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突然の別れ『別れたから気付く妹の成長』

普通のラブコメです!


少し修正を加えました。

 

「もう私たち、別れた方がいいと思うの……。

 ーーだから、私と別れてちょうだい相太そうた



 放課後呼び出された教室の一室。俺たち二人以外に誰もいない教室で、俺こと相川あいかわ 相太そうたは、その彼女であるまゆずみ 麗奈れいなから開口一番、何の前置きもなく突然ーーそのよう言われてしまったのだった……。



 そしていきなりの、それも彼女からの別れ話を突然切り出された俺はというとーー



「…………はっ?」



 当たり前の話だが、言われている言葉の意味がマジで一瞬理解出来なくて……そんなバカみたいに意味のない返答をそのまま麗奈に返してしまう。



 ーーなんで?どうして?



 そんなありきたりな疑問の言葉しか頭に浮かばず、自分の話なのに、どこか現実感のないようなーーそんなフワッとした感覚に俺は陥ってしまう。


 そしてそんなありきたりな言葉さえ口にできない俺は、ただただ呆然と麗奈の顔をボーッと見つめることしか出来なかった。



 すると何も言えない俺を横目に、麗奈はそのまま席を立ち「言うことはないわね?じゃあ話はこれで終わりよ。……さようなら。」とだけ述べてーー


 用件だけを一方的に彼女は俺に伝えて、そのまま教室を出てスタスタと歩いて行くのだった……。



 そして、彼女がいなくなった教室で一人。たた呆然とするしかない俺はーー



「俺……麗奈に嫌われた……?」



 訳が分からないまま麗奈にフラれてしまった俺は、彼女にフラれてしまったショックから何も考えられなくなりーー


 その後、たまたま廊下を通りかった友人の西田にしだ 亮太郎りょうたろうに心配されながらも、なんとか自分の足で自宅へと帰る事にするのだった……。



 ・・・

 ・・

 ・



 ーーーー相川宅・自宅にてーーーー


「………。……ちゃん!……兄ちゃん!お兄ちゃん!

 ど、どうしたの!?お兄ちゃん!」



 なんとか西田のフォローがあって、俺はようやく自宅に帰宅することが出来た。


 そして帰宅して早々、リビングのソファーに顔から突っ込んで、改めて呆然とその場に倒れ込んでいると……。



 そのまま倒れ込んで動かなくなった俺を見た妹が、わざわざ俺の様子を見に来てくれて、そしてこちらを心配してそんな風に声をかけてくれたという状況だ。



 そして俺の妹、相川あいかわ 静恵しずえは現在も、その呼びかけに反応を示さない俺を心配そうに見つめている。


 俺は最も近しい肉親、それも妹の声にようやく我を取り戻し、なんとかマトモな反応らしい反応を返す。



「ーーあー、まあ大丈夫。別に大した事ないから……。

 そんな事よりも静恵しずえ……。なんか今日はやけに早いんだな。部活は今日、休みだったのか……?」



 俺はそれでも、彼女と別れたショックで上手く回らない頭を使い、妹にまで心配させてはいけないと考え、いつもこの時間は居ないはずの妹の存在を指摘する。



 妹はバレーボール部のマネージャーをしていて、普段であれば、夕食時のギリギリぐらいで帰ってくるはずなのだ。



 するとそれを聞いた静恵は、「はぁ……。」と、呆れた様子で溜息を吐きーー俺の顔をばっと覗き込んでくる。



「お兄ちゃん……。ホントに大丈夫?今日は部活連の総会があるから、練習が早めに切り上がって早く帰ってこれるってーー今日の朝食の時にも言ってたでしょ?

 それで今日は、お父さんもお母さんもいないから、2人で一緒に外食だって、そう言ってたじゃない……。」



 そう言った静恵は、覗き込んだ俺の顔がボンヤリしていた事もあって、それまで以上に心配そうな顔で俺を見つめる。


 その話に思わず俺は「あっ!」と思い返し、呆然としていた状況から、なんとか復帰して静恵にばっと謝る。



「あ、ああ……悪い。すっかり忘れてた……。今日は早いんだったな。それでーー外食だったか?

