸る。年か…
「ほら、遠い目してないで子供たちとお風呂入ってきなよ。後片付けしとくし」
「あーいい、いいよ。僕がやっておくから先入っておいで。ずっと働かせて申し訳ないしこれくらい任せてよ」
「そ?じゃあお言葉に甘えるし。ちびっ子たち、お風呂行くよー」
「「「はーい」」」
ワイワイ言いながら4人は食堂を後にした。
「あの子たち、僕と同じだけ食べてたよね…若さって、素晴らしいんだね…」
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こんこんっ
「どうぞー」
「お待たせだし。準備できたよ」
「ありがとカルキ。カルキの方こそもう準備できたん?もう少しゆっくりしてきてもよかったのに」
「大丈夫だし。ちびっ子たちの寝顔でエネルギー充填できたしね」
「そっか。じゃあ僕も寝顔を見てから行こうかな」
「準備はできてんの?」
「これが最後の準備だよ」
「そ。じゃあ先に召喚の間行っとくね」
了承の代わりにひらひら手を振って寝室へ向かう。
「くかーーー」
「すぅ すぅ 」
「んぅ ふふ すぅ」
「よく寝てるね。また朝に会おうね。おやすみ、みんな」
1人ずつ頭を撫でて召喚の間へ向かう。と
「「「いん…いって…さい」」」
驚き振り向くと、みんなやはり寝ている。
「はは、寝言か。同じタイミングで3人ともって。
気をつけて行ってくるよ。必ず帰ってくるから」
今度こそ召喚の間へ足を運んだ。
「カルキお待たせ」
「ん、どうだったちびっ子たち」
「うん、いってらっしゃい だって」
「…起こしたの?」
「まさか、寝言だよ」
「へ?…ふーん、ちゃんと帰らないとだね」
「うん、カルキもね。さてと」
足元の魔法陣の中央に立ちカルキと手を繋ぐ。
「行こうか」
「ん。油断せず行くし」
「あいあい」
瞬間、僕たちは光に包まれた。
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目を開くとそこには燃え盛る城及び城下町が広がっていた。
「カルキ、これ詰んでない?」
「…がんばるし」
頑張るかー