妹ちゃん(巨乳)に、何だかんだで懐かれた『あれ?なんかこの感じ…どこかで知っているような?』
更新遅れてすいません。
今回も前回に引き続き、コンビニでのお話です。
「なんですか……?アナタは?この子がウチで万引きしたにもかかわらず、何も話そうとしないので、店のウラで詳しく話を聞こうとしていたのですが……。
あなたの一体何を待つと言うのですか?」
と、少女の腕を掴んで止めていた店員さんが、「ちょっと待て!」と叫んでそれを止めた俺に向かって、振り返ると同時にそう尋ねて来た。
そして突然の俺の声に、少女の方もビクリとして驚いていた。
だが、俺はこの店員さんを止める必要があった。
なぜなら少女の万引きは……
「すいません。驚かせてしまって……。
その子の事について知って貰いたい事があるので、この写真をちょっと見て貰えますか?
許可も得ず、買ってない商品を撮っていたのは、マナーが悪くて申し訳ないのですが……
さっきここのデザートコーナーから撮った写真なんです。」
と、俺はそう言って自身が先程、母さんの写メ用に撮っていた写真を一枚ずつ店員さんに見せていった。
するとそれを見た店員さんは、驚いた表情になり……
「これは……。商品の方がこの子のカバンに落ちてきている?」
「そうです。最初の写真では棚の商品がギリギリ落ちるか落ちないかの位置で止まっていますが、次の写真ではその位置にはもうその商品が無くなっているんですよ。
それでその商品の位置にこの子が立ってるのが、この写真には映っていたんです。
だから、この子はたまたまその落ちた商品がカバンの中に入ってしまっただけで、万引きなんてしてなっ!?……いと、俺は思います。」
と、俺が少女が万引きをしていない証拠、棚から商品が落ちる過程の写真を店員さんに見せて、その無罪を主張していると……
その主張の終わり際、突然少女がギュッと俺の腹の辺りに抱き付いてきた。
俺はその柔らかさ、主に腹の真ん中辺りに当たる柔らかい二つの感触に驚いてしまったが、その震える肩を見て平静を取り戻した。
おそらくこの少女は自身を万引きと間違われて、それを否定する事が出来きず、とても心細かったのだろう。
そんな中、もしかすると自身の無罪が店員さんに伝わるかもしれない。
万引きなんてしていない事が証明出来るかもしれないと、少し安心してこちらに抱き付いて来たのかもしれない。
俺はその震える肩に手を置いて、その子を庇うようにして店員さんの前に立つ。
「(大丈夫。君の無罪は俺がちゃんと証明するから。)」
そんな意思を込めて堂々と店員さんの前に立ちはだかる。
すると、店員さんはそれを見て何か納得したようで……
「ああ、成る程……。その子はあなたの妹さんでしたか。
万引き犯と間違えるなんて、これは失礼しました。
写真にはちゃんとその子が取っていない証拠も映ってましたので、もうその子に事情を伺うような真似は致しません。この度は本当に申し訳ありませんでした。
それとそのお詫びと致しまして、そこのデザートから二品まで無料で持って行って頂いて構いません。
私の自腹でそれをお2人に奢りますから、ですのでどうか……、この出来事はウチの店長には内密にして頂いて……。」
と、店員さんはこれ以上少女を問い詰めるようなことはしないという事を約束し、それと同時にこちらにデザートを奢る代わりに、今回の冤罪事件について他言しないようにと……、店員さんの方からこちらに交渉してきた。
元より俺は、この出来事を大事にするつもりなどは毛頭無かった。
というか、そもそも俺が疑われていた訳ではないので、なんか妹と間違われてしまっているこの子に、今回の事の顛末を任せるつもりでいたのだ。
だから、俺にそれを求められても困るんだが……
「……あの、お兄さん……。私は……大丈夫です。
なので……その……、お兄さんが……話を進めて貰って。お願いします……。」
と、どうしようかと対応に困っていた俺に、腰の辺りに抱きついていた少女が俺の事を見上げながらそう言ってくる。
その下から見上げる瞳は少しだけ潤んでいて、非常に保護欲をそそられる。
そして俺はその綺麗な瞳に、なんだか吸い寄せられるような感覚に陥って……
