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居心地の悪い通学路『謎のヒロインの登場』

タイトル変えました!

 

「なぁ…あいつが?」「たぶんそうだ…当たり前だよな。」「まあこれで…俺たちのアイドルが…」



 学校に近づいてきた通学路…、そのあちこちから、俺の方をチラチラと見て何かを呟く声が聞こえてくる。



「はぁ…、なんか変に注目されてんだけど…

 マジで学校着くまで、ずっとこんな感じなのか?

 静恵に励まされてなかったら…、本気でへこんでたまであるな…これは。」



 と、俺は少しだけため息をつきながら…、いつもと同じ、しかしどこか居心地の悪い通学路をそのまま歩いて行く。



 しかしその途中…、居心地の悪さから…少しだけ道を逸れて、人通りの少ない商店街の路地の方に入って行く。


 ちょっと遠回りになるかもしれないが…、この商店街の静けさが、今の俺の心には安心感を与えてくれる。



 早朝という事もあり、まだ準備をしているお店か完全にシャッターが閉じているお店ばかりだ。



 そして現在のところ、寂れたその路地を歩くのは俺一人といったところだ。



「はぁ、なんか初日からこんな様子だと…

 これからが気が重くなるばかりだなぁ…マジで。」



 と、俺はそんな言葉と共にため息一つ吐き…、寂れた商店街をとぼとぼと歩いて行く。



 静恵からは、ため息や暗い顔はクラスではやめた方がいいと言われたが…


 通学路…、それも誰も見ていない場所でのそれぐらいは、今日ばかりは許して欲しい。



「やっぱり俺…、まだ麗奈のこと好きなんだよなぁ。

 振られちゃったとしても、そんな簡単に麗奈を嫌いになれないしな…」



 そんなことを言うと…、女々しいと思われるかもしれないが、昨日の今日でそう簡単には気持ちの整理がつく訳がないのだ。



 麗奈を思う気持ち…それが本物で強かったからこそ、別れてしまったというその事実は、酷く俺の心に影を落とすことになったのだ。



「早く切り替えないといけないんだけどな…

 でも、少しだけ…、少しの間だけなら、麗奈のことを思っていても…」



 ピロリン♪



 そんな風に、俺が少しだけ感傷的になってそう呟いていると…、カバンの中のスマホが誰かからのLINEの着信を知らしてくれる。



「誰からの着信だ?変な冷やかしとか、挑発なんかだったら普通に無視するけど…

 えっと…、あれ?静恵からのLINE?」



 スマホの通知を確認すると、何やら静恵からの通知が来ているようだ。



 なんか忘れ物とか家のおつかいとかを、わざわざ知らせてくれたのかな?



 と、俺はそう思って、LINEの内容をジッと確認すると…



『昨日の話の続きだけど…、お兄ちゃん?やっぱり大丈夫?

 私の前では大丈夫だって言ってたけど…、やっぱりその人が忘れられないって思ってるんじゃない?

 でもそれで、私に心配かけたくないからって、それを隠し通そうと思ってたり…

 でもね!お兄ちゃん!これだけは言っておくよ。

 もしお兄ちゃんがまだその人のことを引きずっていたとしても…、カッコ悪いなんて思わないし、女々しいなんて、私はそうは思わないよ?

 だってそれだけお兄ちゃんが、その人のことを想ってあげてたって事なんだもん…

 私からすれば…そんな風に誰かを真剣に想って、その人のために頑張ってたお兄ちゃんが、かっこ悪いなんて絶対に思わないよ。

 だから自信を持ってね!お兄ちゃん!

 その人には、お兄ちゃんの想いが伝わらなかったかもしれないけど…、私にはちゃんとその想いが…その努力がちゃんと伝わってるんだから!

 長々と書いちゃったけど…、負けないでね!お兄ちゃん!変なからかいとか冷やかしなんかに。

 どんな状況でも…私はお兄ちゃんの味方だからね!』



 と、そんな長々とした文章が静恵から俺に送られて来ていたのだ。



 そしてそれを立ち止まって読んでいた、俺はというと…



 ポツ…ポツ……



 ハッと気がついた時には、俺の瞳からはぽろぽろと涙が溢れていた。


 どんなに拭っても拭っても…、その涙は俺の瞳から溢れ続けた。



「あれ…?俺……、なんで泣いて?」



 俺はそう呟き…、自分の涙を手のひらで拭い続ける中…、まだ一度も、麗奈に別れを告げられてから一度も、自分が泣いていなかったことに気がついた。


 いつのまにか…自分でも気づかないうちに、やりきれない想い…、別れてしまった悲しみが自分の中で溜まっていたみたいだ。



 しかしそれが静恵からのLINEによって、我慢することが出来きなくなり…、涙となって流れ出てしまったようだ。



 俺はそんなことを頭の片隅で考えながら…、止まることのない涙を、そのまま立ち止まって拭い続けていると…



「あの!どうしたんですか?なんでこんなところで泣いて……

 その!なにか悲しいことでもあったのですか?」



 と、突然俺の背後から誰かが近づいて来たかと思うと…、その人がサッと俺の正面に回り、俺にそんな声を掛けてくる。


 その人は俺のことが心配なようで…、何も言わない俺のことを覗き込むようにしてグイッとその顔を近づけてくる。



 けれど俺は、突然現れた女性にそんな泣き顔を見られたくなくて…その人からふいっと顔を背ける。



「いえ…!なんでも…、ありません!

