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静恵へのお詫びと感謝を込めてコンビニへ『デザートコーナーから見えたものは…』

今回は相太視点です。


感想でのご指摘を参考に、これからは『。』を付けて文章を執筆していきます。


これまで読みにくかった方には申し訳ありませんでした…

 

「さてと……、先輩を見送ったはいいけど今日の放課後、この後どうしよう……?

 特に予定とかないし、ちょっと寄り道でもして、それから家に帰ろうかな?」



 と、俺はそう呟いて校舎を後にする。



 先程、三葉先輩をなんとか先生の手伝いの方に向かわせて、いざ自分も行動しようとして……苦笑した。



 麗奈のことで頭が一杯だった昨日までの俺は、ただ当たり前のように生徒会室、もしくは麗奈のいる1-Aに向かうというのがいつもの習慣だった。


 しかし麗奈と別れて、昼休みの誘いをも断った今となっては……、それをする必要も、その権利ももう失ってしまったのだ。



 そして現在、放課後何をする予定もなく、行くあてもないのに校舎を後にしてしまったという訳だ。



 もしそれが早めに分かっていれば、和樹にでも声を掛けて遊びに行くことも出来たのに……



「(って、そういえばアイツ……、今日は部活か……。)」



 そんな風に「この後どうしよう」と思いながらも、そのまま学校から家までの通学路を歩いていると……



 ピロリン♪



 と、そんな音が俺のカバンの中で鳴り響いた。


 たぶん誰かからのLINEの着信だと思うけど、一体誰からだろう?


 俺はそんな疑問に思い、自身のスマホのLINE画面を開くと……



「あれ?母さんから?えーと、なになに……

『アンタ静恵に感謝しなさいよ?あの子朝からアンタのためって言って朝からお弁当を作ってたんだけど、肝心のアンタはそれを忘れたじゃない?

 それで帰ってきた静恵にその事をつたえたんだけど、「今のお兄ちゃんだと、しょうがないよ。」って言って、笑ってアンタの事を許してたのよ。

 でもそれじゃあ、あんまりにも静恵が不憫じゃない?

 だからアンタ家に帰ったら絶対に、静恵に対して感謝の言葉を伝えなさいよ?』

 って、そうだったのか……。静恵が俺を……。」



 と、予想外にも、その着信は母さんからのもので、その内容は『静恵に感謝しなさい』との事だった。



 昨日の段階から随分と静恵には助けられたのだが、こんな所まで気を遣われていたなんて……


 なんと言うか、本当に静恵には感謝してもしきれない程だ。



「(それを……、わざわざ用意してくれたそのお弁当を、俺は忘れてくるなんて……。)」



 と、俺は静恵への感謝と罪悪感の気持ちで一杯になり、静恵への感謝の言葉を伝えるのは当然として、それとは別に何か静恵に対して贈り物をしないといけないと、そんな風に思った。



「(ちょうどこの後の予定もなかったし、静恵の好物のプリンでもコンビニで買って帰るか……。)」



 俺はふと静恵の好物を思い出し、感謝の言葉と共に静恵の好物を贈ろうと考えた。


 そしてそうと決めた俺は、そのままその足を近くのコンビニに向け、静恵の好物のプリンを買いに行くのだった。



 ・・・

 ・・

 ・



「らっしゃいやせぇ。」



 と、そんなテキトウな声がレジから聞こえてくる。



 俺は静恵への贈り物のプリンを買うために、近くのコンビニまで歩いて来たのだか、店員の声を聞いて思う。


 毎回コンビニに入ったときに聞こえてくるこの声は、本当に必要な掛け声なのだろうか?と。


 俺はコンビニに入る度にそう思ってしまう。



 正直こんな風にテキトウに挨拶するくらいなら、いっそのこと何も言わない方が客からの評判は良いのではないか?