「……って、はっ!わ、分かったよ……。俺が君の代わりに店員さんとの話を進める事にする。
え、えーと……、その……妹ちゃん?」
と、俺は思わず、その少女の美しい瞳に魅せられそうになってしまったが、なんとかその瞳から目を逸らす事で事なきを得た。
そして俺は、その女の子の名前をまだ知らなかったので、そのまま店員さんの言っていた通りの妹として……、その名で呼んだという訳だ。
「(まあ、それで『妹ちゃん』ていうのは、流石に安直過ぎる気もするけどな……。)」
すると俺のその言葉を聞いた妹ちゃんはというと……
「……っ!妹ちゃん……。うん!……お兄さん。ううん……お兄ちゃん!……お願いします!」
と、そう言って今まで以上に強く、そしてもっとぎゅっと体を密着させながら、俺のお腹に力強く抱きついてくるのだった。
そしてその後、俺と妹ちゃんは二人で相談しながら二つ分のデザートを選んで、妹ちゃんのアドバイスを受けながら、本当の妹……、静恵のためのプリンを無事買うことが出来たのであった。
・・・
・・
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ーーーー妹ちゃんと並んで歩く帰り道ーーーー
「あの……、先程はありがとうございました。お兄ちゃん。
何も言えなかった……私のことを、助けて……くれまして。」
と、隣を歩く妹ちゃん、もとい『かずはちゃん』が俺への感謝の言葉を述べる。
二人で歩くコンビニからの帰り道、その間もずっとかずはちゃんは俺の右手を握っていて……
俺たち二人の距離は仲の良い友達や家族、それより親密な恋人同士のようにも周りから見えているのかもしれない。
なぜこんな風にかずはちゃんが、俺と手を繋いで歩いているのかというと……
俺はコンビニでの万引き騒動の後、妹ちゃんと少し会話をしながらお詫びの商品を選び、今日はもうそれで家に帰ろうとしていたのだ。
なぜならそこで、店員さんの奢り(隠蔽工作)によって、店の1番高いプリンを獲得する事が出来たからである。
そして俺はこれで静恵への感謝の贈り物を確保出来た(まだ他にも、静恵には何かするつもりではいるが)と安心して、妹ちゃんに「じゃあ、俺はこれで」と、デザートコーナーで別れの言葉を告げたところ……
「……えっ?お兄ちゃん……。もう……行っちゃうのですか?
私、もう少し……お兄ちゃんと、一緒に……お話したいです。もうちょっとだけ……ダメ……ですか?」
と、妹ちゃんは俺の右手をぎゅっと掴みながら、上目遣いで俺の顔を見上げてそう言ってきた。
その瞳はやはり曇りない、とても純真な眼差しで……
その純粋なお願いを拒否するというのは、俺にはとても難しく感じられた。
そしてその眼差しに耐えられなくなった俺は、少しだけ目を逸らしながら……
「あ、ああ。じゃあ……、一緒に喋りながら帰るか?
もう日も暮れそうだから、俺が妹ちゃんの家を教えて貰って、その近くに送るまでの時間になると思うけど。
それでも良いって妹ちゃんが言うなら、そうするけど?」
と、俺は少し照れながらも、妹ちゃんの身の安全を配慮しつつ、その願いを叶えようとしてそう提案した。
すると、その提案に妹ちゃんは……
「……かずはです。お兄ちゃん……。」
「ん?『かずは』?……って、なにが?」
「……私の名前。『かずは』って言います……。
今から……、そう呼んでください……お兄ちゃん。」
と、俺に『かずは』と呼ぶように言うと、かずはちゃんは俺の右手をきゅっと握り直し、その手を引いて、そのままコンビニを後にするのだった。
そして、コンビニからの帰路に戻るという訳だ。
あと、なぜか……、『かずはちゃん』の距離感というか雰囲気が、どこかで見たり、味わったりしたような気がするのは……
まあ、何かの気のせいだろう。
とまあ、俺はそんな不思議な感覚を味わいながらも、『かずはちゃん』と彼女の家の近くまで、他愛もない会話をしながら一緒に帰ったのであった。
新ヒロイン登場です!その名は『かずはちゃん』
まあ、大体予想出来ると思いますが…、後のお話にご期待ください。
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