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衝撃の告白『猫井会長!詳しく説明して下さい!』

2本目の投稿です。

 

「じゃあ、早速話し合いを始めよっか!まず初めに、今回の話し合いの内容については『わんこちゃん』から聞いてるとは思うけど……。それについては大丈夫だよね?っね?」



 そんな猫井生徒会長の一声から始まった、体育祭合同開催についての意見交換会。


『第1女学院』体育祭実行委員長である犬神さんの話によれば、今回の意見交換会は副会長両名の要望があって行われるようだ。


 それも意見交換という名ではあるものの、今回の体育祭合同開催を2人が反対しているといった状態でだ。



 しかしながら、先程の会話や態度から見ても、2人ともに男性に対する嫌悪感や恐怖のようなものは見られず、話せば分かり合える可能性を見出せたため、俺は意気込んでその話し合いの場に着いた訳なのだが……



「あ、あの……。猫井会長?他校の皆さんの前で『わんこちゃん』というのはちょっと……。」



 と、猫井生徒会長から『わんこちゃん』と呼ばれた犬神さんはそのように言って、若干戸惑い気味である。


 犬神 犬子(いぬがみ けんこ)で『わんこちゃん』。クールビューティーな犬神さんに対してその呼び名は、少しずれた感じではあるが……その見た目と呼び名のギャップが意外な可愛らしさと犬神さんに対しての親しみやすい印象を与えてくれている。


 そのこと自体に対しては、別段異論や何か思うことなどは存在しないのだが……



「(今の張り詰めた空気感で、その気の抜けるような名前を呼ぶのは……。まあみんな表情も堅かったから、ある意味では良かったの……か?)」



 とまあ、意識してか無意識だったのかは定かではないのだが、猫井会長の犬神さんへのその呼び掛けによって、周りの空気が弛緩した事は間違いない。


 実際、少し緊張気味で強張った表情だった三葉先輩も、心なしかその緊張が解けているような気がする。



 すると、犬神さんはその空気を変に誤解したのか



「ほ、ほら!皆さん変な空気になっちゃってるじゃないですか!相川くんもその彼女さんも笑ってますし……。

 普段であれば、その……わ、わんこちゃん?の呼び方も別に嫌という訳ではないですけど……。

 今は今だけは……『犬神実行委員長』とちゃんと呼んで貰えませんか?猫井会長。いえ……猫井生徒会長。」



 と、最初はわたわた、しかし最後にはしっかりとした口調で、そのように犬神さんは猫井生徒会長に訴えかける。


 少々生真面目すぎる気もするのだが、本人からすれば今だけはやめて欲しいとの心境なのだろう。



 あと俺も先輩も、その様子を微笑ましいものとして見ているのであって、決して変な意味などは存在しない。


 まあ、仲良いコンビだなぁと思ったのは確かなのだが……



 すると、それを聞いた猫井生徒会長は「しょうがないなぁ。わんこちゃんは」と言いつつ、スッと居住まいを正して



「分かったよ……わんこちゃん。いや、()()()()()()()()()()。こう呼べばいいかな?

 おふざけの時間はこれくらいにして……さっそく本題に入ろうか?」



 と、その顔にはにこりとした笑みを浮かべながらも、どこか圧迫感を感じさせるような雰囲気でそのように言い、猫井会長はちらりと俺たちの方に目を向ける。



 本人は意識してか無意識かは定かではないが、この雰囲気の急激な変化には誰もが戸惑うことだろう。


 これまでののんびりした緩い雰囲気から、突然威厳のある堅い雰囲気になるのだ。これには戸惑わない人の方が異常であると言えるだろう。



 そしてその例に漏れず、三葉先輩や髙木さんは初めて見る猫井会長の急激な雰囲気の変化に戸惑いが隠せないでいるようで、その言葉に何も返答できないでいる。



「(まあ俺も初対面では色々とこの人には驚かされたからな……。中でもオンオフをぱちりと切り替えたような、そんな急激な雰囲気の変化なんかは特にな……。)」



 俺は内心そんな事を考えながらも、とりあえずは場の空気を戻すためにと、パンパンと手を叩いて



「あー、その俺から少しいいですか?ちょっとだけお話をさせて貰っても。」



 と、あえて皆からの注目を集めるようにして、そのように俺はみんなに呼びかける。


 いきなり話し始めると流石に変だと思ったので、このように尋ねるような言い方になってしまったが……実際の所、その呼びかけ自体にそこまでの意味はない。


 俺の目的はあくまで先輩たちの意識をもとに……こちらに戻すという事なのだ。



 すると俺の目論見が功を奏したのか、三葉先輩と高木さんはハッとした顔でお互い顔を見合わせる。


 そして俺は2人が元の様子に戻った事と猫井会長たちの許可を得たのを確認したのち、先程切り出していた話、その続きについて話し始める。



「まず、俺たちの現状理解している内容ですが……。猫井会長が『犬神実行委員長から聞いている』と言っていた話し合いの内容とその理由についての大まかな説明についてのみ、こちらは理解している状況です。