 と、そんなことを考えてしまう程だ。



 たまにはちゃんと挨拶をしてくれる店員さんもいるのだが……、大概はこんな風にテキトウな感じで、今日のレジはテキトウな店員さんのようだ。



「えーと……、確か静恵は……カラメルが苦めのプリンが好きって言ってたよな。

 昔たしか、『プリンのように甘い部分9割、苦い部分1割みたいな人生がいい人生なんだよ!』って謎に力説してたっけ……アイツ。

 その原理で言えば、俺の失恋もその1割だと思えて、かなり気が楽になるな。

 だって、残りの9割は甘い部分なんだから……。

 それに甘いか苦いかはその人の感じ方、考え方次第だ!ともアイツは言ってたよな。

 やっぱそう考えると……、静恵って昔からよく出来た奴だったんだなぁ。こんな何気ない所でも俺の事を助けてくれるなんて……。

 これは色んな意味で、しっかりと選ばないとな。」



 と、俺はコンビニに入ってから静恵とのそんな会話を思い出して、改めて静恵がしっかりとしていたことを実感した。


 女の子の成長は男よりも早いというが、静恵の場合はもっと前からしっかりしていたような気がする。



 ずっと俺のことを見ててくれて、その努力をちゃんと評価してくれたし……


 そんな優しい妹のためにも、俺は理想のプリンを探し出す事にした。



「うーん、どれも美味しそうには見えるんだが、どうにも種類が多過ぎるな。

 何か参考になるものであるばいいんだが、どうすればいいのかな?ネットで調べるのは時間が掛かりそうだし……。

 そうだ!母さんに写メを送って、それでアドバイスを貰えばいいじゃないか!

 そうすれば、静恵の好みに出来るだけ近づけるし……、何より失敗がなさそうだ。

 よし!それじゃあ早速デザートコーナーを写真で撮って……。」



 と、言って俺はカシャリとスマホの撮影機能を使いプリンコーナー、そしてその付近のデザートコーナーを撮影する。


 すると途中、ガタッと近くから音が鳴ったが……、別に気にしない。



 しかし俺の撮る技術がイマイチで、何度かパシャパシャと撮り直すことになってしまった。



 そして1番上手く、また見やすく撮れた写真を母さんのLINEに添付して、その助言を貰おうとLINEを送ろうとしていた所……



「ちょっと、お客さん!勝手に商品を持って行ってしまわれたら困りますよ!

 そのカバンの商品はまだレジを通してないでしょ?

 困るんですよ。そんな風に持っていかれたら……。

 ほら、その商品を返してもらって、事情をウラで聞きますから……、こっちに来てください?」



 と、俺の近く、商品棚を挟んでレジ側の場所から、そんな先程テキトウな挨拶をしていた店員さんの声が聞こえてきた。



 何やら聞く限りでは、商品の万引きがたった今行われていたみたいだ。

 そしてそれを見つけた店員さんが、それを見咎めて声を掛けたようだ。



 俺は「こんなご時世に万引きなんて……」と思い、少しだけそれに興味が湧いて、その現場にひょこりと首だけを出して観察する。



 見たところ……、帽子を深くかぶった小さな女の子?が商品を万引きしたようだ。


 確かにそのカバンの上には、パンの袋が無造作に二つ置かれており、そこには購入済みのテープが見当たらない。



 あんなに小さい子が万引きなんて……、そこまであの子の家庭は経済状況が悪いのだろうか?



 俺はそんな風にその子の経済状況について心配してしまったが、俺には関係ないので後は店員さんに任せた方がいいだろう。



 と、そう思った俺は、改めて母さんに写メを送ろうと写真フォルダの写真を確認していると……



「ん!?あれ……、これって?」



 俺が静恵のプリンの助言を貰うため、母さんに送る用に撮ったその写真の左端には……



「ほら!何も言わなくても、万引きは許されないよ!早くこっちに来て!ほら!」



「……いや!私……万引きなんてやってないです。

 これは……何かの間違いで……、それで……。

「ちょっと待ったぁ!!」……って、……え?」



 と、店員さんが少女の手を引いてレジの奥に消えて行きそうになるのを、俺は全力で止めに入るのだった。


 手には握りしめたスマホを片手に……







相太と出会った謎の万引き少女?の話です!


次でその少女の正体が明らかに?

ですので、よろしければ次話もご覧下さい!


少しでも面白い・続きが読みたいと思って頂ければ、ブックマーク・評価をお願いします!

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