巨乳な先輩にバブみを感じる『同い年だけど一つ上の先輩』
「で、でかい……」
「な、何を言ってるんです?でかいって……」
「あっ……、いや!あの…、すいません……」
そう呟いてしまった俺は、現在危機的状況に立たされていた。
それは俺が思わず呟いてしまった失言、俺が目の前にいる彼女を見て口にしてしまった言葉の所為であった。
先程俺は、彼女の姿…その胸部に意識を持っていかれ、彼女が俺の目の前に顔を近づけているということを忘れていた。
そしてそのまま先程のセリフを呟き…、それを彼女に聞かれてしまったという訳だ。
俺を心配してくれた女性、それも心配から俺を追いかけてまで心配してくれた人に、そのような言葉を言ってしまったのだ。
これは失礼どころの話ではないだろう……
「あ、あの?でかいってもしかして…、私の……」
と、そんな事を俺が考えていると…、その目の前に立つ女性が自身の体をチラッと見下ろして…、そのように俺に言いかけてきた。
「あっ!いや!その……、ごめんなさい……
つい言ってしまいました…。大きいのがとても魅力的で…いえ!別に変な意味ではないんですよ!?
そのどうしても見惚れてしまったといいますか、なんと言いますか……あの!とりあえず、変なこと言ってすいませんでした……」
と、俺はその女性が言い終わるよりも先に、まずはそう謝ることにした。
失礼なことをしてしまった時には、まず自分の非を認めて謝ること、それが特に女性に対しては大切だと、妹の静恵も言っていた。
ぐちぐち言い訳するのは、全然男らしくないと静恵には口酸っぱく言われているのだ。
そして、女性の話は女性である静恵の意見が全面的に正しいので、俺は常にそれに従うことにしていた。
だから俺は、まずはその女性に謝ることにしたのだが…
どうしたのだろう?なにやらその女性がゴニョゴニョと何かを呟いている。
「そ、そんな魅力的なんて……、でも私みたいな背の大きい女は、男子は嫌がるって雑誌で……
でもこの子がそんな嘘は言いそうにないですし。
しかも変な意味じゃないって言ってるってことは……、ホントにホント?」
なにやらその女性は俺に背を向け、そのようになにかをゴニョゴニョと呟いている訳だが…
背を向けて呟いている為、その断片的なセリフが俺には聞こえてくるだけだ。
「(私みたいな…、大きい…女は…、男子は嫌がる?)」
と、俺が聞き取れた最初の方のセリフはそれだけだったのだが……
この女性の胸が大きいことを男が嫌がる?
そんな男、この世に存在するのだろうか?
この母性の塊のような、素晴らしい存在を嫌がる?
そんなの同じ男として心配になるし、もはやそいつはただのロリコン野郎じゃないかと警戒してしまうレベルだ。
俺はそんなことありえないと思い、ついつい目の前で背を向けてぶつぶつと呟いている女性を、食い気味にフォローしてしまう。
「嫌がるなんてとんでもないですよ!とても綺麗で大きくて……、とっても魅力的です!お世辞とか抜きに
その……、えっと…、他に言葉が思いつきませんが、大きいから嫌だと言う人はいないと思います!
とにかく俺は嫌だとは思いませんし…、むしろ好きなぐらいです!」
と、はたから見たら引くぐらいの勢いで、そう女性に言ってしまう。
しかも、言ってる内容は胸が大きくて好きだという話…、これではマジの変態だと思われ、通報されても仕方ない状況だ。
俺はそこでハッとして、自分が思わずその女性に『胸の大きさについて』力説してしまったことを自覚する。
マズイ!これは事案だ!
そう思って俺は、女性の反応に内心ビクビクしていると…
「ほ、ほんとに大きくても良いのですか?
こんな私でも……、嫌じゃない…のですか?」
と、言ってバッとこちらを振り返り、覗き込むようにしてその言葉が本当かどうかを俺に問うてくるのだった。
その瞳は微かに潤んでいて……、見上げるその仕草、上目遣いの威力に、俺は自然と「はい!もちろん大好きです!」と勢いよくそう答えてしまっていた。
「あっ!」と思ったときはもう遅く…、目の前の女性はほんのり顔を赤らめて「あ、ありがとうございます……」と少し俯きがちにそう言って、照れてしまったのか俺からフイっと目を逸らす。
「(か、可愛い!!!)」
流石に今度は口には出さなかったが、その女性の照れた表情の可愛さに、俺は思わず心の中でそう叫ぶのだった。
そして、なんだかそれを見ているのが気恥ずかしくなってしまった俺は、若干強引ではあったがずっと気になっていた質問をその女性にぶつけてみる。
「そ、その!ここまでお話ししてて今更なんですが…、あなたのお名前を教えて貰えませんか?