 別に俺は大丈夫なんで…、その…1人にして下さい。」



 と、言って涙を拭いながら…、再び俺は彼女を避けるようにして歩き出す。



 スタスタ……スタスタ……



 なぜか俺が歩みを進め始めると…、その数歩あとを先程の女性が付いて来る。


 しかしその女性は付いて来るだけで、俺に何も言ってくることはない。



 タッタッタ!……タッタッタ!!



 俺は彼女に付いて来られるのが嫌で、少しだけ歩く速度を上げ…、彼女が俺に付いて来ないようにと引き離そうとする。


 しかし、彼女は「はぁ、はぁ」と息をあげながらも、なぜか俺に走って付いて来ようとして…



「なんでっ!付いて来るんですか!

 1人にっ!して下さいって!言ってるでしょ!」



「だめっ!です!あなたが泣き止んでっ!

 その理由を私に教えてくれるまでっ!

 私はあなたを!1人にはっ!しません!」



 彼女はそう言うと…、先程以上に息をあげながらも俺に追いつこうとしてくる。



 そして意外にも早く追いついてきた彼女の伸ばした手が、パッと俺の服の袖を見事に掴んだ!



「捕まえました!もう逃げようとしないでください!

 どうせ逃げようとしても、また私は追いかけるつもりでいます!だから大人しく立ち止まって…、その理由を私に教えるのです!」



 と、彼女はそう言って思わず立ち止まった俺の正面に再び回り込み、グイッと先程以上に顔を近づけて…俺のことをジッと至近距離から見てくる。



 心なしか眉もキュッと釣り上がっており、少し怒ってますといった表情である。



 そうして…ようやく立ち止まった俺は、その追ってきていた女性…、目の前にドアップで立ちはだかっているその全身を初めてまともに視界に収めた。



 そして俺はその姿を一目見て、ピシッと…、そんな擬音が聞こえてくるぐらいに、その場で凍りついてしまった……


 その美し過ぎる、整った彼女の姿によって…



 女性にしては少しだけ身長が高く、俺の肩より少し低いくらいの背丈。

 それでいてしなやかにスラッと伸びた脚は、まるで彫刻のように綺麗な造形美を誇っており、平均より少し高い身長とよくマッチしていて…神々しい程であった。


 また髪は流れるような美しい黒髪、一見肩から流れる髪はただのストレートにも見えるが、その毛先にはくるくると軽くカールが掛かっており…、ただでさえ綺麗なその黒髪がより一層美しく見える。


 そしてそんな中でも目を惹くのは、その綺麗な髪に負けず劣らず美しい…かなり整った綺麗な顔の造形美だ。



 その初雪を連想させる真っ白い肌は、長い黒髪によく映えていて…、まるでおとぎ話の中のお姫さまのようにも見える。



 これだけでもその女性が周りの男の目を惹く存在であることは確実なのだが…


 その女性の姿の中で、俺が一番衝撃を受けた…その部分というのは…



「で、でかい……」



 そんな呟きを思わず漏らしてしまうほどの巨乳、その女性の胸部に目がいってしまうのだった。



 静恵が最近…「やった!お兄ちゃん!私ようやくCカップになったよ!これでついにChoudo(丁度)いい胸だよ!お兄ちゃん!」って喜んでたのを覚えているが…、そんなのとは比にならない程の大きさだ。



 俺も一人の男なので…、そういう本も拝見させてもらっていて、ある程度その大きさについて予測可能なのだが…


 おそらく、その女性のそれは…大きさはGとかH、もしくはそれ以上のサイズ感はあるだろう。



 とにかく一目見て、「大きい!」と叫んでしまう程には巨大なのだ。


 そしてそれをこの目で見てしまった今…、先程追いかけられていたときの彼女の姿、その胸部を確認していなかったことが何より悔やまれた。



 くそぅ…、俺はなんて不幸な男だ……



 俺はそんな彼女の姿を見ることが出来なかったことを少々悔やみつつ…そんな彼女が現在、俺の目と鼻の先にドアップで立っていることを思い出した。


 そしてついでに…、俺の「で、でかい……」という呟きが、目の前の彼女に聞かれてしまったという事も含めて思い出した。





 そのときの俺が、先程彼女の美しさに見惚れて固まった時とは、別の意味で固まってしまった事は言うまでもないだろう……

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