 詳しい内容については今回の話し合いでお聞きするつもりだったので、猫井会長が心配するような……一からもう一度説明が必要になるという事にはならないかと思います。

 っと、そうですよね?高木さんに三葉先輩?」



 これは補足というか確認になるのだが、一応は伝えておいた方がいいだろう。


 同じ話を繰り返しても今はないし、何より非効率的だ。



 と、そんな思いも混みで俺は猫井会長にその旨を伝えたところ



「あはは!相太くん、君は本当に面白いね?っね?アタシが()()()()()何倍も面白いし興味があるよ。

 でも、ありがとね?時間は有限だから、こういう気の配り方はとってもありがたいよ。

 じゃあ、相太くんもこう言ってる事だし……。説明は抜きにして、話し合いの方を早速始めようか。」



 と、なぜか「あはは!」と可笑しそうに笑って猫井会長はそう言うと、先程より若干柔らかくなった雰囲気を纏いながら話し合いの開始を改めて宣言する。


 ただ会長が破顔しただけで場の空気が和らいだ事からも分かるように、やはり会長と言われるだけあり、とても存在感のある人である。



 俺は改めて猫井生徒会長への認識を改め、気を引き締めると、まず副会長の1人……橘 巴(たちばな ともえ)さんが話し始める。



「では、今回問題となった『第1高校』と『第1女学院』の体育祭の合同開催についてなのですが……問題としては至って単純な話です。

 要はこちらの女生徒たちの少なくない人数の子たちが、男子生徒の事を不安に思っているという物なのです。

 皆さんもご存知の事とは思いますが、本学は伝統ある『女子校』であり、男子生徒は勿論男性教諭でさえも在籍する事は出来ません。

 そのため、男性に対する知識や認識は幼少の頃で止まっている生徒も多く存在し、本や雑誌での情報を通してしか男性を認識していないのです。

 ですから、そのような男性に対する知識の少なさ、未知に対する不安などがあり、今回一部の生徒たちから反発が発生したということなのです……。」



 と、少し顔を曇らせた巴さんはそのように述べる。



 予想通りといえばその通りなのだが……やはり女子校ならではの不安であった。


 共学に比べて圧倒的に男との接点の少ない女子校では、ある意味『男』という存在そのものが一種の不安材料になってしまうのだ。


 これはある意味自然な流れなので、その事自体に対しては特に疑問などは存在しないのだが、それなら……



「えーと……。それでしたら、どうして()()()がここに呼ばれたんでしょうか?妹を『第1女学院』に持つ兄という事で呼ばれたというのは、何となく皆さんとの会話の中からでも推測は出来たのですが……。俺1人だけが呼ばれた理由がよく分かりません。

 男子生徒に対する偏見を取り除くという趣旨の話し合いであれば、他の男子生徒も数人呼べばよかったのでは?」



 と、俺がこれまでの話を聞いて、自分の中でシンプルに疑問だった事についてそのように尋ねる。



 巴さんの話を聞く限り、今回の反対の件は女子生徒による男子生徒への不信感が原因になっているのだ。


 であれば、それを改善するための話し合いには出来るだけ多くの男子生徒が参加した方が良いのではないか?と、その事が自分の中で不可解だ。


 まあ流石に、そこら辺の男子生徒をテキトウにとは言わないが、生徒会に所属する男子でも呼べばよかったのではでは?と、そう俺は思った。



 すると、俺のその問いを聞いた巴さんは少し困り顔で猫井会長の方をチラリと見る。


 そして、もごもごと珍しくハッキリしない口調で



「そ、それは……そうなのですが……。その……これにはちゃんと理由がありまして……。

 で、でもそれを私の口から頼むのはちょっと……。」



 と、なにやら俺に対して何かを言いづらそうにしている。



 うん?なんだ?なんだ?


 これまでハキハキと話ていた巴さんが思わず口ごもるような内容って?



 俺は巴さんが何の事について言いづらそうにしているのかも見当も付かず、只々その続きを待ち続けていると……



「あっ、私もそれは気になってました!どうして相川くんが1人だけ呼ばれたのかなって。

 私は体育祭実行委員長なので、他の役員の男の子たちを呼ぼうか考えたんですけど……。犬神さんに大丈夫って断られちゃいましたし。

 何か彼でないといけないそんな理由でもあるのですか?」


「そうですね……。私も相太くんである理由……そうでなければならないという、その訳を聞きたいです。」



 と、それまでじっと巴さんの説明を聞いていた高木委員長と三葉先輩までもが、口ごもった彼女にそう尋ねる。



 すると、俺を含む3人から見つめられた巴さんはどこか助けを求めるかのように再び猫井会長を見ると、猫井会長は「うん。あとは任せて。」と頷いて



「そうだね。みんなが疑問に思うのは最もだと思うよ。

 確かに、()()()()相太くんだけを呼んだというのは間違いないからね……。

 ちゃんとそれにも理由があって、それを踏まえたお願いしたい事もあるんだけど……。

 恐らくみんなは……いや、相太くんは巴ちゃんがどうして言いづらそうに、お願いしづらそうにしているのかって方が気になってるよね?っね?

 巴ちゃんは恥ずかしがって言いたがらないから、アタシから相太くんにお願いをするね?

 では、単刀直入に……。相太くん、アタシと()()()()()()()()()()()?かな?」


「…………はい?付き合って……?えっ……?」



 と、猫井会長はとんでもない爆弾発言で俺を含む、三葉先輩たちを驚愕させるのだった……。
















あまり進捗が無くて、申し訳ありません。


牛歩かもしれませんが、なんとか話を進めて行きたいと思います。

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[一言] お久しぶりです のんびりご自分のペースでの執筆期待しております 好きな作品ですので 完走は是非お願いします!
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