ちなみに俺の名前は、1年B組の相川 相太です
部活とかは特に所属してない……、まあ何処にでもいる男子高校生ってとこです。
これから…その!よろしくお願いします!」
と、自己紹介としてはこんなもんだが…初対面ということもあって、彼女と昨日別れたという重い話はまだこの女性には伝えないことにした。
まあ、なんかさっきまでの勢いを見ていると……、いずれこの女性には別れた話を聞き出されるような予感、そんな直感が確かに俺の脳裏によぎるのだった。
そして照れていた女性も、俺の質問を聞いて咳払い一つして、顔をこちらに戻すと……
今度は落ち着いた表情で俺の聞いた内容について丁寧に答えてくれる。
「はい!そういえばまだ自己紹介をしていませんでしたね?私たち……、それで、私の名前は大岡 三葉と言います。
クラスは2年D組で、昨年までは生徒会に所属していまして……、その任期が終わった今は、相太くんと同じ無所属ってところですね。
ふふふ、こちらこそよろしくお願いしますね?後輩くん?」
そう自己紹介した女性…三葉先輩は、丁寧な言葉遣いながらも親しみやすい笑顔で俺に握手を求めてくる
俺はその笑顔に握手で返し、その優しい微笑みに母性にも似た暖かい包容力のようなものを感じる
(まあ実際の母性は三葉先輩の微笑みの下に存在するのだが…)
「はい!よろしくお願いします!三葉先輩!
それにしても、昨年は生徒会に所属してたんですか…
俺があとちょっと早く産まれてたら、その先輩の雄姿を見れたのかと思うと…実に惜しいです。」
と、俺は先輩が生徒会で優しく微笑みながら、みんなをまとめている姿を想像して……
……っていうか!その姿がマジで想像出来るな!
ホントにお母さんみたいで、三葉先輩の包容力にバブみを感じるほどだ。
するとそれを聞いた三葉先輩はニコっと微笑んで…
「そうですか?私はギリギリ今の学年になれる産まれなので…、少し遅かったら私は相太くんと同学年だったかもしれませんね?
でも私も、相太くんみたいな優しい子が同級生だったら、もっと嬉しかったです……
なぜか私が男の子に話しかけると、みんな気まずそうに目を逸らされてしまうので…ちょっと寂しいです。」
と、言って少し寂しそうにしながら微笑む。
その表情は寂しさ20%程の、人によっては見逃す程の些細な表情の変化だった。
だけど俺は、そんな些細なことでも、この人の笑顔が翳ってしまうのがなんだかモヤモヤして……
「いえ!三葉先輩が綺麗で魅力的過ぎるので、男子の方が気後れしてしまっているだけですよ。
ちゃんと皆さん三葉先輩のことが大好きですよ!
それを証拠に俺も初めて先輩をちゃんと見たときに、思わず立ち止まって見惚れてしまったぐらいですからね?」
と、少しだけ恥ずかしかったが、自分が先輩に見惚れてしまって、少しだけ気後れを感じていたことを正直に告白する。
俺が少し恥ずかしいだけで、先輩の笑顔を守れるなら安いものだ。
俺はそう思って三葉先輩を励ますべく、そう言った訳であるが……
「そ、そんな私に見惚れたなんて……、それに大好きって……、そんなこと相太くんから言われちゃったら、私先輩なのに照れちゃいます!」
などと言い、三葉先輩はぽっと頬を赤らめ、「イケナイ子だぞ♪」と言わんばかりに、メッ!と俺の顔を後ろに向けさせようとグイグイ押してくる……
照れたその顔を、俺に見られないようにするために…
なんだこの可愛い先輩は!
俺はそんな先輩の見せる、可愛い反応や微笑みに翻弄されながらも…
寂しかった通学路が先輩の登場によって華やいだことを感謝して、学校に着くまでの間の時間、とても楽しいひと時を先輩と過ごすのだった。
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