 そうだな……今回はお詫びの意味も込めて、お前の好きなところに行こうぜ?心配掛けた事もあるしさ。

 ーーそれにある程度は俺のおごりでカバーするから。」



 たしか昨晩の俺は、母親から今日の晩ご飯代として3千円程臨時収入を受け取っていた筈だ。


 これに俺の小遣いを少し足せば、そこそこの所でも、2人だけであれば全然食べに行ける筈だ。



 そのように、俺はあまり回らない頭でもなんとかその事だけは思い出し、そんな風に考える事が出来た。


 そして、俺は静恵に今日の出来事について感づかせないよう気丈に、また少しでも話を逸らすようにして、そのように静恵に言ったのであったがーー



「むむむ!おかしい!お兄ちゃんはいつも優しいけど……なんか今日はちょっとだけ違う気がする!

 お兄ちゃん!何か私に隠してるよね?今日、学校で何があったのかをファミレスで詳しく教えてもらうよ!」



 などと、静恵はその名に反して騒がしく俺に詰め寄るとーー


 強引に俺の手を取って、俺たちの自宅からほど近い、学生が何時間も居座れるファストフード店に、2人でスタスタ向かうのであった……。



 ・・・

 ・・

 ・



「それで……今日の学校。いや?昼間のLINEでは普通だったし……今日の放課後かな?一体何があったの?

 あっ、流石に、この期に及んで何もなかったなんて言わないでよね。私はお兄ちゃんの事が本気で心配だから話を聞いてるんだし……それでどうなの?お兄ちゃん?」



 ーーファミレスについて早々、俺たちは各自メニューを頼み「ふぅ。」と一息ついたところで、妹の静恵は俺にずいっと顔を近づけてそう尋ねてくる。


 そして妹であっても、そこそこ整った顔立ち(俺とは似ても似つかない)の女の子が、ここまでの至近距離にまで近づいたらーー普通に落ち着かない。



 なので俺は、静恵に戻るように指示をして、今日あった出来事をちゃんとこの場で話す事を約束する。



「まあ、別にいずれバレる事だし、お前に話しても大丈夫だけど……。きっと、お前にとってはどうでもいい事だとは思うぞ?それでもいいならーーちゃんと話すけど。」


「ううん、お兄ちゃんがそんな風になるって事は私にとっても一大事なんだよ!いつも私を助けてくれるお兄ちゃんをーー今度は私が助ける番なんだから!」



 静恵はそう言って、席に置いていた俺の右手を握りしめ、本当に俺のことを気遣ってくれている事が分かるような、そんな暖かな視線をこちらに送ってくれる。



 ーー参ったなぁ……これは……。



 昔はずっと俺の後ろについてきて、「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」と言っていた静恵が、こんな風に俺を気遣ってくれるまでに成長していたなんて……。


 俺はそんな妹の成長を実感すると共に、『たまには自分のカッコ悪い部分を、静恵にも見せてもいいのかな?』と、そんな風に思い始める。


 そしてそれは、昔からずっと俺が続けていたつもりのカッコいい兄貴を、もう妹の前では演じ続ける必要がなくなったという事を意味していてーー


 そう思うとーーなんだか、心にズシリとのし掛かっていた重圧が、フッと軽くなって消えてしまったような……そんな気持ちが軽くなったような気がした。



「(今ならちゃんと言えるかな……。)」



 俺はこちらをなおも心配そうに俺を見つめてくる静恵を横目に、今日あった出来事ーーその突然の別れを思い出しながら、出来るだけ正確な言葉で、全てをありのまま静恵に伝えたのだった……。


 ーー打ち明けてなかった、心にのしかかる重みを2人で分け合うように……。そして、微かに感じる胸の痛みを少しでも和らげるようにして……。

 

初めての現実ラブコメ、頑張っていきます!

でも他の作品も遅れながらも書いていきますから、少しのよそ見も許してください

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